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日本の生産性をダメダメにした5つの大問題

2019.11.27

日本経済をスカスカにした真犯人、日本発『多国籍企業』の罪と罰」で、「2つの日本経済の分裂」に我が国の空洞化の原因を求めた、米国在住の作家・冷泉彰彦さん。

さらに今回、先進国の中で最低にまで沈んだ日本の生産性再浮上を阻む「5つの問題点」の存在を指摘しています。

日本の生産性はスカスカ 日本的空洞化の研究その2
 日本生産性本部という団体があります。正直に毎年「労働生産性の国際比較」を公表しており、2018年12月には「日本の時間当たり労働生産性は47.5ドル(4,733円)、OECD加盟36カ国中20位」などというプレスリリースを出しています。

今年もそろそろ2019年の分を出すのだと思いますが、とりあえずこの2018年バージョンを見てみると、2017年の日本の1人当たり労働生産性(就業者1人当たり付加価値)は、84,027ドル(837万円)。ニュージーランド(76,105ドル/758万円)を上回るものの、英国(89,674ドル/893万円)やカナダ(93,093ドル/927万円)といった国をやや下回る水準で、順位でみるとOECD加盟36カ国中 21位となっている。
などという悲惨なデータが臆面もなく書かれています。

こんな悲惨な内容なのに、生産性本部などという名称を変えることなく毎年公表しているというのは、不思議な感じがします。



多分、日本の製造業が絶好調で「経済大国」と言われていた1980年代に「日本の生産性も世界一」だということで、こうした団体の啓蒙活動がされていたわけですが、「その時で時間がフリーズ」しているのだと思います。

男性中心の終身雇用労働者が会議をしたり、手帳に何かを書き込んだりして集団主義を実践すれば、世界一の生産性が達成できた、そんな意識です。

でも、90年代以降の結果はダメダメで、先進国中最低になっているわけです。
生産性本部にも、優秀な方、誠実な方もおられると思うし、昭和世代の自分には世代的に責任の一端があると思うと心苦しい面もあるのですが、こうなると悲劇より悲惨な喜劇としか言いようがないのも事実です。
どうしてなのでしょうか?
とにかく生産性が低いということは、働いても働いても「付加価値=カネ」が稼げないということです。
企業活動としてカネが稼げないということは、その結果として給料という形での報酬も得られないことになります。
また、頑張って働いてもムダということで、労働の社会貢献という意味でも成果はスカスカということです。
本当にイヤになってしまうような話ですが、では、どうして日本の生産性はこんなに低いのでしょうか?
まず、コンピュータの利用が進んでいない、文書が多い、原本を作ってハンコを押すといった旧態依然とした事務仕事の問題があります。しかし、この部分は遅まきながら、少しずつ改革が進んでいるのも事実です。
対面型コミュニケーションが主流というのも問題ですが、これも多少は理解がされているようです。
ですが、その他にもっと根深い問題があることについては、まだまだ認識が共有化されていないようです。
今回は5つ問題提起したいと思います。
☞ 1つ目は、仕事が専門化されていないということです。
例えば経理部門、マーケティング部門などの職能については、仮に専門化していれば、まず最先端を大学や大学院で学んだ人材、より規模の大きなグローバル企業でバリバリだった人材というのは「スキルの訓練ができている即戦力」になるはずです。
ところが、仕事が専門化されていない人事をするために、せっかくマーケティングができるようになっても、今度は現場とか、生産管理の次は営業とか、無茶な回し方をするわけです。
昭和の時代ならいざ知らず、そうした個々の専門職については、現代ではグローバルな標準化がどんどん進んでいるわけで、学ぶ内容は格段に深く広くなっています。
にも関わらず、人事ローテをするのは無駄です。
その結果としてせっかく身についたノウハウを捨てることになるし、部門や職能を変わるたびに大変な思いをしてトレーニングをしなくてはならないからです。
2つ目は、この「専門化されない人事」の結果ですが、権限が現場に下ろされていないということです。
更にいえば、権限のある人にはスキルと知識がないわけです。
そうすると、決めなくてはいけないことが現場で決められない、そのくせ決める権限のある人は自分がよくわからないので決められないということで、物凄い社内調整が必要になり、意思決定にダラダラ時間がかかるわけです。
その間に浪費される時間、文書、エネルギーはほとんど無駄です。
3つ目は、とにかく大勢が会議に出てくるということです。会議が多いのが悪いのではありません。
一回の会議にゾロゾロ大勢出てくるので、結果的に一人当たりの会議参加時間が多すぎることになるのです。
原因ですが、まず権限と知識・スキルが切り離されているということもありますが、「幹部候補には全社的な動きを知ってもらいたい」とか「新企画の立ち上げは、スタート段階から関連部門全員参加で会議しないと組織が動かな」というような非合理な風土があるからです。
よく評論家の人などで、企業と会議する場合に「発言しない人は無駄だからいて欲しくない」などとダダをこねる人がいますが、あれは間違いです。
日本の場合、実務的な会議の中では、発言しない人最先端の、そして現場の知識とノウハウがあるのです。
そうではなくてほとんど素人だが、権限のある人がダラダラ思いつきで喋って、人の時間を奪っているのです。
有名な人が、コラボ企画などで企業と打ち合わせする場合もそうです。
ベラベラ喋っている人は権限はあるがスキルのない人で、黙っている人が実は実行力もあれば、企画の細部を握っているのです。つまり、そうした場合の会議というのは、スキルや知識的には過去の存在である管理職に「著名人と合わせて満足させる」セレモニーであるわけです。
ですから、生産性を上げるためには、有名人の側は、実は黙っている人とだけ会議をすれば良いのです。

4つ目は、文書を増やしている原因ですが、コンプライアンスという言葉に踊らされている面が大きいと思います。
勿論、無法なことをやっていた企業が、お行儀よく法律を守ります、とか社会正義に徹します、あるいは働き方に留意しますというのは良いことです。
ですが、そうしたコンプライアンスの動きが、結局は「規程、規則を増やす」とか「記録を残す」といった形式主義になるとき、コンプラに注力すればするほど、法令違反や社会的には炎上を招きかねない誤った判断を生む可能性が大きいのです。
つまり法令や社会の視線の核にある「本当の正義」というのを経営者がよくわかっていて、ピンポイントで的確な指示を出せないか、あるいは出さない、そんな中でコンプラが怖いから規則を作って文書を大量に作るということになるわけです。これは90年代に始まったことで、日本経済の競争力が下降しているのと並行して起きたために、経済の底力を奪って行ったのです。
5つ目は国際化です。
同時に90年代には、これまた遅まきながら日本の各企業は国際化をして行きました。
これが業務量を増やしていったのです。コンピュータ化ができないというのも致命的ですが、英語で仕事が回らないというのも大変です。つまり多国籍企業になっても、社内の公用語は日本語であるわけで、そうなると文書は常に2つの言語でダブルで走ることになります。
また、日本語のよくできない海外のグループ企業が日本語化されることを前提で動くとか、英語に慣れない本社管理部門が多国籍のオペレーションを統括するという中で、業務量は倍増し、ストレスはたまるし、コミュニケーション上のロスや誤解も広がるということで、大変なことになっていると思います。
この国際化の進展による業務量の増大、にも関わらず経済の競争力が低くなっているので、要員は削減という中で二重言語による業務負荷が重くのしかかっているわけです。
とにかく、コンピュータが使えないとか、文書が多いだけでなく、こんなに多くの要因が重なって、人の時間と労力を奪っているのですから、生産性が上がらないのも当然です。
そうした問題を明らかにして、どうか生産性本部の皆さんは、本当に日本のオフィスにおける仕事の進め方にメスを入れていっていただきたいと思います。
そもそも働き方改革というのは、それが趣旨であったはずです。
文書を削減し、会議の参加人数を減らし、権限を委譲し、コミュニケーションを効率化する、その結果として同じ業務量でも2倍、3倍の効率が生まれる、その結果として長時間労働が不要になる、これが働き方改革のはずです。
そうではなくて、働き方改革のために残業ができないので、管理職が実務を抱えるとか、その果てに働き方改革のために生産量や受注など、経済の規模も縮小するというのでは本末転倒です。
日本経済において、ホンモノの経営者はどこへ行ったのか、そんな絶望感すら感じられるのです。
その絶望も、そして日々の「非効率な業務」も、本当は無駄な不幸なのだということ、とにかく日本よりも「ラテン系」の諸国が日本以上の生産性を上げている、その現実を直視して、現在の日本の職場に蔓延している不幸がいかに無駄でバカバカしいのかをしっかり認識していかねばなりません。

 


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