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海に眠る5千トン。海底資源ビジネスが元気ない日本を救う可能性

2019.11.27

陸上に存在する金属などの資源の枯渇が懸念される中、海底資源に改めて注目が集まっています。もちろんその採掘には、超えなくてはならないさまざまなハードルが存在しているのもまた事実ですが、「Windows 95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さんには「アイディア」があるようです。話題となっている海底資源「polymetallic nodules」を詳しく紹介するとともに、自身が思い描く「新しい採掘方法」を披露しています。



海底資源

最近になって、海底資源の話題が目につくようになったので(例:「Electric car future may depend on deep sea mining」)、少し勉強してみました。

話題になっているのは、海底にふんだんに存在するpolymetallic nodulesと呼ばれる、金属を含んだ石(のようなもの)です。イメージが湧きやすいように、Wikipediaの画像を貼り付けておきます。

大きさは直径3センチから10センチ、ジャガイモぐらいの大きさです。

海水中のミネラルが何か(貝殻の破片など)に付着する形で作られると考えられていますが、成長のスピードは非常に遅く、1センチ成長するのに100万年かかるとされています。
海底にはnodulesが沢山ある場所とほとんど無い場所がありますが、多いところでは海底を埋め尽くすほどに豊富にあり、総量は5,000億トンほどあると見積もられています。
nodulesが注目されているのは、リチウムイオン電池に必須なコバルトなどが含まれているためです。

コバルトは主にコンゴでしか採掘できないため、コバルトの供給源としてnodulesが注目されているのです。
豊富にあるとは言え、海底にあるnodulesを効率良く採掘する手法はまだ開発中で、海洋生物に与える影響にも配慮する必要があります。
60 minutes (米国のCBS が製作するドキュメンタリー番組)の「Why the U.S. is missing out on the race to mine trillions of dollars worth of metals from the ocean floor」によるとnodulesは、Clarion Clipperton Zone(CCZ)と呼ばれる、ハワイとメキシコの間の海底に多く存在するそうです。
この領域の採掘に関しては、International Seabed Authority(ISA)という団体が管理をしており、すでに(日本を含む)16カ国がそこでの許可をISAから受けて、採掘実験を開始しているそうです(参照)。
ちなみに、採掘実験はトラクターのような大きな機械を海底に沈めて行っているようですが、そんなものを使うと海底の泥が大きく巻き上がって、生態系に多大な影響を与えてしまいます。
私だったら、船から放り投げると自重で海底まで沈み、周りにあるnodulesをアームで数十個集めてからバルーンを膨らませて海面まで浮かんでくる小型ドローンを開発するというアプローチを取ると思います。

大量に生産すれば一台当たりのコストは安く出来るため、多少(ドローンの)回収に失敗しても痛くも痒くもありません(この例のように、今までは大型の機械でしか出来なかったことを、小型のドローンやロボットを大量に投入して行うことにより大幅にコストを減らす、というアプローチは色々なところで応用できると思います)。
ちなみに、この手のビジネスアイデアを思いついた時に、サクッと(ハードウェアの)プロトタイプを作ってくれる(そして、うまく動くとなったら事業化してくれる)母体が欲しいと常々考えています。

日本の大企業は、イノベーションの欠如で悩んでいるし、このあたりで私と組んでくれる企業があれば大歓迎です。




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