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日本の社長にお手あげ~AIバブル 失敗の法則から

 

第一人者 松尾豊氏の警告 (日経ビジネス2019520日号) 

「顧客との電話対応をAI(人工知能)に任せた」「AIで需要予測に成功した」……。他社の発表を見て、ブームに乗り遅れまいとする経営者が産業界で後を絶たない。
「うちも入れるぞ」とハッパを掛けた結果生まれるのが、「使えないAI」だ。
性能不足や高い費用、責任論……。行く手には「失敗の法則」が数多く横たわる。理想と現実のギャップを直視できる経営者であれば、失敗を回避できるはず。思慮深い経営判断の先に、AIの果実はぶら下がる。しかし「日本の経営者は勉強しようとしない。バブルに踊っているだけだ」失望を隠さないAI研究の第一人者の嘆きに、まずは耳を傾けてみよう。


「幻滅期」に突入へ 活用本番はこれから
 「お祭りの時期が終わる。本気ではなかった人が離れる今からが、地に足をつけて進む本番だ」。

米調査会社ガートナー日本法人の亦賀忠明ディスティングイッシュトバイスプレジデントはこう指摘する。同社は2018年秋に「日本では19年以降、AIが幻滅期に入る」との予測を示した。
 ガートナーは「ハイプ・サイクル」と呼ぶ曲線で各種の先進技術の普及状況を表現する。

認知が広がって徐々に期待度が上がり、過度な期待のピークを迎える。その後、期待度が急激に下がる幻滅期を経て、徐々に普及していくというパターンを模したものだ。
 幻滅期は「本当のことが分かっていなかった人が幻滅する時期のこと」(亦賀氏)。

調査会社IDCジャパンはAIシステムへの世界の支出額が19年に358億ドル(約3兆9380億円)で、22年には792億ドル(約8兆7120億円)まで増えると予測する。AIに過度な期待をしていた時期は終わるが、投資は着実に増えていく。AIの現実と可能性を見極めた企業が本格的な活用で先行することになる。


3つの壁を突破せよ!

失敗ケースで共通するのは、AIを「導入するだけで何でも叶えてくれる魔法の杖」のように考えていた点である。
しかし、AIを魔法の杖だと勘違いしてしまうのも無理はない。AIベンダーは自社のプロダクトを売り込むために、AIのメリットやプラスの側面だけしか話さない。

彼らの口から出てくる事例は、成功したものだけだ。
また、新聞や雑誌、Webメディアで紹介されている事例も表面的なものが多い。業務上の具体的な課題や、導入にあたっての困難や失敗がメディアで語られることはない。
ソフトバンクは、自社内でAIを活用した改善のトライアルを行い、数々の失敗と成功を経験してきた。

その経験を糧にして言うならば、AI導入を成功に導くには、以下の「3つの壁」を突破しなければならない。

発想の壁」を越えて、ユーザの潜在的な課題を抽出する
ノウハウの壁」を越えて、AI導入に関して最低限のリテラシーを持つ
組織の壁」を越えて、協力関係のある組織、体制プロジェクトに挑む

 

その課題は本当にAIで解決すべきものなのか。

利用する現場のニーズに基づいた「発想」で、AIに何ができるのかの「ノウハウ」を理解し、AIの摘要プロジェクトを検討していかなければならない。そして何より、そのプロジェクトを粘り強く推進していくためには「組織」の体制と協力が必要だ。従来のIT開発とは違い、AI開発は何度も試行を繰り返しながら「育てる」ソリューションである。

AIは決して、最初から全知全能なのではない」。まずはその前提に立つことが第一歩となる。



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