10年後に生き残る会社と行き詰まる会社の違い


2019年6月29日 小宮一慶
経営戦略を立てる場合、まず自社の存在意義を示す「ミッション」や、将来のあるべき姿である「ビジョン」、行動規範となる「理念」を明確にし、外部環境内部環境という2つの視点から環境分析を行います。外部環境は社会の流れ、経済情勢の変化、ライバル企業の動向のような自社ではコントロールができない環境を指します。内部環境はヒト・モノ・カネといった自社でコントロールができるもののことです。外部環境分析によって自分たちの市場がどこにあり、将来どうなるかが明確になり、内部環境分析によって自社の強み・弱みが理解できます。
 ただ、外部環境も内部環境もとても流動的なもの。分析もそう簡単ではありません。そこで、経営幹部は膝を突き合わせて「10年後、自社を取り巻く環境はどう変化しているのか」「10年後、自社はどうありたいのか」について、時間をかけて議論しなければなりません。
 良い経営者は5年先、10年先の構想を立て、役員会などで議論を尽くし、経営陣が同じ未来を見据えたうえで、そのゴールから逆算して3ヵ年計画や単年度計画を作成しています。未来からの視点で、現在までの道筋を考えているわけです。そこまで深く考えず、今年の延長線上に来年があり、来年の延長線上に再来年があり、その先に10年後があるはずと安易に考えて、現在の視点でしか未来を見ない経営者は、これだけ激変の時代ですからどこかで行き詰まる可能性が高いでしょう。

10年後、社員が夢を持てる会社であるか

 10年後の市場と自社の強みを見据えることに関して、もう一つ大事なのは、「社員が夢を持てる将来像」であるか、ということ。社員自身が自社の将来に確信を持ち、さらにやりがいを持って仕事をしている会社でないとベストのパフォーマンスは出ません。社員一人一人のやる気を引き出すのは難しいことですが、何度も述べているように「良い仕事」の3つの定義、つまり(1)お客さまが喜ぶこと、(2)働く周りの仲間が喜ぶこと、(3)工夫を意識させ、人に喜んでもらったり、工夫したりすることで働きがいを見出してもらうのです。しかし、それも自社の将来への安心感があることが前提です。   やはり、自社の将来に対しての不安があっては働きがいを感じにくいものです。一方、10年先を見据えて経営戦略を立てたとき、会社の方向が現在と大きく変わる可能性があります。その場合、社員の中には違和感を覚える人がいるかもしれませんね。経営者は、常に社員にビジョンを語り、適切な教育を行い、やる気を引き出す施策を講じるべきですが、それでも食い違いが生じるようならお互いのために十分に話し合い、新たな道を歩ませることも必要です。そのためにも、「変わることが当然」のような社風づくりが重要です。経営者は、常に社内に「波風を立てる」くらいの気構えでいなければなりません。そうすることで、安穏としている社風を打破するのです。

☞ 経営コンサルタントの先生の話は、今までの経営支援を糧としてこられた方々の「テンプレート」。

     今大変革を迎えようとしている時代に、以下のコラムにもあるような「新しい試み」を迫られている。

  ※ PDCAより「OODA」が日本で導入しやすい理由

 


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          今回の記事の主旨とは少しズレるが、「終身雇用は悪か」というコラムも併せて掲載しました


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