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寝る前「1分の仕込み」~睡眠が劇的改善


良質な睡眠を妨げるのは「不安や緊張」だ

松尾 伊津香 : プロボディデザイナー/ZERO GYMエグゼクティブプログラムディレクター

睡眠は、忙しい現代人にとって最大の課題といえる。睡眠不足や質の悪い睡眠がもたらす悪影響は知っているものの、仕事に追われ、なかなか十分な睡眠がとれていない……という方も多いのではないだろうか。
忙しい中でも良質な睡眠をとるには、一体どうすればいいのか? 


「睡眠のカギは『安心感』

眠りの質を高めるには「安心して眠る」

 良質な睡眠をとる大前提として、十分な睡眠時間を確保できていることは重要です。ただし、必要な睡眠時間は人によって違います。睡眠にはサイクルがあり、1サイクルおよそ90分程度といわれていますが、これにも個人差があります。 

「自分のサイクルがわからない」という方は、90分サイクルと仮定し、4サイクルまたは5サイクルでしばらく睡眠をとってみてください。それで合わない場合は、1サイクルを120分までの間で伸ばしてみましょう。睡眠サイクルを知るために、最初の3日間、午前0時に就寝し午前6時に起きてみることをお勧めします。そこで「目覚めのとき」の感覚を記憶します。 

目覚めた瞬間にあなたはだるかったのか、はたまた眠かったのか、眠りが足りない感じがあるか、寝過ぎた感じがあるか。それを基に睡眠時間の微調整を行ってみてください。 

ここで問題となるのは、「十分な睡眠時間をとれない」ことではないでしょうか。もちろん、十分な睡眠時間をとることは大前提ですが、多忙でどうしても難しい時期には、1回の眠りの質をできるかぎり高めておくことが必要です。 また、「決めた時間に寝たくても寝つけない」ことにお悩みの方もいるかもしれません。決めた時間にスッと眠りに落ち、かつその眠りの質を高めるために必要なのはなんでしょうか。それは、「安心して眠る」ということです。

良質な睡眠を妨げるのは、「不安」や「緊張」

・明日起きられなかったらどうしよう
・明日は大事な商談があるけど、何を着ていこう
・明日は早めに出社して、プレゼンの準備をしなければならない
・最近トラブル続きだが、どうしたらいいのだろうか

こういった意識や感情が心身の「安心」を損ね、眠りの質を低下させます。

心地いい眠りのために必要なのは、「安心感」なのです。 では、「安心して眠る」状態をつくり出すために必要なのは何か。ポイントは「寝る前の仕込み」です。最低限、寝る1時間前には、PC・スマホ・テレビなどのスクリーン類を完全に遮断しましょう。画面から発するブルーライトには心身を覚醒させる作用があるからです。 こういった仕込みをすることで、リラックスをつかさどる自律神経・副交感神経が優位になったり、眠りを誘うホルモン・メラトニンの分泌が始まったりするのです。 

仕込みで行うストレッチ

 さらに、「寝る前の1分間」で最終的な仕込みをするといいでしょう。1分間でできる仕込みとは、「首の後ろの詰まりのリセット」と、「閉じた胸の開放」です。それらを可能にするポーズをご紹介します。 

まずは、「首の後ろの詰まり」をとるポーズです。今は、顎や首が前に出ている姿勢の方がとても多いです。これは長時間のパソコン仕事などによって首が変形しているためと考えられます。首は柔軟に動く分、ストレスを受けやすく、とくに首の後ろに詰まりが発生してしまうのです。首の後ろの詰まりというのは、首コリや肩コリの原因になるのはもちろん、首に通る神経を圧迫し、脳への血流を悪くし、頭痛などのさまざまな不調の原因にもなります。

それを改善するのがウサギのポーズです。

見た目はなんだかわかりにくいポーズのように感じられるかもしれませんが、一度行ってみてください。とっても簡単です。

しっかりと首の後ろを伸ばすことができ、その伸びに脳の重さ(自重)をかけてくれるので、首周りの筋肉や関節などに溜まったストレスが軽減されます。

さらに、首の後ろの詰まりがとれ、血流を脳に送ることができ、自然と呼吸が深まるなどたくさんの恩恵が期待できます。

【ウサギのポーズのやり方】
1、正座し、おでこを床につけるように前屈します。背骨は丸まってOK !
2、ゆっくりとお尻を持ち上げて、頭頂部を床のほうに向けていきます。

      このとき、手のひらを床につけておき、首に過剰な負荷がかからないよう注意します。
3、自分の膝の間に目線を向け、「痛気持ちいい」ところで5回ほど呼吸します。

       頭の位置に違和感を感じたら置き直してOKです。必要があればその都度微調整しましょう。

 

ポイント

 脳への血流をよくしているので、いきなり起き上がらないようにします。

最後までできたら、おでこを少しずつ床につけるようにして、最初の前屈の状態に戻ります。

そこから、頭が最後になるように、30秒くらいかけるイメージでゆっくりと起き上がってください。

心身を睡眠へと誘うには、「ゆっくり動く」ということも重要です。

いきなりバッと起きるとせっかくのリラックスモードも台無し。

背骨を丸めながら、頭が最後になるようにゆっくりと起き上がってください。

睡眠に最適な姿勢をつくる!「胸開き」

 眠りの質を高める姿勢は仰向けです。しかし、現代のライフスタイルでは誰もが猫背になりがちで、たとえ仰向けでも胸が閉じたままだったり、背骨が正しいポジションに来ていなかったりすることがあります。 

睡眠というのは、人によりますが6〜8時間はとることになります。その時間の姿勢が、あなたの体調をコントロールしているとしたら…… 寝るときの姿勢はとても重要です。しかし、寝ているときの姿勢は無意識にとっているはず。それをどのように改善したらよいのでしょうか。

そこで、一発で胸を開くことができ、かつ自重を利用して効果を最大化させたポーズをご紹介します。

しっかりと肩から胸回りを開き、体をニュートラルポジションに戻すことで、その後の睡眠の姿勢も安定し、眠りの質を上げてくれるのです。

こちらのポーズのメリットは、胸を開くことができ、呼吸が深まります

自分で動かずにストレッチ効果を得られ、パソコンやスマートフォンによる巻き肩もリセットできるなどが挙げられます。

【胸開きのやり方】
1、 枕やクッション、ブランケットを丸めたものなどでTの字に並べます。

       ヨガブロックを持っている方はそちらを利用しましょう。上半身の重さを支えるので、

        ある程度の高さと強度のあるものがお勧めです。
2、Tの字の「ー」の部分に頭を乗せ、「│」の部分に背中(肩甲骨の間)を乗せます。

      そこで気持ちよく10回呼吸しましょう。

ポイント

 呼吸している間は、手のひらを天井方向に向け、手の甲を床へと下ろします。

そうすることで、腕の重さを使って肩の前の詰まりもとることができ、肩関節のリセットにもなります。

これだけです。丸まった猫背をブロックが自然と押し上げてくれる。胸が解放され、肩の詰まりもとれて、自然と呼吸も深くなる。 

しかも自重をかけるので体の重さも感じられて、リラックス度アップ。見ているだけで眠くなりそうなポーズです。ストレッチ効果はありますが、あなたが動く必要なし、ただ勝手に体が伸びていくのを感じるだけでいいのです。

これで1回胸を大きく開いておくと、ベッドに入ったときに仰向けになっても違和感を感じなくなり、ニュートラルなポジションで眠りにつけます。


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