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日本人とドイツ人が、全然似ていない理由


 く日本人は自分たちはドイツ人と似ていると言う。で、私もそう思っていた。けれども、昔わたしが付き合っていたドイツ人の彼氏にそれを言ったとき、鼻で笑われたのを今でも覚えている。真面目。器用。この意味でいえば、似ているかもしれない。

けれども、この真面目や器用という言葉も結局、全く同じ意味なのか?と言われれは違うと思うのだ。

戦後、日本とドイツは敗戦国だったにもかかわらず、アメリカに次いでの経済大国を維持したりもしたせいか、勤勉とか真面目とか、器用という意味で、なぜか日本人とドイツは似ている!と信じ込んでいる人が多いのではないだろうか。
まず、似ていない部分から書いていき、似ている部分を書いていこう。 

率直なドイツ人と、曖昧な日本人

 よく日本人とドイツ人と全く対照的なところとして挙がってくるのが、ドイツ人は思ったことを率直に言うのに対して、日本人はその正反対の行動を取ることである。

ドイツ人の率直さは、日本人がイメージする中国人や韓国人の率直さよりも強く、アメリカ人でさえ、ドイツ人はなぜあんなに思ったことをズバズバ言うの?と思うくらい なのだ。嫌だと思ったことは嫌だとハッキリ言うのがドイツ人であり、アメリカ人は嫌でも、少しぼやかすことができる。
またドイツ人は議論好きだということ。(ユダヤ人に非常に似ている)議論して何でも解決しようとする。

けれども、日本人の場合、ハーモニー、つまり調和することによって解決しようとする
まさに縄文人と弥生人が融合して大和民族になったように、調和することを重んじるのが日本人であり、言葉を戦わせて議論することはあまり好まないのだ。つまり、ドイツには空気を読むという観念がない
当然、教育の違いもあるけれども、ドイツ人は日本人より自分の意見を述べることに長けている。これは、クリティカル
シンキング(批判的思考)などを教育で学んでいるからだ。 つまり、ドイツ人が日本語を話せたと仮定して、日本人とドイツ人が議論するような場面があったとすれば、多くの日本人がドイツ人に論破されてしまう可能性があるということだ。
 

言語による違いが生み出す思考

 上の①に関連してくるのだけれども、日本語とドイツ語はとても離れた言語であると言われている。

もちろん、英語やフランス語と同じインドヨーロッパ言語に属するドイツ語は、日本語とは全く違う言語なのだけれども、問題はそこではない。

言語学を勉強した人ならわかるかもしれないけれども、世界の言語は、二つの文化に分類することができる。
  
ローコンテクスト文化
 ハイコンテクスト文化
コンテクストとは文脈の意味であり、簡単にいうと、ローコンテクスト文化は、少ない文脈でも意味が分かるという意味で、ドイツ語は文法ががっちりしていて言いたことを明確に述べる言語なので、一文をみただけで意味が分かる場合が多いのに対して、日本語の場合は、一文をみただけでも意味が分からないので、前後の文脈をみなければ、正確に分の内容を理解することができない言語と言われている。
つまりこの意味では、日本語とドイツ語は対極にある。
英語やドイツ語を学んだことにある日本人ならわかるかもしれないけれども、英語が上手な日本人が日本語で話すときに、外国語が分からない日本人よりも、日本語の語彙数というか、説明するときの単語の量がハンパなく多いのは、このように全く離れた言語を学んでいるからである。つまり日本語しか知らない日本人からすると、そこまでハッキリ言わなくてもいいと言いたくなるくらい、ドイツ人はドイツ語を使用するときに、事細かに話しているということなのである。

つまり、ドイツ語は取扱説明書などを書くのに非常に向いている言語であるということなのだ。

 

一人当たりのGDPと、労働時間

 2018年現在、日本のGDPはまだアメリカ、中国に次いで世界3位ではある。けれどもこれは日本の人口が12千万人と、ロシアを除くヨーロッパのどの国よりも人口が多いためである。これを2017年発表の一人当たりのGDPランキングで見ると、

  ドイツ 44,470
   日本 38,428
   韓国
29,743
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_by_GDP_(nominal)_per_capita
と結構な差がある。もちろん通貨の価値的な意味で、ユーロのほうが高いからドイツのGDPのほうが高く見えるという見方もある。

なので為替変動に左右されない購買力平価でみてみた場合どうだろう。
 
ドイツ
50,715
   日本 43,876
   韓国
38,260
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_by_GDP_(PPP)_per_capita
ふむ。やはりドイツのほうが高い。ドイツ人は平均的に日本人よりも、お金を使っているということになる。
けれども、日本のGDPがドイツのGDPより低いのに、ドイツ人は日本人よりも働いていないのをご存知だろうか。
つまり、日本人の年間労働時間はドイツ人よりも長い。そして参考に、お隣の韓国は日本よりも長い。
 
韓国 
2224時間
 日本 
1729時間
 ドイツ
1371
時間
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Working_time

つまり、日本人よりも、358時間も働いていない。でも同じ給料をもらって、しかもその休暇中にインドや、スペイン、タイなどのビーチで休暇を取っている…。
ちょっとドイツ人!遊びすぎ!!そんな中日本人は一生懸命、働いているのに…。と思ってしまうほど。
でも、これって今の日本でもできることなのだけれども、日本人のお客様は神様とか、家族よりも会社が大事とかいう固定概念があるため、なかなか変わっていかないのが実情。
もう一度言うけれども、ドイツ人は358時間つまり、1日8時間労働だとすれば、44日間も日本人よりも多く休みをとっていて、日本人と同じ、またはそれ以上の給料を得ているのだ。
上のGDPをみて思うのは、円安でユーロ高だということを考えれば、日本とドイツの一人当たりのGDPは同額ともとれるが、やはりこのようにドイツ人の平均年間労働時間をみることによって、日本とドイツの収入の違いを明確に理解することができるのではないか。とも思うのだ。
ちなみに、おおざっぱな計算だけど、韓国人ってドイツ人の二倍働いているというふうにも見える。
 

 

仕事よりプライベート優先のドイツ人と、仕事優先の日本人

 ③と関連してくるのだけれど、ドイツ人は家族やプライベートをもっとも優先する。けれども日本人は家族やプライベートを優先したくてもできない社会にいる。

ドイツ人は仕事が終わったら帰るのではなく、就業時間が終わったらすぐに家に帰って仕事は明日するというスタイル。
そのためドイツでは休暇シーズンになると、お客がサービスを受けたくても受けられないというようなことが発生してしまう。
つまり、休暇をたくさんとれるという意味ではドイツのスタイルはいいのだけれども、サービスを受ける側は、バケーションシーズンになったときには非常に不便な生活を送ることになる。
例えばパソコンが故障しました。コールセンターに電話したい。けど繋がらない…。なぜ?休暇に出ているからだよ…。みたいな。
一方、以前ほどではないにしても、日本はお客=神様なので、サービスを受ける側からすると過ごしやすい国でもある。
日本は歴史的にも、上下関係がはっきりしていたので、人の下で真面目にコツコツ働くスタイルが向いているのかもしれない。
そういう意味では仕事を優先する日本のスタイルも悪くはないとも思う。仕事優先=家族を守るということにも繋がるからだ。
また、日本人がたくさん働いたから幸福度が低いということには繋がらないという意見もある。けど一つ日本人が勘違いしているのは、長時間働いて自分のプライベートを犠牲にして自分の健康を疎かにするのが真面目で美徳だと思っていることかもしれない。

 

ルールを守るドイツ人と、みんながやってるからと、合わせる日本人

 よく言われるのがドイツはルールに従って行動する。

一方、日本人はルールに従っているようで、実はルールを守ろうとしているのではなく、周りと同じようにしなきゃ!という心理で動いている場合が多い。

例えば、あの薬よく聞くんだよね~。と聞けば、みんなが良いって言っているのだから、いいんだよね!と、何も調べずに良いものだと決めつけるのが日本人なのである。
一方、ドイツ人の場合は周りが良いと言っていても調べる。
もっとわかりやすく言うと、吸ってはいけないのに路上でタバコを吸う人がいたとしましょう。
ドイツ人なら、ここで吸ってはいけないルールとなっているので違う場所で吸ってください。と言うかもしれないけれど、日本人の場合、誰もここで吸ってませんよ?みたいな感じの言い方になるのだ。

 

ノーベル賞の受賞者数

 どちらの民族も優秀なのか?という意味で考えた場合、あまり参考にはならないかもしれないけれども、ノーベル賞の受賞者数で比較するという手もある。で、両国民をノーベル数でみてみると、

  ドイツ→ 106
  日本 →   25
  韓国 →     1人・・
というように、ドイツ人よりも人口の多い日本なのにもかかわらず、日本の受賞者はドイツに比べ少ない。

これはドイツが日本よりも先に近代化したとか、という事情もあるにしても、この差はかなり大きい。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Nobel_laureates_by_country
ドイツはおよそ、日本の4倍。そもそも、日本は明治維新の時にドイツからいろいろ見習ってきたのだから、ドイツは先輩ともいえる。
けれども、ユダヤ人だけで、ノーベル賞の全体の25パーセントとも言われているので、白人が優先されている可能性も否定できない…。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Jewish_Nobel_laureates
また一つ、付け加えるとすれば、ノーベル賞は、21世紀に入ってから、日本のほうがドイツよりも多い

その研究の多くは、1970年~2000年までに積み上げてきたものだとすると、戦後日本のノーベル賞もドイツのノーベル賞数も変わらないかもしれない。

 

日本人女性とドイツ人女性は対照的

 ドイツ人女性の半分以上は化粧をしないと言われている。一方、日本ではお化粧をしない女性は女じゃないと思われるような社会。

https://www.quora.com/Why-are-so-many-German-girls-so-pretty
この違いは何なのか。
日本人女性は、お化粧をして幼く見えるようにして、全体的に男性に養ってもらえるようなファッションを好む一方、ドイツ人女性は独立した女性を意識した感じが多い。
これは社会の違いから発生するものだと思う。
明らかにドイツ人女性のほうが全体的に、スポーティーで男っぽい印象がある。

もちろんドイツ人女性は背が高いというのもあるけれども、化粧をしない点や、肌を焼くことを好む点、思ったことをズバズバ言う点、日本人女性ほどスカートを履かない点を考えても、全く対照的とも思える。

 

手先の器用さと頭の器用さ

 日本人は大量生産時代に経済大国になったことからも分かるように、手先が器用で芸術的なセンスのある人が多いように思う。

一方、ドイツ人の場合、クリティカルシンキングが強いということからもわかるように、頭を使って考えることが得意な人が多いのではないかとも思う。

ドイツ人は頭が器用。つまり、創造 "creationに向いている。つまり、その創造性が現在のような残業をしなくても、日本と同じくらい生産性を生み出すことに成功したのではないか。
ドイツは賛否両論があるものの、移民を大量に受け入れている点、また女性の労働参加や、LGBTの権利なども世界の主要国の中でもずば抜けて高い。
けれどもドイツも日本と同じように、もともとは女性の労働参加が突出して多かったわけでもなく、LGBTが受け入れられない普通のキリスト教国であった。
ドイツの場合、日本と違うのは、新しいことを日本よりも先に始めている点だろう。それを数十年後に日本が真似をするというパターンだ。
一方、日本人は、手先が器用なので、職人やプログラミングなど、細かい作業に向いている。
変な言い方をすれば、やれ!って言われたことに向いているとも言える。
なので中国では中国人が仕組みを作り日本人に働かせればいい。というフレーズまで生まれているくらいだ…。
 

日本人もドイツ人も時間を守る

 これは日本人とドイツ人が似ているところとしてよく話題になる部分である。

他の国に比べ、日本人とドイツ人だけは時間を守る人が多いと言われている。

 

日本もドイツも国家ブランドランキングでは上位

 ドイツと日本は、対照的な国でありながら、世界の模範となっている部分がある。

東南アジアは常に日本を見ているし、経済大国の中国も日本とドイツ、アメリカなどを参考にしている部分がある。

http://www.futurebrand.com/uploads/CBI-14_15-LR.pdf

Reference Site
https://www.japanintercultural.com/en/blogs/default.aspx?blogid=240 


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コメント: 6
  • #1

    Jimmy ジミー (火曜日, 08 9月 2020 22:50)

    参考になりました。白人は不思議ですね~

  • #2

    通りすがり (金曜日, 02 10月 2020 09:07)

    日本人とドイツ人は全く違うよ
    ドイツ人は時間に気にしない、ドイツ人は仕事に誇りはない
    これを象徴するのがDHLの悪名と土日に店を強制的に閉めさせる法律

  • #3

    モンタージュ (月曜日, 05 10月 2020 15:06)

    韓国を引き合いに出すのは日本とドイツに失礼。アメリカとかイギリスと比べてほしかった

  • #4

    ジェニ (木曜日, 12 11月 2020 20:52)

    ↑なぜ韓国と比べたら失礼になる?
    同じアジア圏で単一民族国家で文化も似てる国を比べるのは自然なことだろ
    日本と韓国は色んなデータから見てもやはり近い国なのが分かる

  • #5

    みっこ (水曜日, 27 10月 2021 17:37)

    日本人とドイツ人は似てるって発言する人は欧米にも多いけど
    完全に間違った考えだよね
    昔は日本人が積極的にドイツに好意をアピールしてそういう言いかたしてたけど
    最近はドイツ人の方が日本に片思いしてるなあっという印象
    ①②⑦は特に共感
    昔日本女性はドイツでモテるとか言って失笑買ってたの思い出した(ドイツ人彼氏や旦那持ってる特殊グループにいるからそうなるらしい)

  • #6

    幻想 (火曜日, 20 2月 2024 05:59)

    ドイツに住みましたが、ドイツ人と日本人が似てる点はほとんどなく、ほぼ正反対な性格で、お互い全く合わないというのが印象。
    日本のお馬鹿メディアとと自称ジャーナリストがドイツを賛美する事多いけど、これらが全てが神話、幻想だということがドイツ在住者の共通する見解です。

    生産性のことがやたら強調されますが、単純に仕事が雑で耐え難い仕上がりのにも関わらず、異常なほど労働者が法律で守られ文句が言えないだけです。ひどい、とにかくすべてのサービスがひどい。。。。二度とドイツに住みたくないというのが個人の見解です。