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国民生活の実感と乖離する「GDP」のまやかし

米景気「戦後最高」期に史上最悪の格差拡大

中原 圭介 : 経営コンサルタント、経済アナリスト
2019年05月15日

マクロ経済学で最も重要な指標は「GDP(国内総生産)」といわれています。しかし、本当にそのような認識のままでよいのでしょうか。
なぜ、そのような疑問を呈するのかといえば、2000年以降の経済データを子細に見ると、
「GDPが増加する」=「国民が豊かになる」という方程式が、もはや成り立たなくなっているからです。


アメリカの物価上昇は国民生活が向上することによって達成されたわけではないということです。本当のところは、中国の急激な経済成長に伴い原油の需要が急拡大し、主として原油価格が高騰することによって起こったものなのです。
その証拠として、アメリカの物価指数を項目ごとに分解して見ていくと、物価の本当の姿をとらえることができます。
すなわち、2000年以降で特に物価上昇が激しかったのは、主としてガソリン、電気、食料などといった生活に欠かせないモノばかりだったのです。原油価格が上がると電気料金も上がるというのは当然のことですが、なぜ原油価格が上がると食料価格まで上がるのかというと、現代の農業が石油に大きく依存しているからです。たとえば、畑を耕すトラクターの燃料は軽油ですし、肥料を散布する飛行機の燃料はケロシン(灯油に近い燃料)です。野菜を栽培するビニールハウスの暖房用の燃料は、主に灯油などが使われています。原油価格が上がれば、軽油やケロシン、灯油などもそれに連動して上がり、小麦、大豆、トウモロコシなどの価格も上がっていくのです。トウモロコシや大豆などの飼料穀物の価格が上がれば、鶏、豚、牛など食肉の価格も上がっていくというわけです。


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