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亡者が蠢く「日本ITゼネコン」という地獄


2019.04.24

整備に80億円、年間維持管理費に10億円もの税金をつぎ込みながら、利用率が想定の0.1%という「中間サーバー」が物議を醸しています。なぜこんな「ムダ遣い」がまかり通るのでしょうか。

世界的エンジニアの中島聡さんがその理由を記すとともに、日本ITゼネコンの「地獄絵ぶり」を明らかにしています。

 

日本ITゼネコン地獄絵

先週、「80億円で整備のサーバー、利用率厚労省想定の0.1%」という報道を見ました。

マイナンバー制度とハローワークの事業をつなぐ「中間サーバー」を厚生労働省職業安定局が約80億円かけて整備しながら、その利用率が最大想定の0.1%にとどまっていることがわかった。

このサーバーには年間約10億円の維持管理費がかかり、2017、18年度に続いて19年度予算にも計上されている。

と本当に悲しくなるような話です。

とんでもない税金の無駄遣いですが、こんなことになっても誰も責任も取らず、同じようなことを繰り返すが今の日本です。

なぜ、こんなことになってしまうかをちゃんと考えると、それは産業構造そのものにあることが分かって来ます。

その中に極悪人がいたり私腹を肥やしているのであれば、その人を退治すれば良いのですが、そんな人は存在せず、それぞれの人が、既存のシステムの中で、良かれと思って行動しているからこそ、逆にたちが悪いのです。

このシステムに関わる人たちは、以下のような人たちです。

・与党の政治家

経団連に属するような企業が潤うような形で公共投資をすることが、景気を良くするし、雇用も増やし、結果として票に繋がると信じています。細かなことは霞が関の官僚たちに任せています。二世議員、三世議員が多く、親から引き継いた地元の票田が何よりの宝です。

・霞が関の官僚

大枠で政治家の意向に従いながら、日本を良くするのは自分たちだと自負して毎日、夜遅くまで働いている、とても賢い人たちです(主に東大法学部卒)。大きな予算を動かすことが、出世に繋がるし、それが良い天下り先を提供してくれます。

・ITゼネコンの幹部

自分たちのビジネスモデルが、政府や政府の関係機関からのIT投資により成り立っていることを良く理解しており、そのビジネスの確保のために霞が関の官僚と良い関係を結ぶことが何よりも大切だと理解しています。

そのためには、彼らの天下りを受け入れることは当然です。

・ITゼネコンのエンジニア

理系の大学を卒業した彼らは、何でも出来るゼネラリスト・管理職として要請されるため、自らソフトウェアを書いたりはせずプロジェクト・マネージメント、仕様書の作成、下請け管理、営業などを担当します。

うまく出世できた人だけが経営幹部になれますが、そうでない場合には、下請け会社に天下りします。

・派遣会社の営業

派遣会社は、より多くのエンジニアをITゼネコンやその子会社に雇ってもらうことが売り上げと利益に繋がるため、ありとあらゆる手段を使ってITゼネコンの幹部たちをたらし込めるのが彼らの仕事です。

ゴルフ接待はもちろん、飲食接待から風俗接待まで何でもします。

・派遣社員

派遣会社で雇われてITゼネコンのプロジェクトでプログラムを書くエンジニアたちです。

しかし、その多くは文系の大学を卒業しており、プログラミングなど、就職するまで一切したことはありません。

プログラミングは派遣会社に入社した後の社内研修で覚え、その後は、仕事をしながら覚えています。

給料は安く、労働環境は過酷で、自分たちのことを「3K」などと呼んで卑下しています。

こうやって書いてみると、まるで地獄の亡者たちのようだなと思って上のタイトルを付けました。


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