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「トランプ現象」は「プロ」の敗北の証明


以下に示すのは、トランプ大統領誕生後に発表された中山 俊宏教授 の論文抜粋( https://ja.wikipedia.org/wiki/中山俊宏 )である

中山 俊宏教授は、日本の国際政治学者であり、専門はアメリカ政治外交、アメリカ政治思想。

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トランプ現象は、アメリカが直面している問題と党派的な対立とが合致しなくなってい ることの狭間に生じた現象であり、その意味においては、トランプは従来のイデオロギー 的な構図の地盤を揺るがす潜在的な可能性も秘めている。しかし、構造的にはそうであっ ても、現実政治の局面では、共和党と民主党、保守とリベラルという従来の対立の構図を 拡大再生産してしまっているようなところがある。その結果、トランプ政権の誕生によって、民主党リベラル派は近年ないほど活気づき、「反トランプ色」を強めている。 民主党が「反トランプ色」を強めていくことは、党の左傾化が加速することを潜在的には意味している。

しかし、それが今後の民主党が進むべき方向性を示唆しているかという とまだそれははっきりとはしていない。

政権発足後、いまのところはトランプ政権が、オーソドックスな路線に回帰するような 兆候はあまり見られない。

人事は通常よりペースが遅く、プレスとの関係も非常に敵対的 である。選挙中から問題になっていたロシアとの関係も依然として不透明感が強く、予断を許さない。

支持率を見ても、歴代の政権の発足時の支持率の中では目立って低い。また ギャラップ社の調査によれば、アメリカ人のおよそ4割強がトランプ候補の勝利を受けて、 「怖い(afraid)」という感覚を抱いたという 。 (中略)

トランプ情報 の氾濫・・・悪意のあるモノ、陰謀論、大袈裟な反応、単なる無知と、ノイズだらけで、トランプ政権の実相がなかなか見えてこない。確かにトランプ政権自身がノイズを発していることも事実だが、さらに増幅効果がかかったノイズは、いざトランプ政権を冷静に見極めなくてはならなくなった時、その実態を見誤らせてしまうかもしれない。その見誤りは、日本にとって致命的なものになってしまう可能性も当然のことながらある。

トランプ政権は、これまでにない「異形」の政権であることは間違いない。しかし、アメリカが日本にとって不可欠な国であり、短期的にアメリカに代わる代替案を持ち合わせていないこともまた事実であろう。

こうした状況だからこそ、日本はなぜアメリカを選択したのか、そして引き続き選択し続けるのか、それを改めて言語化し、アメリカを意識 の上で「再選択」するという思考過程を辿る必要がある。アメリカとの関係は、ともすると、「日本にはそれしかない」という消極的な文脈で肯定されがちだ。

しかし、選択肢の不在を 嘆くのではなく、実はアメリカと組むことが日本にとって最善の選択肢だということを示 し、アメリカを「再選択」するというプロセスをトランプ時代だからこそ行う必要があるのではないか。その意味で、日本にとってのトランプ対策は、われわれ自身がトランプを どう言語化するかというところから始まらないといけない。

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☞ 当時、中山教授はこのように述べられているが、多くの方が今後の日本の将来を憂慮されているはず !!  

  今まさに、日本国の自立を推し進めていくべき決断の時期に差し掛かろうとしている。 

 


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