おがわの音♪ 第712版の配信★


「自動車リース」に石油元売りが参入するわけ

自動車整備工場から保険代理店まで続々参入

水落 隆博 : 東洋経済 記者
2019年01月31日

自動車業界が100年に一度の大変革期に突入している。
トヨタ自動車が「車を造る会社からモビリティサービス会社に変わる」と宣言したとおり、エンジンなどの性能や販売台数を競う時代から、新たな移動サービスを提供するCASEコネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)へと競争の軸足が移行している。

背景にあるのが技術進歩と車に対する消費者の意識の変化だ。実際、自動車販売の現場ではここ数年、消費者の行動に大きな変化が生まれ始めている。

個人向けオートリース市場が急成長しているのだ。


 CASEとは、Connected(つながる)、Autonomous(自律走行)、Shared(共有)、Electric(電動)を意味する言葉です。
いま自動運転の話題を目にする機会が増えましたが、自動運転は1台の自動車が単独で周囲を認識しただけでは実現しません。
目的地に向かう途中の道路標識や信号機、建物などの立体的な配置も正しく把握されていなくてはなりません。そのためには膨大なデータ量の3次元地図が必要となります。

それらを全て個々の自動車が持っているのは大変なことで、必要に応じてクラウドからダウンロードする必要があります。さらに、地図は変わり続けます。その変化を捉えた自動車はクラウド上の3次元地図に更新情報を送り、その近辺を走る他の車の地図を更新します。そんな“Connected”なくして“Autonomous”は実現できません。
自動車がインターネットと“Connected”になれば、多くの情報をリアルタイムに捉えることが可能になりますが、CASEによる産業や社会へのインパクトも大きくなるはずです。
CASEが進むことでまず影響を受けるのは、自動車産業自身です。
今盛んに言われるように、自動車の生産台数が減少します。製造コストが減少(?)するので販売価格も下がるでしょう。自動車産業は大幅な収益の減少を余儀なくされます。また、保険会社への影響も大きなものになります。これっ極論になりますが、完全自動運転になれば、交通事故の責任は製造者である自動車会社になります。そうなると、交通事故の責任が運転者側にあることを前提に組み立てられた損害保険は不要となります。

完全自動運転が普及するまでには時間はかかりますが、部分的な自動運転が普及する過程で交通事故は減少し、保険会社の収益に変化をもたらすことは避けられません。
 交通事故が減少すれば、自動車整備工場の仕事もなくなります。またタクシーやレンタカー、バスや鉄道などの交通会社や公共交通機関も乗客が減少します。

既にライドシェアサービスが普及している米国や東南アジアでは、タクシーやレンタカー会社は倒産に追い込まれています。・・・

自動車産業に限らず、デジタルテクノロジーの進化はさまざまな産業に及んでいます。
例えば、無人レジの普及は流通業やその雇用の在り方、それに伴うコスト構造を大きく変えてしまうでしょう。

デジタルテクノロジーの進化がもたらすデジタルトランスフォーメーションとは、あらゆる産業を巻き込んで、既存の常識を破壊し、ビジネスの在り方を根本的に変革を促そうとしているといえるでしょう。


メール・BLOG の転送厳禁です!!  よろしくお願いします。