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温泉療法専門医が考えた「疲れをとる入浴法」


 

疲れをとる入浴法「5つのコツ」

 湯船に浸かるときのポイントをご紹介します。

  温度は40 

温度は40がよいでしょう。40までのぬるいお湯にゆっくりと浸かると、副交感神経にスイッチを切り替えることができます。

40は、人によっては「すこしぬるいかな」と感じる温度設定かもしれません。 

この温度の利点は、幅広い年齢層体力層にとって低リスクだというところです。 

のぼせやヒートショックなどの体調不良を起こしにくいという安全面のほか、1015分くらいの入浴時間でも十分に体が温まるので血液の流れもよくなり、疲労回復やリフレッシュ、体の痛みの改善につながります。 

「全身浴」で肩まで浸かる 

前述のように、半身浴より全身浴のほうが健康効果は高いので、しっかり肩まで浸かることが大切です。 

静水圧と浮力の作用により、体の隅々にまで血液を送ることができますし、温熱効果もアップします。 

注意点は2つ。いきなり浴槽に浸からないこと。まずかけ湯でお湯に体を慣らしましょう。 

また、心臓や呼吸器に疾患のある方はあらかじめ主治医に相談しておくことです。 

肩までお湯に浸かると息苦しく感じる人は無理せず半身浴にします。

 

浸かる時間は、10分から15 

入浴の際は、「長く入らなければ!」という気負いは必要ありません。1015分で大丈夫。 

その代わり、毎日湯船に浸かることが大切です。 

これくらいの時間ならば、心身に大きな負担はかかりませんし、しっかりと体が温まります。 

顔や額が汗ばんでくるくらいが目安です。 

万が一ちょっと息苦しいときは、自律神経のスイッチが交感神経に入っていることもあるので、浴槽から出て休んでください。心臓、血管、呼吸器に疾患がある方は注意が必要です。また、汗を流しながら我慢してお湯に浸かり続けると、入浴熱中症(のぼせ)になってしまいます。

健康を求める入浴で体調を崩したら本末転倒ですので、お風呂の我慢大会は控えてください。

 

入浴剤を選ぶコツは?

 

入浴剤でリラックス効果アップ! 

血流アップ&疲労物質除去効果がある「硫酸ナトリウム」を含む入浴剤を使用するのもいいでしょう。 

近年もっとも大きなシェアを占めているのは、泡が出る「炭酸系」入浴剤です。 

炭酸は、皮膚から直接吸収されて血管を拡げるため、血流を改善させます。 

また自分のお気に入りの香りを胸いっぱいに吸い込むことで、リラックス効果を高めることができます。 

入浴剤を選ぶひとつの目安としては「医薬部外品」と「浴用化粧品」を選ぶことです。この2つは、安全性と有効性について国の医薬品医療機器等法による規制を受けていますので、安心して使うことができます。 

 

入浴後は、温熱効果を逃がさない! 

お風呂から出た後は、裸でのんびりするのは厳禁。早めにタオルで水分をふき取り、毛布や布団にくるまりましょう。お風呂で汗をかいた後、扇風機や冷房で涼むのは、基本的にNGです(のぼせてしまった場合は別)。せっかく温まった体が冷めてしまい、血流のよい状態がすぐに終わってしまいます。

毎日湯船に浸かることは、働く現役世代から、ご高齢の方まで、幅広い世代に有益です。

私たちのチームが行った最近の研究でも 

毎日の入浴が、要介護リスクを減少させ
毎日の入浴習慣がある人は、幸福度が高い

 など、さまざまな健康効果が明らかになっています。 

健康法としての入浴のすばらしいところは、「安価」で「手軽」だということでしょう。 

現代では浴槽がない家庭は少なくなってきていますので、毎日気軽に実践することができます。 

手軽かつ安価で、毎日無理なく実践できる、最高の健康法。それが入浴なのです。


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