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スシローGHDの増益見通し、もう一つの理由

国際会計基準導入と「お家騒動、宴の後」

2018年8月16日(木)
財部 誠一

日本企業による、国境を越えた企業買収が近頃、目立っている。

買収の結末がどうなるかは誰にもわからない。狙いが外れることはしばしば起こる。
結果的に東芝を存亡の危機まで追い込んだのも米国の原子力関連企業、ウェスチング ハウス買収だったことを思えば、例えば武田薬品工業によるアイルランドの大手製薬企業シャイアー買収も到底、楽観視できない案件の一つだ。
 筆者は、一部の財界人の間で、武田薬品工業のM&A(合併買収)をめぐる経営に異を唱える意見を数多く耳にしていた。
問われているのはシャイアー買収の是非だ。買収に要した金額が6兆8000億円と日本のM&A史上最大となったうえに、買収後の武田が背負いこむ債務の巨額さが不安を煽っている。 買収金額のうち3兆8000億円は新株発行でまかなうが、残りの3兆円は銀行借入だ。さらに合併するシャイアーの有利子負債2兆円と、従来からの有利子負債1兆円も合わせると、武田が背負い込んだ借金は総額6兆円にも膨れ上がる。 シャイアー買収を疑問視する財界人の多くは武田の経営の急激な「多様化」にも不安を抱いている。 

例えば、タケダ・エグゼクティブチームと呼ばれるトップマネジメント14人のうち11人は外国人で、日本人は3人だけだ。
 これこそが本当のグローバル経営というものなのかもしれないが、そこには創業1781年の老舗の顔は見えない。将来のトップマネジメントと期待されながら、経営に異を唱えて武田を去っていった者もいる。


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