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IOTの成否は高齢者の○○で決まる!

2018年4月28日

東京オリンピックの喧騒が去った2020年、あなたはどんな生活をしているだろうか?
 AIによってシンギュラリティは起きるか?

 ヒト以上にやさしいAIは登場するか?

 ヒトとAIはどう共存していくのか?
構想・執筆に2年、「愛」がテーマという注目のエンターテイメント小説『マルチナ、永遠のAI。』が話題となっている。
実物通貨と仮想通貨、日常と非日常、ヒトとAIの境界線がどんどんなくなりつつある今、私たちはどうやって生きていけばいいのか? 
2000年代中盤から「AI」と「IoT」を研究し続けてきた大村氏の特別寄稿をお送りする。 


【参考】AI後進国ニッポンが危ない! 脱出のカギはディープラーニング人材の育成

ディープラーニング(深層学習)に代表されるAI(人工知能)技術の活用ビジネスで、米国はもとより中国にも大きく出遅れている日本。

「世界で勝てる感じはしない、敗戦に近い」という松尾豊・東京大学大学院特任准教授の強い危機感をきっかけに、日本のAIビジネスの現状をリポート。

 ディープラーニングがもたらすインパクトと早期の実用化を数年前から訴え続けてきた、東大の松尾特任准教授はこう言う。「ディープラーニング・ビジネスは出てくると思うが、海外に比べて日本は遅れている感じがする。

国内はともかく、世界で勝てる感じはしないし、とても厳しい状況だ。そもそも日本は(コンピューターソフトウエアやインターネットなど)ICT(情報通信技術)で負けたが、ディープラーニングで逆転できるのかなと思っていたが、もう敗戦かもしれない」。

ディープラーニング・ビジネスの分野

 

出所:松尾豊・東京大学大学院特任准教授

脱出のカギはディープラーニング人材の育成

 「ディープラーニングは50年来のブレークスルー」  

松尾氏は、国内ディープラーニング研究の権威の一人である。

その松尾氏は「ディープラーニングは、AIにおける50年来のブレークスルー。

潜在的には、すべてのホワイトカラーの労働を代替するような汎用的な技術だ」と説明する。マシンラーニングの一種であるディープラーニングが実用化されれば、自動運転や他者理解、自動翻訳などが完璧にできるようになるなど、社会的に大きなインパクトをもたらすという。

左表は、松尾氏が既に2016年の時点で作成していた、ディープラーニング・ビジネスの分野をピックアップしたものだ。

すぐにでもディープラーニングを活用すべき分野がいくつもあることが分かる。

 

ディープラーニング・ビジネスの分野

 20126月、米グーグルと米スタンフォード大学は共同で、動画サイトのYouTubeから取得した大量の画像を、コンピューター上に仮想のニューロン(神経細胞)を層状に並べたニューラルネットワークに入力したところ、事前に何も教えなくても「これは猫である」と認識した。

ニューラルネットワークにたくさんの画像を見せることによって、内在する特徴を抽象化することに成功した。ビッグデータと高速並列処理の進歩が後押しした格好だ。 今後は画像だけでなく、音声や圧力センサーなどの観測データから特徴を抽象化して環境認識や行動予測ができるようになる。

さらに推論したり、高度な状況の認識をしたりできるようになるという。

人間のように本を読んで理解できるようになるのが最終形の一つだ。

こうした研究に米国企業を中心に投資が始まっている。

 米グーグルは2014年、英ディープマインド・テクノロジーズを買収。

買収額は4億ドル(約430億円)だった。ディープマインドはディープラーニングなどを活用して「アルファ碁」を開発。

20163月、韓国のイ・セドル九段との5局勝負で、アルファ碁が41敗と圧勝した。プロ棋士が圧勝するのではないかという当初の予想を大きく覆す結果となり、日中韓の囲碁界に衝撃を与えた。

 米フェイスブックは2013年、人工知能研究所を設立してニューヨーク大学のヤン・ルカン教授を所長に招いた。そして、同社のマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は2014年、人工知能の新興企業であるヴィカリアスへの4000万ドルの投資ラウンドに参加した。

また、中国検索最大手の百度(バイドゥ)は2013年、シリコンバレーにディープラーニングの研究所を設立。2014年には米スタンフォード大学のアンドリュー・ニグ教授を研究所所長として迎え、約3億ドルの研究予算を投じるなど、ディープラーニングの研究で米国企業をキャッチアップしている。

国のAI研究投資額は米は300億円、日本は80億円から 

ところが、2014年当時、国のAI研究投資額は、年間300億円以上の米国に対して同85億~95億円と日本は大きく見劣りしていた。

しかも、日本でディープラーニングの研究に本格的に投資する企業が出てきていなかったのだ。ようやく動きが出てきたのが2015年以降になる。

 まず国の動きとしては20155月、産業技術総合研究所(産総研)に人工知能研究センターが設立された。

翌年の20164月、理化学研究所に革新知能統合研究センターが設立されたのだ。これによって国のAI研究投資額は200億円程度まで増えた。

 企業の動きとしては、20154月にリクルートホールディングスがRecruit Institute of TechnologyRIT)を本格的なAI研究拠点に再編(現在のAI研究拠点の名称はMegagon Labs)。マシンラーニングの大家である米カーネギーメロン大学のトム・ミッチェル教授をはじめとする世界の権威をアドバイザーとして迎え入れた。同年11月には拠点を米国シリコンバレーに移し、米グーグルリサーチで実績のあるアロン・ハレヴィがMegagon Labsトップに就任した。

 さらに20161月、トヨタ自動車は米国カリフォルニア州パロアルトに、AI技術の研究・開発強化に向けて新会社を設立した。新会社の社長に就任したのは、AIとロボットの研究で世界的に有名な研究者であるギル・プラット氏だ。

 AIは完全自動運転を実現するうえで欠かせない。201511月の記者会見でトヨタ自動車の豊田章男社長は「AI技術とビッグデータを結びつけることで、自動車以外の新しい産業を創出することも可能になる」と話した。

投資規模は、5年間で1200億円。当時としては大きな話題になった。

 しかし、米国企業や中国企業のAI投資額は、桁違いに大きい。

ABEJA(東京・港)の岡田陽介社長 CEOCTOや楽天技術研究所の代表である森正弥執行役員が話すように、アマゾンの年間2.5兆円、アリババ集団の年間1兆円に比べると、「5年間で1200億円」という数字が小さく見えてしまう。ちなみに岡田社長は、ディープラーニングに注目が集まり始めた2012年(910日)に、早くもABEJAを設立している。



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