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日本人が忘れかけている、雑草が山と命を支えているという事実


「雑種」「雑魚」「雑草」は、比喩的表現としても、邪魔、または有害なのけ者にすべき存在を意味します。

本当に「雑草」は人間にとってただ有害なだけの存在なのでしょうか?

無農薬・無肥料のりんご栽培を成功させた木村秋則さんと、関西シェフ同友会会長の小西忠禮さんの対談から、本来あるべき人間と自然が共存する道を考えます。

 

豊かな森を支えているのは「雑草」だった?

 無農薬・無肥料のりんご栽培を長年月をかけて成功させた木村秋則さん。その道なき道を歩む中で得た人生訓は心にじんと響くものがあります。 

小西忠禮(関西シェフ同友会会長)×木村秋則(りんご農家)

 木村 「自分の得ばかり求めても結局何もできないと思うんですよ。そりゃ一時的にはいい結果を生むかも分からないけれども、長続きしないし、そのうち社会から淘汰されてしまうんではないでしょうか。皆のためにと思ってやってこそ、初めて社会がそれを押し上げてくれる。私はそう思います」

小西 「おっしゃるとおりです。私が第二の人生に教育の場を選んだのもそこなんです。一度しかない人生を有意義に送るためには、自分のためだけでなく周りの、この地球上のすべての人々のために、という意識を持って行動することが大切です。 多くの先人がそういう尊い志のもとに生きてきたからこそいまも人間が存在するわけで、自分さえよければという思いで生きていたら、地球はとっくに滅びていますよ」 

木村 「山の木は1,000年も2,000年も山を守っているわけだけど、あれを支えているのは雑草なわけですよ。外気が35℃の時に雑草の下の地面の温度を測ったら22℃。それほど違うんです。そのおかげで木は元気に育つことができるんです。そもそも「雑草」という言葉が悪い。役草といえば見方が変わってむやみに除草剤を使わなくなるかも分からないと思うんだけどなぁ。 なのに人間は、草の育たない環境をつくってしまいました。 小西さんは『はこべ』って草を知っていますか? はこべは旨いよ。あれは『おっぱい草』ともいって、昔はお母さんのおっぱいが少ない時に搾って汁を飲ませていたんだけど、いまはどこの畑に行っても見なくなったのな。はこべが育たない環境をつくってしまいました」 

小西 「地球上にあるすべてのものは、本来益になるものばかりだから共存共栄していかないといけないわけですね。いまはなんでも効率とか、利便性ばかりが優先されて、そのことを忘れてしまっています」 

木村 「人間は、未来に向かって歩む一方で、自分たちを生かしてくれている環境も大切にしていかなければならないと思うんです。

         私たちはどんなにもがいても所詮地球に生きているんですから。逃げられないのな(笑)」 

 

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