おがわの音♪ 第1661版の配信


「5年後も使えるPC」はどう選ぶ?

検討から導入までのタイムラインはおよそ89カ月。早めの対応が必要だ

2024/11/21

202510月に予定されているWindows 10のサポート終了に伴い、PCの買い替えを検討している企業は少なくないだろう。AI革命の最中にある今、5年後も使えるPC」の選定基準とは何か。

企業が注目すべきポイントを解説する。



色々な「当たり前」が変化した今、PCはそのままで良いのか?

 コロナ禍以降、働く環境は大きく変化した。

現在、日本国内を対象とした市場調査では、回答した企業・組織のうち 4割強がテレワーク制度を導入している。

一方、アフターコロナでテレワークを廃止した企業・組織の割合は10社に1社のみで、むしろテレワークを促進している企業が増えている。また、週34日は出社し、週12日はテレワークをするといったハイブリッドな働き方も浸透しつつある。こうした結果は、それだけ柔軟な働き方が根づいてきたことを示す。

働き方の変化に合わせて、オフィスの在り方も変わり、何らかの形でフリーアドレスを取り入れている組織の割合は7割を超える。
 このように働く環境が大きく変化する中、大多数のビジネスパーソンが毎日使うクライアントコンピューティング、すなわち「PC」はこのままで良いのだろうか。

実は今、PCを考え直す格好のタイミングにある。

サポート終了までついに1年を切った「Windows 10

 なぜ今、PCについて考える必要があるのか。それは、マイクロソフトが202511月にWindows 10のサポートを終了するためだ。
 サポートが終了すると、セキュリティパッチの提供も終了する。そうなると、脆弱性が修正されないこととなる。

脆弱性が放置されたままでは企業経営にとって非常に大きなインシデントをもたらす可能性がある。

企業や組織を安定的に持続可能な形で運営するためにも、マイクロソフトが示す日までに必ずWindows 11に移行しなければならない。
 また、OSのサポートが切れるとは、その上で動作するサードパーティーのソフトウェアも使えなくなり、アプリケーションの互換性が低下する。
 OSのサポートが終了することで、当然新機能の追加もされなくなる。PC上で新しいことに取り組みたくても対応ができず、業務の生産性にも影響する。

今が、余裕をもって「Windows 11移行」ができる最後のチャンス

 202510月のサポート終了までにWindows 11への移行を完了するためには、どういった対応が必要なのだろうか。

Windowsのリリースサイクルをもとにタイムラインを示したい。
 まず、Windows 10の最終バーションとして「22H2」がリリースされている。

これより前のバージョンはすでにサポートが終了しているため、「21H2」以前のバーションを使用している企業は可及的速やかに22H2に移行する必要がある
 その上で、Windows 11も、当初リリースされた「21H2」のバージョンはサポートが終了しているため、次の「22H2」、「23H2」までバージョンアップを進めたい。
なお、Copilot+PCに至ってはすでに「24H2」のバージョンで出荷が開始されている。
 レノボ・ジャパン 製品企画部マネージャーの元嶋亮太氏によると、同社が企業や組織におけるWindows 11への移行状況を調査したところ、20243月の時点で約5割弱が「移行完了」または「移行/導入中」と回答、4割が「検証中」「検討中」としている。

 Windows 10のサポートが終了する202510月まで1年を切っているわけだが、次にどのPCを選定するか、余裕をもって検討するには、今が最後のタイミングだと元嶋氏は言う。
Windows 11移行の検討から導入までをタイムラインに当てはめてみると、OS検討から検証期間までに費やす期間の平均日数は156日です。この期間は企業規模が大きくなればなるほど長くなります。かつ、バージョンアップが済んでいないアプリケーションが残っている場合はアップグレードの対応に時間がかかります」(元嶋氏)
 つまり、202411月末からOS検討を始めたとして、検証が済むころには桜が散る季節になっているということだ。
「仮に新しいデバイスを導入することになった場合、そこからRPF(提案依頼書)を出し調達を進めていくことになるので、プラス3カ月。
利用開始は早くて8月以降となります。このタイムラインを見ると、『今が余裕をもってWindows 11への移行を検討する最後のタイミング』という理由がわかります」(元嶋氏)

PCの買い替え時に検討したい「数年先を見据えたスペック」

 Windows 10からWindows 11に移行する手段は、デバイスはそのままにOSをアップグレードする方法と、そもそもデバイスを買い替える方法の2通りが挙げられる。
このうち、デバイスはそのままでOSをアップグレードする場合は、ただちに行動に移すのが最善だ。

一方、デバイスの買い替えを検討している場合には、従業員がPCを快適に使用するために、もしくは攻めの使い方をするために必要なスペックを満たしているかどうかを基準にすると良い。買い替えを検討している企業では45年前、コロナ禍に突入する前後にPCを調達し、今に至っているケースが多い。 

この45年の間にはコロナ禍を挟んでおり、働き方が大きく変わったため、PCに必要なスペックも大きく変化している。

5年間で求められるスペックは大きく変化。

現時点での「標準」を見極めよう

 20192020年と2024年現在を比較すると、メモリは8GBが標準であったのに対し、今では16GBが標準的になっている。今後の生成AI活用や、昨今のオンライン会議用アプリケーション、ブラウザのメモリ使用量を踏まえ、32GB以上を選定する企業も増えている
 また、カメラの進化も著しい。レノボが2017年に行った調査によると、当時オンライン会議の活用率は25%にとどまっていた。
2024年現在は約70%と、3倍ほどになっている。

そうした背景から、カメラの解像度の標準は5年前のHD720pからFHD1080pまで上がっている。

通信方式に関しても、Wi-Fi5/4G LTEからWi-Fi6E/5G Sub6へと規格が変化している。 

もう1つ、20192020年には考慮する必要のなかったAI時代の推論性能が必要となっている点にも注目したい。
PCは『今日買っておしまい』ではありません。多くの場合、1度購入したら35年は使用することになります。たとえば上記で挙げた生成AI活用の観点から3年先、5年先はどういった性能が求められるかを考慮することが必要なのです」(元嶋氏)


セキュリティ、NPU、常時接続性……AI時代のPC選定

 このように、5年前と比較して、PCに求められる性能は大きく変化した。最後に、レノボのプロダクトを例に、何がどう進化したか見てみよう。
 たとえば、カメラだ。2020年ごろから各社で導入され始めたオンライン会議は、2024年現在ではすっかり定着している。

オンライン会議についてレノボが調査したところ、4社中3社はオンライン会議でカメラをオンにしているという。
「オンライン会議では音声も含め、カメラの性能が重要視されます。

レノボでも、2019年を皮切りに、ノイズキャンセリング機能を用いてマイクの音の精度を高めたり、カメラの画質向上に努めてきました。

それだけでなく、背景ぼかしや人にフォーカスするオートフレーミングなどの機能も搭載しています。

画質にもこだわり、室内や玄関、暗めのカフェなど、さまざまな場所できれいに顔の表情を映すことができます」(元嶋氏)

 また、近年レノボではAIを活用した顔認証技術にも力を入れている。

あらかじめ顔認証の機能をオンにしておくと、離席した際に自動でロックがかかり、本人の顔でなければロック解除できないようになる。

これはセキュリティに頭を悩ませるIT管理者にとって画期的な機能だ。
 もう1つ、AI処理に特化したNPU(ニューラルプロセッシングユニット)の登場も重要なポイントだ。

NPUCPUGPUに次ぐ新たなエンジンとして、より速く、より賢く、より低消費電力を実現している。

今後、対応アプリケーションが増えていくことを考慮すると、NPUPC選定の1つのキーになるかもしれない。
 とはいえ、たとえば生成AIを活用する際、NPUだけでなくCPUGPUを使うケースも少なくない。

そのため、NPUが搭載されているか否かのみにとらわれず、自社ではどういったアプリケーションを使うのか、そのアプリケーションはどんな性能仕様なのかに着目してPC選定を行うことが重要だ。なお、直近では「Copilot+PC」が登場しているように、今後もクラウドの先で行われる生成AIによるイノベーションが主戦場になることには変わりはない。そのため、ネットワークへの常時接続性は必須だ。 

Copyright © SB Creative Corp. All rights reserved.


企業・団体献金、30年前の積み残し 

2025/01/06

2024年は「政治とカネ」をめぐる話題が尽きませんでした。

10月の衆院選後に開かれた臨時国会では、企業・団体献金の禁止をめぐり、与野党が対立。

 国会開会中の12月14、15日に朝日新聞社が実施した全国世論調査(電話)で、「企業や団体の政治献金を禁止するべきだと思いますか」と尋ねました。

結果は、「禁止するべきだ」が48%と多数で、「その必要はない」は36%でした。

2024年は「政治とカネ」をめぐる話題が尽きませんでした。

10月の衆院選後に開かれた臨時国会では、企業・団体献金の禁止をめぐり、与野党が対立。国会開会中の12月14、15日に朝日新聞社が実施した全国世論調査(電話)で、「企業や団体の政治献金を禁止するべきだと思いますか」と尋ねました。 

結果は、「禁止するべきだ」が48%と多数で、「その必要はない」は36%でした。 

 今につながる企業・団体献金の禁止をめぐる議論は、およそ30年前の「平成の政治改革」で積み残されたものです。

当時野党だった自民党の河野洋平総裁と非自民連立政権の細川護熙首相が政治改革に合意した際、税金を原資とする政党交付金を導入するかわりに、政治家個人への企業・団体献金を禁止することにしたのですが、政党への企業・団体献金については、5年後にあり方を見直すことにしました。しかし、その後も見直しは手つかずのまま。今も議論が続いているというわけです。 

 2人が合意したのは1994年1月下旬のことですが、その4カ月前、国会で政治改革関連法案の議論が本格化する前の93年9月の全国世論調査(電話)で、政党への企業・団体献金の扱いについて聞いています。政府案は、政党への献金は5年後に見直すことにし、当面認めていると説明したうえで、「政党への企業・団体献金についてどう思いますか」と3択で聞いています。

結果は「すぐに廃止」43%が最も多く、「5年後には廃止」が33%、「今後も認めてよい」は15%でした。 

 では、昨年12月の世論調査を詳しくみてみます。

企業・団体献金を「禁止するべきだ」と回答した人は、高齢層で比較的多く、若年層で比較的少ない傾向でした。 

60代と70歳以上では「禁止するべきだ」が60%近くあり、「その必要はない」のおよそ倍でした。

かつての政治改革を知る世代だからこそ、「禁止するべきだ」との思いが濃く出たのかもしれません。 

 ただ、石破茂首相は、企業・団体献金の禁止に否定的な考えを繰り返し述べています。 

自民支持層では「禁止するべきだ」は40%と比較的少なく、「その必要はない」が48%でした。一方、立憲支持層では「禁止するべきだ」72%が「その必要はない」22%を大きく上回っています。 

 こんな質問もしました。「企業や団体の政治献金によって、政党の政策がゆがめられると思いますか」 

結果は、「ゆがめられる」が61%で、「そうは思わない」25%の倍以上でした。 

無党派層では「ゆがめられる」57%が「そうは思わない」21%を上回り、内閣支持層も同じ傾向の「ゆがめられる」が58%、「そうは思わない」が31%でした。自民支持層では「ゆがめられる」47%と「そうは思わない」43%が拮抗(きっこう)しました。 

 なぜこんな質問をしたのか、わけがあります。政治資金規正法では、政治資金は「国民の浄財」だとしています。つまり、政治資金となる、企業や団体の献金は「浄財」だというのですが、「政治とカネ」をめぐる不祥事は後を絶たず、政策に影響を与えているのではないか、癒着につながるのではないか、との疑念が消えないからでした。

 企業・団体献金の禁止について、与野党は3月までに結論を得ると申し合わせています。どんな議論を経て結果を出すのか、注視します。

出典 朝日新聞デジタル



 

最後までお読みいただき、有り難うございました。  ☚ LINK 

*** 皆さんからの ご意見・ご感想など BLOG』のコメントを頂きながら、双方向での 【やり取り】 が できれば、大変嬉しく思います!!   もちろん、直接メール返信でもOK ! です。 ^_^ *** 


メール・BLOG の転送厳禁です!!   

     よろしくお願いします。