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人の代わりに働くAIロボットが現実に

「エージェント機能」の進化

2025/01/11

AIが人間に代わって仕事をする。今年はそれが現実味を増す年になりそうだ。

対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」の公開から2年以上たち普及が進む。性能向上に伴う安全対策も必要で、主要国は規制にも取り組む。昨年のノーベル賞では物理学賞と化学賞でAI関連の研究が選ばれた。米IT大手グーグル傘下の「グーグル・ディープマインド」のデミス・ハサビス最高経営責任者(CEO)や、カナダのトロント大のジェフリー・ヒントン名誉教授らが受賞した。AIの影響力の高まりを象徴する出来事となった。 

ポイント

・人工知能(AI)が様々な作業をこなす「エージェント機能」の開発が進んでいる

・AIとロボットの組み合わせも研究されており、人手不足の日本にとって有望分野だ

・競争が激しくなるなか、主要国が規制に向け足並みをそろえることが一層求められる 



AI開発企業が力を入れるのが、人が担ってきた作業をするエージェントと呼ばれる機能だ。

チャットGPTを運営する米オープンAIは、電話で人間とやりとりしイチゴを発注する様子を公開した。同社のケビン・ウィール最高製品責任者(CPO)は「2025年はついにエージェント機能が主流になる」と話す。

グーグルや、オープンAIに出資する米マイクロソフト(MS)なども同じような機能を開発している。

作業のすべての段階をAIがやるのではなく、ある「目標」に向けて徐々に担っていくイメージだ。

論理的に考える能力をもとに「行動」できるAIエージェントは、人間並みの知能を持つ「汎用人工知能(AGI)」に向けた大きな一歩とされる。

AIは24時間休まず動くことができ、企業にとっては生産性の向上やコスト削減につながると期待されている。

 コンサルティング会社デロイトは、2027年には生成AIを活用している企業のうち半分が何らかのAIエージェント機能を導入すると予測する。

昨年12月にカナダのバンクーバーで開かれたAIの国際学会「NeurIPS(ニューリップス)」では、最先端の技術や課題が議論された。

「事前学習は終わりを迎える」。著名なAI研究者のイリヤ・サツキバー氏は講演でこう訴えた。

チャットGPTなどの基盤となっているのが大規模言語モデル(LLM)だ。インターネット上の膨大なデータをもとに自動的に「学習」をしている。

  データやコンピューターの計算能力を増やせば増やすほど性能が高まる「スケーリング則」と呼ばれる経験則がある。

    これが最近のAIの進化の原動力となってきた。

サツキバー氏はこの状況が変わるという見方だ。ハードウェアの進化で計算能力は向上していくものの、データには限界があると指摘。 

「データはAIの化石燃料」だとして新たな開発手法が必要だと訴えた。

こうした課題を乗り越える挑戦の一つが、オープンAIが発表した基盤モデルo1(オーワン)だ。

回答する前に時間をかけて「考える」よう訓練し、論理的な能力を改善させた。 

AIが画像や音声を認識する機能も向上させようとしている。

人間の目や耳にあたるものだ。AIは現実に起きている状況を把握する分野で課題を抱えてきた。


米メタ(旧フェイスブック)のAI研究部門のトップ、ヤン・ルカン氏は、・・・

「物理的な世界の理解、一定の記憶力、論理的な思考、計画を立てる能力。今のAIはこれら四つの重要な能力を持ち合わせていない」と話す。

 モノが床に落ちるなどの物理的な原理は、人間なら生後9カ月ほどでも直感的に理解できるとされる。AIにはこうした理解が、まだできないという。

ルカン氏らは、動画データによる訓練を通じて、物理的な世界の動きを理解することをめざす。

 AIとロボットを組み合わせて、身の回りの作業へ活用する動きも広がる。

 スウェーデン王立工科大のダニカ・クラジック教授は、服をたたんだり、飲み物を注いだりできるロボットをつくろうとしている。布のような変形しやすい物体の動きを認識させるため、3次元の空間的な状態を教えこむ手法などを研究する。 生成AIが進化し人間の「五感」にあたるような認知機能を身につければ、においに反応しておむつを替えるロボットもできる。

製造業に強みがあり人手不足に直面する日本にとって、AIロボットは有望な領域といえる。

 一方で、最新のAIでも間違った回答をすることがある。

エージェント機能などが実際に使われるようになり、より多くの作業をAIに委ねるようになれば、悪影響のリスクも高まる。

 非営利団体「フューチャー・オブ・ライフ・インスティテュート」は昨年12月、オープンAIやグーグルなど6社についてAI安全性インデックスを公表した。安全性が高い順にAからFに区分しており、6社のうち最も高かった米アンソロピックでもCにとどまった。

 調査にかかわった著名研究者のジョシュア・ベンジオ氏らは、6社すべてのAIモデルが悪意のある外部からの攻撃にもろいと警鐘を鳴らす。

 汎用人工知能に向けた競争が激しくなるなか、安全面でのブレーキがききづらくなることも懸念されている。

 欧米や日本は、最先端のAIを開発する企業への規制を検討している。外部機関による監査なども重要となってくる。

 サツキバー氏は将来について、論理的な理解力を備えるほど、予測不能になるとしている。 

「素晴らしい能力を持つ一方で、リスクについては想像に任せたい」と警告した。AIが進化するなか安全対策も急務だ。

規制、米次期政権の対応は

 AI規制では主な開発企業を抱える米国のトランプ次期政権の対応が焦点となる。

 バイデン政権は2023年、規制のための包括的な大統領令に署名。

安全保障や国民に深刻なリスクとなりうる技術を開発する企業に、安全性テストの結果の提示などを義務づけた。

トランプ氏はこの大統領令を撤回する姿勢を示している。

声明で「米国の競争力の未来に重要な分野だ」とし、中国との競争なども念頭に過度な規制は避けるとみられる。

 トランプ氏はホワイトハウスのAI担当補佐官にシリコンバレーの投資家デビッド・サックス氏らを起用。

   実業家のイーロン・マスク氏も含め、規制慎重派の登用が目立つ。

 バイデン政権では米連邦取引委員会(FTC)のリナ・カーン委員長らが、厳しい姿勢で臨んだ。

昨年11月には反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いでマイクロソフトへの調査を始めたと報じられた。

対象は企業向けAI関連サービスなど多岐にわたるという。

トランプ氏が大統領に就任後も、規制当局によるこうした取り組みが続くかも焦点となる。 

世界でも規制の動きは広がる。欧州連合(EU)は昨年、包括的に規制するAI法が成立した。日本政府もAI関連の法案づくりの検討を始めた。主要7カ国(G7)は先月、最先端のAI開発者にリスクや管理体制についての報告を求める枠組みで合意。23年に日本主導で合意した国際ルール「広島AIプロセス」にもとづくもので、透明性と説明責任を求めるとしている。AIは軍事面でも重要で、中国などは技術力を向上させようとしている。

米中対立もあるなか、国際的に協調していくことは難しくなっている。

実効性のある規制に向け、日米欧が足並みをそろえる努力が求められる。  

出典 : 朝日新聞デジタル



石破総理が恐れる「維国同盟」と自民密室政治の崩壊

吉村氏が玉木氏に急接近…石丸伸二氏は令和日本の坂本龍馬となるか?

                                                                       2025.01.10  

                                                                        by 新恭(あらたきょう) 

 夜の酒席で重要方針が決められ、国会は法案通過のためのセレモニーにすぎない。

そんな密室政治を終わらせないかぎり日本は永遠に変わらないが、これまで誰もその具体的方法を提示できなかった。しかし今は違う。石丸伸二氏が維新・吉村氏と国民・玉木氏の「ユーチューブ党首会談」を仲介すれば、有権者に分かりやすい形で政治の可視化を実現できる。政権交代の目も出てくるだろう。元全国紙社会部記者の新 恭氏は「維新と国民の共闘に向けたネット番組での本気の話し合いが実際に行われるとしたら、これは画期的なこと」と期待感をにじませる。

“新米ユーチューバー”吉村洋文維新代表の狙い

大阪府の吉村洋文知事は最近になって、ユーチューバー生活をはじめた。

“師匠”は東京都知事選で名をはせた前安芸高田市長、石丸伸二氏だ。

昨年121日の「吉村洋文チャンネル」。日本維新の会代表に選出された報告をしたあと、吉村氏はこんな話をした。

「そうそう、石丸さんからアドバイスがあって、吉村さんYouTubeはじめたみたいだけど、政策もいいけどもっと“人となり”を出したほうがいいんじゃないのと言ってくれた。“人となり”を僕が出せるかなとも思うけど、それはそれでなんとかやっていきたいなと・・・」

石丸氏は近く新党を旗揚げする予定だ。今夏の東京都議会議員選挙に候補者を擁立するための「地域政党」だという。

その地位にしがみつかないよう二期8年以上の多選は認めないユニークな政党で、小池都知事にとっては気になる動きになりそうだ。

維新・国民の「ユーチューブ党首会談」、石丸伸二氏が仲介へ?

石丸氏がSNSを駆使し東京都知事選で160万をこえる得票をした事実は政界に衝撃をもたらしたが、その重要度をより深く理解したと思われる政治家が少なくとも二人いた。維新代表の吉村氏と、いまをときめく国民民主党代表の玉木雄一郎氏だ。

昨年の衆議院選で国民民主党が躍進した陰の立役者が、YouTubeの動画メディア「リハック」(ReHacQ)で玉木雄一郎氏と対談し第三者的な視点でアドバイスした石丸氏であったことは知っての通り。

吉村氏も同メディアで石丸氏と知り合い、昨年の1223日に2回目の生対談を行った。

その対談は実に驚くべき中身になった。国民民主党の看板政策「103万円の壁」引き上げに話が及んだ時のことだ。

吉村氏「178万への引き上に賛成だ。それと僕らの高校無償化を一緒にやろうと国民さんに言ってもらえるなら、ぜひ一緒にやって実現したい。石丸さん、坂本龍馬のような仲介役を引き受けてくれませんか」

なんということだろう。維新が国民民主と手を組んで、それぞれの政策を実現するために、薩長同盟における坂本龍馬のような役割を石丸氏に担ってもらえないかというのである。

「(国民民主が)梯子を外すことなしに腹をくくっていただけるなら」(吉村氏)という条件付きではあるが、野党で二番目の勢力を誇る政党の党首がこうも明け透けに腹の内を明かしてもいいものだろうか。

維新は、国会の活動を担う共同代表に前原誠司氏を据え、教育無償化の協議体設置と引き換えに補正予算案への賛成に転じた。

これについて、政権与党が国民と維新を両天秤にかけることを許したとか、国民の政策実現を邪魔する動きだとか批判する声があがり、吉村代表はその火消しに躍起になっていた。

たしかに、国民民主が「103万円の壁」政策で、引き上げ額を交渉している最中に、石破首相と親しい維新の前原共同代表が割り込んできて、かき乱しているように見えなくもない。財務省の雑な試算では178万円」にするのに78兆円の財源を要するところを、教育無償化なら6000億円以内ですむという。自公政権にしてみれば、国民民主から維新に乗り換える選択肢も加わったといえるだろう。 

自民密室政治を終わらせる吉村・玉木同盟。前原氏の扱い課題に

むろん、石丸氏が坂本龍馬役をつとめるといっても、話し合いの場は密室ではなく、「リハック」の撮影場所である。

ここに玉木氏、吉村氏はもちろん、できれば前原氏も集合し、石丸氏とともに両党の連携について忌憚のない意見を交わし、それを生中継するというプランだ。ちなみに吉村氏と玉木氏の間柄は悪くないようだ。最近、吉村氏が議員会館内の玉木氏の事務所を訪ね、ケーキを食べて談笑する写真が公開されている。「喫茶玉木でこの前、会った。誠実な人。軽い感じが僕と合うなと思う」というのが吉村氏の玉木評だ。

石丸氏は「僕にできることがあるなら喜んでという感じ。みんな一堂に会して、せーので大団円に向かいましょう」と請け合った。

だが、国民民主がそうたやすく乗れる話なのだろうかと考えると、確信は持てない。

なにしろ、国民民主は少数与党となって野党の協力が欠かせない石破政権が最も頼りにしてきた政党だ。

人気に陰りが見え党内対立も激しい維新を横目に、政策実現レースのトップを独走してきたのだ。

いまさら維新と手を組むことになって、支持者から強い反発が起こるのがなにより怖い。

しかも、国会で実際に連携する相手が、ろくに話し合いもせずに国民民主を出て行った前原氏なのだから、なおさら難しい。

それでも、説得力がハンパではない石丸氏が乗り出すのなら、成らぬ話ではないような気がするから不思議なものだ。

吉村氏は「決定権は僕にある」と明言しており、少なくともネットの一番組と軽んじるべきではないだろう。

リラックスした雰囲気のもと2時間にわたった石丸・吉村対談。同じように人々がありのままを目撃できる形で政党間の話し合いが行われるとしたら実に興味深い。

維新と国民が国会で共闘するとなれば、石破政権は両天秤にかけて、それぞれを疑心暗鬼にさせ、有利に事を運ぶという作戦をとりにくくなる。両党が相談し合えることによって「囚人のジレンマ」に陥ることなく、与党側に対して的確な一手を打ちやすくなるからだ。

「維国同盟」成立なら自公政権崩壊の可能性は十分

当然のことながら、石破首相にとっての最初の難関は新年度予算案を年度内、すなわち3月末までに成立させられるかどうかである。

もし、両党が共闘して当初予算案に反対する姿勢を見せれば、自公政権としては立憲民主党という選択肢にまで間口を広げなくてはならなくなる。財務省の増税路線を軸とした「自公立」大連立の可能性も囁かれるが、実際には、たやすいことではない

立憲は企業・団体献金禁止法案を衆院に提出済みで、その取扱いについては3月末までに結論を出すという約束を与党側からとりつけている。まずは与党がこの法案に賛同しなければ、立憲との連携は不可能だろう。

ところが、企業・団体献金によって圧倒的な資金を確保してきた自民党は、禁止法案をどうしても阻止したい立場だ。

一方、野党側はこぞって立憲のこの法案に賛成する可能性が出てきた。

法案に「政治団体を除く」という“抜け道”があるのを懸念材料として国民民主が慎重姿勢を示してきたが、この文言が取り除かれれば、反対する正当な理由がなくなる。

3月末といえば、まさに新年度予算案が成立するかどうかの瀬戸際だ。

全野党が求める法案を与党がはねつけ、その結果、予算案が年度内に成立しなければ、党内外から石破首相の責任論が湧き上がるだろう。

19944月に誕生した少数与党の羽田内閣は、5月になっても新年度予算の審議に入ることができず、暫定予算で急場をしのいだ。

新年度予算が成立したのはなんと623日にまでずれ込んだ。野党の自民党は内閣不信任決議案を提出し、同党と社会党の賛成多数で可決。羽田首相は内閣総辞職に追い込まれた。

それと同じように、少数与党の石破政権に対して、野党が結束して内閣不信任決議案を出し、衆院解散、衆参ダブル選挙に持ち込んで、一気に政権交代をねらうというシナリオも全く考えられないわけではないのだ。

今の日本で何よりも大切なのは「政治の可視化」

だが、そのためには立憲が国民の玉木氏を総理に担ぎあげることで野党各党を説得するといった、かつての小沢一郎ばりの剛腕が必要だろう。もちろん、参議院選をひかえて党の“顔”をすげ替えるため自民党内で「石破おろし」が起こる可能性も高い。

少数与党の政権にはどんな政変が襲ってきても不思議はないのだ。

石破首相としては、野党の諸要求をのみ、それぞれの政策を実現させるしか延命する手立てはないのではないか。

企業・団体献金を禁止し、「103万円の壁」を178万円まで引き上げ、教育無償化を実現する。

それで内閣支持率がはね上がれば、退陣要求をする側も考え込まざるをえないだろう。

石丸・吉村対談からいささか話を広げすぎたようだ。

石丸氏のめざす「政治の可視化」が少しずつ進みつつあるのではないかという期待感が、この記事を書く動機だった。 

石丸氏が仲介役となり、維新と国民の“共闘”に向けたネット番組での本気の話し合いが実際に行われるとしたら、これは画期的なことではないか。両党の結びつきが日本にとって良いのか悪いのかは別問題。密室政治にはもううんざりだ。

凝り固まった“永田町文化”を破壊しない限り、いつまでもこの国の政治は変らない。



 

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