金価格、史上最高値からどう動く?まだ買い?
金先物/COMEX 週足(SBI証券提供)
中国の大量買いと米大統領選の影響を分析
斎藤満
2024年11月3日
金価格が上昇を続けています。
NY市場では10月30日に1オンス2,800ドルの最高値をつけ、東京でも10月31日に1グラム1,500円を超えました。
直近の政治イベントや世界情勢を踏まえて、今後の金価格の上昇余地を探ってみます。
上昇が続く金(ゴールド)価格
金価格が上昇を続けています。
NY市場では10月30日に1オンス2,800ドルの最高値をつけ、東京でも10月31日に1グラム1,500円を超えました。
ウクライナやイスラエルの戦乱が絶対的価値を持つ金への需要を高め、欧米が金利を下げ始めたことで、金利のつかない金の相対的な不利が後退していることもあります。
その一方で、米大統領選挙でトランプ氏が再選されれば、戦乱は早期解決を豪語しています。戦乱リスクが後退すれば金需要も低下します。
また金利が低下してもその半面でインフレも低下し、ペーパーマネーの復権、金離れも考えられます。
金銀価格比は一時の90倍から80倍強に低下しています。
これらから金価格の上昇余地を探ってみます。
最高値を更新中
金価格は冒頭にみたように海外価格(ドル/トロイオンス)でも国内価格(円/グラム)でも過去最高値を更新しています。
この価格上昇過程を見ると、通常の「常識」と乖離した動きもみられます。
例えば、絶対的な価値を持つ金は、ペーパーマネー(主にドル)の裏返しの動きと見られています。つまり、ドルの価値が下落すれば金価格が上昇、ドル金利が高いと金は売られ、低金利なら金が買われます。
ところが、このところの金価格の上昇は、これら「常識」に反するもので、つまりドル高の中でも金が買われ、欧米の金利高の中でも金価格は上昇しました。
さすがに欧米金利はやや引き下げられましたが、ここまで「常識」を上回る大きな金買い需要をもたらした要因が2つあります。
1つは中国による金買いです。もう1つは、地政学的なリスクがペーパーマネーから絶対的な価値を持つ金にシフトしていることです。
中国の金買い
中国は現在、世界最大の金産出国となっています。2022年では330トンの生産で、ロシア、オーストラリアの320トンを上回り、世界一となっています。
そのうえでさらに人民銀行は大量の金を購入、22年には年間で220トンもの金を買い入れたと言われます。そして金準備が昨年3兆2,000億ドルに達したと言われます。
人民銀行が金保有を増やしている裏には、中国経済のドル依存からの脱却を考えていることがあります。
現在の中国経済は事実上のドルリンクで、金利設定も国債発行量も米ドルに縛られます。
中国経済が不振で景気刺激をしたくても、FRBが金利を下げないと人民銀行は利下げができず、国債発行も米国の緩和なしでは国内でクラウドアウトが生じ、民間部門が債券発行できなくなります。
こうしたドルからの縛りをなくし、自由な政策運営をするためには、人民元がドルに縛られない国際通貨になるか、金の裏付けで人民元が信用力を付けるしかありません。
規制だらけの人民元が国際通貨になることは望むべくもなく、今は金保有を増やし、金兌換で人民元の信用力を高めるしかありません。
3.2兆ドルの金準備ではまだ「担保」には不十分で、IMFが適正水準とする3.6兆ドルも下回っています。
また民間部門も富裕層は人民元を信用しておらず、資産をドルに移していますが、政府が米国と対立を強めると、中国人保有の米国内のドル資産が凍結されたり没収されたりするリスクがあり、絶対的な安全資産金にシフトする動きが見られます。
民間の金需要も高まっています。パンダ金貨用の需要も高まっています。官民問わず、中国の金買いはまだしばらく続きそうです。
地政学リスクは収まらず
次に金需要を高めている地政学リスクについてみてみましょう。
これには来週の米国大統領選挙が関わってきます。ハリス氏が勝てば、いまの戦乱はしばらく続く可能性があります。
イスラエルの暴挙に批判が高まっていますが、米国ではユダヤ教徒、ユダヤ資本の影響力が大きく、米国政府の「イスラエルとともにある」姿勢は変わりません。ネタニヤフ首相はこれを利用しています。
ウクライナ戦争についても、直接ロシア領内を攻撃しない戦争形態をとるため、米国やNATOがウクライナ支援を続けても、ロシアが疲弊して止めるまでは戦争は終わりません。
ロシアの疲弊は進んでいたのですが、北朝鮮と軍事同盟を結び、北の兵力、ミサイルを使えばまだしばらくは戦える算段です。
一方、トランプ氏が勝てば、ウクライナもイスラエルも直ちに戦闘を終わらせると豪語しています。
トランプ大統領はウクライナへの支援をやめ、NATOにも圧力をかけ、ロシア優位の形で停戦を結ばせる可能性があります。
米国がプーチン大統領につけばNATOとしても手の打ちようがなくなり、ウクライナは親ロシア地域を失うことになりそうです。
NATOとしてはロシアからの欧州攻勢に備えて欧州資金でNATOの強化を図り、一方で中国の出方を抑えるために、NATOのアジア太平洋への監視力を強化するくらいにとどまりそうです。
イスラエルにはトランプ政権が一段の支援を与え、中東でのイスラエルの支配力が強まり、エルサレムには第三神殿の建立が進むことになり、イスラムとのバランスが大きく傾き、新たな不安の種をまきます。
またトランプの支援を受けてロシア・北朝鮮同盟は朝鮮半島を北主導の支配体制にすべく、韓国との戦闘が展開される懸念があります。
戦争を拡大して世界の分断を企てる勢力は、ウクライナ、イスラエルに代わる戦乱の地を求めます。
それが朝鮮半島になるリスクがあり、中国も日本も大きなリスクに巻き込まれます。
地政学リスクからの金買いは収まりません。
金銀比価からはまだ上昇余力
金価格は歴史的に銀価格との相対比率が注視されてきました。銀の価格に比べて金価格が突出して高くなれば、金価格の上昇に歯止めがかかります。
この銀に対する金価格の倍率は歴史的に見て50倍から80倍の範囲にありました。
しかし近年はこの上限を超えるケースが増え、コロナ過では一時100倍に高まり、ウクライナ戦争が始まってからは継続的に80倍を超えるようになりました。
地政学リスクや世界の不安が高まったり、市場不安でボラティリティが高まったりするとこの倍率が高まり、金への逃避が進みます。
それでもこれが行き過ぎれば金価格の修正が起こりますが、足元では一時の90倍から80倍強に低下しています。米国経済の底堅さから銀価格が上昇したこともあります。
80倍という倍率は確かに高いのですが、ピークから見ればまだ金に上昇余地があります。
※) 記事一部抜粋
「月とことわざ」を考えてみた
そもそもなぜスッポンと比べた?
2019.10.14
by 『1日1粒!『幸せのタネ』』
ことわざの正しい意味を知るのは大切なことですが、より突っ込んで「なぜその意味になるのか」といった奥深さを学べば、その面白さは倍増します。
著者の須田将昭さんが、「月とすっぽん」「月夜に背中炙る」といった、月にまつわることわざを中心にその由来を紹介しています。
月とことわざ
子供達とことわざの勉強をしていると気づくのですが、ことわざとその意味を読んだ後、「ふーん、そういう意味か」で終わってしまうことがままあります。
「蓼(たで)食う虫も好き好き」ということわざがあって「これどんな意味?」と聞くと、テキストに書いてある解説は読み上げてくれます。その上で「蓼って何?」と聞いてみます。
「知らない」「何それ?」となります。
本当はそこに興味を持って欲しいなというところです。
しかも「みたことないからわからない」となるのですが、写真を見せて「お刺身のわさびの横についているのは見たことない?」と聞くと・・・
「あー、知ってる」となります。
子供達にはちとからすぎるかもしれませんが、一度は口に入れてみて、「あ、辛い。なるほどこんなものを好きだという虫がいるのは変だよね」ということを体感して、その上で「蓼食う虫も好き好き」の意味を感じて欲しいところなのです。
そういった関連では、月に関連したことわざですが、
月とすっぽん
も同じです。意味は「比べ物にならないほどにかけ離れていることのたとえ」ということなのですが、なんでそんなものを比べようとしたのだろうと思ってしまいます。
月もすっぽんも「形は丸くて似ているから」というのがもともとあるのですが、すっぽんを知らないとそれはわかりませんね。
合わせて他に月のことわざも探してみましょう。
月夜に背中炙る(あぶる)
なんてことわざがあります。昼日中、背中を出して寝転がっていたら背中もじりじりと日焼けもするでしょう。
熱くなりますね。でも月の光はどうでしょう?熱は全く感じませんね。
どんなに満月の光が煌々としていようと、背中を炙ってもどうにもなりません。
「回りくどくて効果がない」という意味なのですが、この辺りはまだわかりやすいかもしれませんね。
こちらはどうでしょうか?
月夜に釜を抜かれる
世の中には月夜ばかりではない
この2つは「月夜は明るい」というのが根底にあります。今の時代だと、街灯の明かりでいつの夜でも明るいのでピンとこないかもしれませんね。
昔の人にとっては、月夜の明かりほどありがたいものはなく、また一方で、月のない夜の闇もまた怖いものであったと思われますね。
月のことわざ、他に何か思い浮かびますでしょうか?
最後までお読みいただき、有り難うございました。 ☚ LINK
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