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今こそ石橋湛山の「小日本主義」に立ち戻ろう

自国民の幸福と安全を“ないがしろ”にした経済成長や世界貢献など砂上の楼閣

2024.10.26

 by 辻野晃一郎 

明日は、いよいよ衆議院議員選挙の投開票日。そんな大切な日の直前だからこそ、日本の未来について今一度考える時ではないでしょうか。 

『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』等の著作で知られる辻野さんが、わずか65日の在任期間で亡くなった第55代内閣総理大臣の石橋湛山(いしばし・たんざん)が遺した「小日本主義」と彼の論説を紹介し、「今こそこの原点に立ち戻るべきでは」と提言しています。 



石橋湛山という昭和の政治家

田中秀征氏と佐高信氏の対談新刊本 『石橋湛山を語る いまよみがえる保守本流の神髄』(集英社新書) を読みました。

石橋湛山とは、第55代内閣総理大臣ですが、病気のため、在任期間は昭和311223日から翌年225日までのわずか65日、その後総理になったのが岸信介です。

歴史の皮肉ですが、石橋湛山の健康に問題がなく、もっと長く総理大臣を続けていたなら、その後の日本の姿は今とはかなり違う姿になっていたのではないかと思わせる政治家でした。東京に生まれ、早稲田大学文学部を卒業、新聞社を経て1911年に東洋経済新報社に入社、のちに社長を務めました。

戦前戦中には、「自由貿易こそ日本を発展させる」として、武力による対外膨張政策を徹底批判、植民地をすべて放棄する「小日本主義」を唱えるなど、軍国主義や帝国主義と真っ向から対峙した言論人でしたが、戦後、政界に転じました。自身の経済復興計画を実現するためと言われています。

先月、自民党総裁選の時に、有象無象の候補者が乱立し、「もういちど日本を世界のてっぺんに」だの、「一緒に創りませんか日本の新しい景色」だのと宣っていましたが、この人たちの主張を聞いていて心底うんざりした気持ちになりました。誰一人として、現在日本国が置かれた深刻な状況をまともに理解しておらず、薄っぺらで聞き飽きたような主張ばかり、まともな国家像を具体的に描けている候補者が一人もいないように思えたからです。

そして、ふと石橋湛山が主張していた「小日本主義」を思い出して復習していたのですが、そんな時に、ちょうどこの本が著者の一人から送られてきたのです。

政治家に限った話ではありませんが、我々が生きて行く上では、正しい時代認識が求められます。

今の時代は、石橋湛山が生きた時代とはまるで違いますし、戦後の高度経済成長期ともまったく違います。

VUCAという言葉に象徴される先の見通しがつかない時代であり、米国の力が弱体化する中、中露やグローバルサウスが台頭して新たな世界秩序が再構築されつつある過渡期にあたります。

) VUCA(ブーカ)とは、

Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった造語で、

社会やビジネス環境が複雑化し、想定外のことが起きたり、将来の予測が困難だったりする状態を指します。

VUCAという言葉は、もともと軍事用語としてアメリカで生まれ、1990年代後半に広く知られるようになりました。

2010年代に入ると、変化が激しく先行き不透明な社会情勢を指してビジネス界でも急速に使われるようになりました。

VUCA時代を生き抜くには、次のようなスキルや組織作りが求められます。

・ 臨機応変な対応力を磨く

・ 情報収集と分析を怠らない

・ 自ら考える人材を育成する

・ デジタル人材を育成する

・ 迅速な判断力

・ リーダーシップ

・ 多様性を受け入れるコミュニケーション能力 

・ テクノロジーへの理解力

今週22日から24日までロシアで開催されたBRICSの首脳会議などはまさにその象徴でしょう。

36カ国が参加し、G7に対抗して、BRICSの拡大やUSドル決済からの脱却などが議題になっており、プーチン大統領は、参加各国のほぼすべての首脳との二国間会談も精力的にこなしたようです。

ダイナミックな世界秩序の大転換が進行する中、日本は、今や少子高齢化に伴う人口減少が課題の衰退国家になっています。

超高齢社会となり人口が減少する衰退国家の国家運営は、国民の平均年齢が若く人口が増加する成長国家の国家運営とは当然異なったものになります。

仮にも総理を目指すのであれば、具体的な策も無いまま脳天気に「もういちど日本を世界のてっぺんに」等と叫ぶ前に、昭和期のように、世界の大国を目指し大国であり続けようとするのか、それとも、デンマークやスイスなどのヨーロッパの小国のように、小さくても国民が豊かで安全で幸せな国家を目指すのかなど、まずは変わりゆく世界秩序の中で自国の立ち位置を見つめ直し、目指すべき国家像を明らかにすることが先決なのではないでしょうか。

前者を「新・大日本主義」、後者を「新・小日本主義」という風に呼ぶとすれば、石橋湛山の論点とは異なりますが、私は後者の選択肢があってもいいように思います。

一経済人として経済成長を否定するつもりはまったくありませんが、自国民の幸福と安全をないがしろにした経済成長や世界貢献など、まさに砂上の楼閣です。

しかし、長く続いた自公政権は、米国や大企業の意向に逆らえないまま、あるいは自ら彼らに迎合して、自国民の生活をずいぶんないがしろにしてきたと思います。

「自国ファースト」というと利己的に聞こえますが、これからは、際限のない軍事費の増強や海外へのバラマキは止めて、あらためて自国民の生活の質を向上させることを最優先にした政治に転換すべきであると思います。

そのためには、税制や税の使い道の抜本的な見直しがマストですから、財務省に支配されたような国家運営についても大きく転換させる必要があります。

日本国中が敗戦に打ちひしがれ、絶望していた19458月、石橋湛山は、真骨頂ともいえる「更生日本の門出 前途は洋々たり」という論説を書きました。

その中で日本は科学精神に徹底し、世界平和の戦士として全力を尽くせば未来は明るいと主張しましたが、これからの日本の国家像を再考する上でも、あらためてこの原点に立ち戻ってはどうでしょうか。 

いずれにせよ、これ以上亡国政治が続くのは勘弁して欲しいと思いますし、27日の衆院選挙が、これまでの悪しき流れを変える転換点になることを切に願っています。


《落選してほしい議員ランキング》

2024/10/26()

  第102代内閣総理大臣に石破茂が就任、新内閣が発足したのもつかの間、109日に衆議院を解散。27日投開票の選挙戦真っただ中だ。

新内閣の信任を問いたい首相だが、裏金や旧統一教会の問題など議員への不信感は増すばかり。そこで、40代~60代男女500人にアンケート。

衆議院選挙であなたが落選してほしいと思う衆議院議員は誰ですか?(アンケート実施は101日)

「国際社会の中で日本がおかしな立場に…」

 5位は高市早苗63)(自民党)。

「自民党総裁選のときの言動が保守的すぎた」(大阪府・51歳・男性)、「国会での態度が不遜。極右思想で大変危険な人物だと思う」(東京都・68歳・女性)、「変化が必要なこの時代に逆行したことしか言わない」(東京都・56歳・女性)とのコメントが集まり、28票獲得した。

「彼女は本来、このランキングのトップに入らなければいけない。この人を落としておかないと日本が危うくなる」と話すのは、ジャーナリストの大谷昭宏さん。先の総裁選では接戦を繰り広げたが――。 「思想的に非常に危険な要素をはらんでいる。815日の終戦記念日は靖国神社を参拝すると公言し、ナーバスな関係の中国や韓国を逆なでするような人が一国の総理になると大変なことになる。国際社会の中でどれだけ日本がおかしな立場になるか」(大谷さん、以下同)

 続いて、大谷さんとランキングを見てみよう。

 4位は小沢一郎82)(立憲民主党)。

「疑惑が多く態度も悪い」(東京都・52歳・男性)、「党から党へ流れて偉そうな物言いをする。奥さんに見捨てられている時点で人間性もわかる」(大阪府・59歳・女性)と31票獲得。

「党から党へ渡り歩き、スクラップアンドビルドを繰り返し、どこに行ってもキングメーカー気取りをする。彼の場合、ぶっ壊して、よりいいものをつくろうではなくて、自分勝手な理屈で壊しているんですよね。権力の構築に熱心だけれど、1回もうまくいっていない」

 今や政界最古参。82歳と立派な高齢者でもある。それでも影響力はあるのだろうか。 「4位というわりにはもう力を落としてますよね。かつて自民党の華やかなりしころに暗躍した人ですが、今は終わった人」

 

「自分に都合の悪いことは無視する姿勢に不信感」

 3位は杉田水脈57)(自民党)。

「差別問題などトラブルが多すぎる」(新潟県・49歳・女性)、「人としておかしいにもほどがある。内面、人格、議員としてありえないほど失格だと思う」(茨城県・51歳・女性)、「議員以前に人として終わっている」(東京都・52歳・男性)と37票獲得。

「彼女は国会議員にしておいてはいけない人。アイヌの方や朝鮮民族の方に対して差別的な発言をしたり、国会で男女差別はなくならないと言い切ったり、非常に差別的な意識を持っている」

 コメントにも差別発言を疑問視する声が目立つが、彼女が重用される理由は?

「あれだけ女の悪口を言っているのに、自分は女を前面に出してくる。政治評論家には気持ち悪いぐらいすり寄ってきて、『先生にはずっと憧れていて、一度お目にかかりたかったんですぅー』なんて言ってきたりする。それに転がされる人も中にはいるでしょう」

 裏金問題も逆風になり、杉田議員は衆院選不出馬の意向。来年の参院選を目指すとされている。

 2位は河野太郎61)(自民党)。

「会見で自分に都合の悪い質問には一切答えず国民をなめている」(愛知県・53歳・男性)、「国会での答弁や記者への受け答えを聞いていても論理的でなく稚拙。国会議員としての知識や能力を持っていない」(静岡県・62歳・男性)、「やり方が強引すぎる。愚策なマイナンバーカードの対策が不十分」(神奈川県・43歳・男性)と、40票獲得。

「彼が嫌われるのは当たり前。自分の気に入らない質問をされるとすぐ違う記者を指名して、嫌なことを聞かれたとばかりにパンパンと襟元をはたくなど子どもっぽい。総理に政府専用機があるんだから外務大臣にも数百億もする専用機をつくれと言い出したり、何をバカなことを言っているんだと」と大谷さん。

国民の不人気はさておき、政策面はといえば、

「自分の考えを持っていないので、例えば外務大臣のときは外務省に言われるまま、あちこち繰り出していた。でもああいう性格だから友好関係が生まれるわけでも訪問先の国に感謝されるわけでもない。だからスタンプラリーと呼ばれてましたよね。ポンポンとハンコを押して帰ってくるだけ」  第1位発表の前に、6位以下をチェック。

 6位は菅直人21票)、7位は萩生田光一20票)、8位は小泉進次郎18票)、9位は三原じゅん子15票)、10位に枝野幸男10票)がトップ10入り。

大谷さんが注目したのは7位の萩生田議員。

「裏金と統一教会の問題はきちんと見ておきたい。彼はその両方ある。彼はもっと上位に食い込んでもいいのではないでしょうか」

 

堂々の第1位に輝いたのは、麻生太郎84(自民党)。

 

「余計なことばかりする」

「裏で操っている感じがして嫌悪感しかない」(神奈川県・51歳・女性)、「ただ権力を持ちたいだけ、すがりついてるだけにしか見えない」(香川県・66歳・男性)、「高齢でいつまでも殿様気取り」(茨城県・60歳・男性)、「なんの役にも立たず常に偉そうな態度。国民のことは頭にない」(滋賀県・65歳・男性)、「庶民感覚とかけ離れている」(宮城県・55歳・男性)と、150もの票を集めた。

「このダントツの票を見ると、どれだけ嫌われているかわかりますよね。彼は今までどんな政策をもってどんなことに尽力してきたかというと、具体的なことが何もない。

 例えば何か法案を作り上げたということがまったくない。この人の議員としての実績は、なんだかんだ言うだけ。

先日も台湾を『国』と呼んで日中関係に水を差したり、余計なことばかりする」

 有権者にこれだけ嫌われながら、政界で長く地位を保ち続ける理由は何なのだろう。

「国民の冷静な判断とは違い、政界には麻生シンパが山ほどいる。というのも彼は人たらしで、結婚披露宴でこの人と同じテーブルになるとあっという間に魅了されるというくらい座持ちがいい。半径1メートル内に近づいた人は一発でファンにさせられてしまうとか。政治は古狸がするものだとよく言うけれど、その象徴だと思う」

 落選を強く望まれる嫌われ者の議員たち。国民の思いは届くのか。「なかなか難しいでしょうね」と大谷さん。

「落ちてほしいと思うにもかかわらず、選挙のフタを開けるとまたも国会の門をくぐる。やはり小選挙区比例代表という選挙制度に大きな問題があると思います。制度を変えなければいけないけれど、実際に変えるのはこの人たちだから、自分に都合の悪いことをするわけがない。だから有権者が賢くならなければいけない。変える努力をしていかなければいけないと思います」



 

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