地震予測のプロが批判覚悟でメルマガを出し続けるワケ
2024.10.23
by JESEA(地震科学探査機構)
今年の夏、日向灘で発生した大地震では、史上初の「南海トラフ地震臨時情報」が発表され、かねてから危惧されていた巨大地震の発生が現実味を帯びています。そんな中、東大名誉教授・村井俊治を中心に10年以上にわたり地震の前兆や危険エリアを配信してきた地震予測メルマガ『週刊MEGA地震予測』が今大きな注目を集めています。的中率70%超のピンポイント予測で、実はあの日向灘の大地震も事前に捉えて配信していたというこのメルマガ、いったいどんな内容なのか、東大名誉教授・村井俊治とは何者なのか、詳しく解説していきます。
東京大学名誉教授・村井俊治とは?
村井俊治氏は測量工学と空間情報工学の分野で世界的に認められた研究者であり、1983年に東京大学教授に就任し、国際写真測量・リモートセンシング学会の会長を歴任。
村井俊治・東京大学名誉教授は、もとは地震学の専門家ではなく、「測量工学」の研究者でした。
村井教授は、専門の測量工学が地震予測に応用できるのではないかと考え、測量工学的アプローチによる「地震予測」をスタート。2011年に発生した東日本大震災の前兆も予測していたものの、データの提供企業と守秘義務契約を結んでいた関係でその事実を情報発信することができなかったことに後悔し、 「地震を予測して、ひとりでも多くの人の命を救いたい」との思いで、地震予測に挑戦している。
村井俊治東大名誉教授
村井俊治プロフィール
1963年 東京大学工学部土木工学科卒業
1971年 東京大学生産技術研究所助教授 測量工学、空間情報工学を研究
1983年 東京大学教授に就任
1992年 国際写真測量・リモートセンシング学会(ISPRS)会長
1997年 タイ王国の旗 タイ国白象褒章勲二等受章
1998年 スイスの旗 スイス連邦工科大学(ETH)名誉博士
2002年 測量工学的アプローチによる「地震予測」をスタート
2013年 日本測量協会会長
2013年 「JESEAジェシア(地震科学探査機構)」を立ち上げ、メールマガジン『週刊MEGA地震予測』の配信をスタート
2017年 測量工学の分野において顕著な功績を残した「世界の10人」に選出
顕著な功績を残した「世界の10人」に選ばれる
村井教授は、測量工学の国際的な学会の会長職などを歴任し、2017年には、測量工学で顕著な功績を残した「世界の10人」に選ばれるなど、アジア地域では“リモートセンシングの父”として尊敬されています。
なぜメルマガ『週刊MEGA地震予測』が注目されるのか?
村井教授は、地震の多い日本に「地震予測」は欠かせないものであると考え、2013年1月に「JESEAジェシア(地震科学探査機構)」を立ち上げ、メールマガジン『週刊MEGA地震予測』をスタート。測量工学の権威である村井俊治東京大学名誉教授によって開発された、人工衛星の各種データを使用した全く新しい方法で地震の前兆現象を捉え、解析した地震予測情報などを配信しています。
『MEGA地震予測』の何がすごいのか?
人工衛星を使った画期的な地震予測サービス
「MEGA地震予測」は、従来の地震予測とは異なる新しい方法で、人工衛星を用いて地表の変動を監視し、異常を検知して地震を予測します。
これにより、まるで地球の健康診断を行うかのように日々の観測を続け、地震の兆候をとらえています。
このメソッドは、測量工学の世界的権威である村井俊治 東京大学名誉教授と、災害リモートセンシングの研究者、郭広猛博士によって開発されました。
的中率70%を超えるピンポイント予測
「ピンポイント予測」は、郭広猛博士のリモートセンシング技術に基づく地震予測方法で、特に地震発生の切迫度が高い時に、時期・場所・規模を明確に警告します。
短期予測は約1か月以内、中期予測は3〜6か月先の地殻変動に基づく予測を行います。
2022年には21件のピンポイント予測が発出され、そのうち15件が的中し、的中率は71.4%でした。
この高い的中率がピンポイント予測の信頼性を裏付けています。
5つの観点から地表を分析し、地震を予測
「MEGA地震予測」では、5つの観点から地表を総合的に判断し、地震予測を行っています。
村井俊治 東京大学名誉教授は、20年にわたり地表の変動を研究し、大地震の前には「4cm以上の異常変動」が発生することを発見しました。また、低周波電波や電離圏の乱れも大地震の前兆として確認されています。
JESEAの「MEGA地震予測」では、これらの異常を三次元的に分析し、1週間単位や年単位での地表変動を比較して予測を行います。異常が検知された場合、画像を用いた分かりやすい情報を提供しています。
NTTdocomoもMEGA地震に協力
「MEGA地震予測」では、国土地理院が設置したものに加え、NTTドコモの協力を得て独自に電子観測点を設置。
衛星を利用して地殻の変化を捉える装置を全国16カ所の携帯電話基地局に設置し、収集したデータをリアルタイムで提供しています。
2023年の的中率は77.8%
「ピンポイント予測」は2022年は21件予測して15件が的中(71.4%)、2023年は18件予測して14件が的中(77.8%)という非常に高い精度での地震予測に成功。
2024年3月21日に発生した、茨城県南部を震源とする最大震度5弱、マグニチュード5.3の地震の予測にも成功しています。
8月8日 日向灘M7.1地震の前兆も捉え、メルマガで発信
今年の8月8日の夕方に日向灘を震源とするマグニチュード7.1の大地震が発生し、気象庁は新たな大規模地震発生の可能性が相対的に高まったとして、「南海トラフ地震臨時情報」を発表。幸いなことに大きな人的被害などは出なかったものの、実は今回起きた日向灘での地震の前兆をメルマガ『週刊MEGA地震予測』において事前に予測して配信していました。
日向灘の大地震発生の前日である8月7日のメルマガ『週刊MEGA地震予測』に掲載された九州地方の隆起沈降図。全体が真っ青(沈降)になっていることがわかる
「日本列島は近年、全国的に地盤が沈んでいる傾向ですが、日向灘で地震が起きた直前には“週間高さ変動”において大きな沈降を示す地点が、九州地方に集中していたのです」(株式会社地震科学探査機構 代表取締役/CEO 橘田寿宏さん・以下同)
日本全国に約1300箇所ある電子基準点から寄せられる地表の位置変化のデータを、総合的に分析し地震予測を行っている『週刊MEGA地震予測』。
地表は上下左右に動くため、水平移動にくわえて高低差の変化も現れるわけだが、今回のケースでは、わずか1週間の間で高低差4㎝以上といった大きな“沈降”が現れる地点が、宮崎県をはじめとした九州南部エリアで続出したとのこと。
村井教授がメルマガ『MEGA地震予測』にかける思い
「地震予測の世界はまだ発展途上ですから、予測が外れてご迷惑をかけてしまうこともあるかもしれません。
しかし“異常を公表するも外れる”のと、“異常を公表せずに被害者が出てしまう”のとでは、後者のほうが罪深い行為だと思うのです。予測が当たる、当たらないといった声に惑わされることなく、もし異常を見つけたら恐れずに“異常である”と発信する姿勢を貫いていきたいと思っています」
※ メール・BLOG の転送厳禁です!!
よろしくお願いします。
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