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自民総裁選 高市敗北からの株価急落を「石破茂ショック」と騒ぐ大誤解

2024.09.27 

by 鈴木傾城

自民党総裁選挙は27日、財政・金融政策面でタカ派の石破茂氏を第28代総裁に選出した。

緩和路線の高市早苗氏が優勢とみて騰勢を強めていた東京株式市場は突然はしごを外された格好だ。

大引け後に総裁選の最終結果が判明すると、時間外の日経平均先物は急落、為替市場でも急速な円高に。巷では早くも「石破ショック」の声があがっている。だがそんな騒ぎを尻目に、かねて「誰が首相になっても日本は変わらない」と冷静に指摘してきたのは資産運用に詳しい作家の鈴木傾城氏だ。



高市早苗、石破茂、小泉進次郎。誰にも日本を復活させることはできない

誰が首相になっても日本を変えることができそうにない。数だけは揃っているようだが、次期首相候補の顔ぶれを見ても、国民の期待に応えられるような人間がいるようには見えない。いずれも抜本的な改革や日本の復活につながるような明確なビジョンを示せていない。

すでに日本は30年以上も機能不全な政治が続いてきているのだが、ここでまた力不足な人間が首相になってしまったら日本の機能不全はもっと続いていく

そんな中で、少子高齢化が激烈に進んでおり、2024年は65歳以上の高齢者が3,625万人となって総人口の29.3%を占めるまでになった。もちろんこれは過去最高の数字であり、日本の深刻さを示している。この少子高齢化は、数十年にわたって日本に多くの悪影響をもたらしていく。

生産年齢人口の減少により多くの産業で人手不足が加速し、年金・医療・介護などの社会保障費が急増して財政を圧迫する。高齢者の増加に伴い、医療・介護サービスが間に合わなくなり現場が劣化していく。

現役世代が減少しているのだから、年金制度の維持さえも困難になってしまう。

若年層の減少により、イノベーションが起こせなくなり、国外の新技術の開発や導入も遅れ、日本は時代遅れの国になっていく。労働力の減少と消費市場の縮小により、経済成長は悲惨なほど低下していく。

若年層の都市部への流出によって地方の人口減少と高齢化がさらに進み、もはや日本中が限界集落と化す。

さらに残った高齢者の死亡に伴い、管理されない空き家が増加し、市町村は維持できなくなって崩壊する。治安や景観も悪化する。

新しい政治家は、こうした日本の深刻な問題を解決しなければならないのだが、ここで無能な政治家や、能力のない政治家がリーダーになるなら、もう日本に見切りをつけたほうが合理的だという話になる。


30年も無能だったなら、これからも無能なのだ 

これについて、私は次のように思っている。 

これまで30年以上もまともな政治ができなかった日本の政治家に、これからもまともな政治ができるわけがない。見切りをつけるなら、早ければ早いほどいい

 今の政治家は、政策立案能力が低下しているし、国際交渉力も弱体化している。政治家と官僚の関係も悪化しているし、どちらも長期的ビジョンが欠落している。政治改革は停滞したままであり、野党は機能不全に陥っている。

政治改革は停滞したままであり、野党は機能不全に陥っている。 

また、度重なる不祥事で政治不信が根強く続き、政策実行力も低下して、日本の深刻な問題は放置され続け、悪化の一途を辿っている。 

こうした状況を「建設的な議論で政治を変える必要がある」という人もいるのだが、そういう意味のない楽観論を聞くと、私は失笑してしまう。そういうのは20年、30年前にいう話であって、手遅れになった今ごろになっていう話ではない。 

そもそも、30年以上も無能だった今の政党や政治家に、これから何かを期待できると思い込んでいるその神経が恐ろしい。

30年も無能だったなら、これからも無能なのだ。30年もだらしなかったなら、31年目から優秀になる確率はゼロである。 

私自身は現実主義者なので、楽観論で社会を見ることはない。私が日本に見切りをつけたのは2009年頃であり、私が自分の資産のほぼすべてをドルに転換して米国株にしてしまったのは2012だった。 

資産をすべて米国株にしてしまうのはリスクだという考えかたは私にはなかった。 

なぜなら、今の資本主義でうまくやっていけるのは米国なのか日本なのか、今後イノベーションを起こせるのは米国なのか日本なのか、安心できる投資先は米国なのか日本なのか……と、自問自答していけば、どう考えても答えは米国だったからだ。 

資産をすべて米国株にしてしまうのはリスクどころか、日本円と日本株で持っておくほうが驚異的なリスクであると思わざるを得なかった。

 

今は円高ドル安だったとしても長期はドル高円安になる

私は別にアメリカ大好き人間ではないので、日本よりアメリカのほうが素晴らしいとか思っているわけではない。

しかし、今の資本主義を支配しているのはアメリカであり、アメリカの株式市場に上場している企業群が利益を総取りしている。それならば、資本主義の総本山に資金を投資しておけば、他のどこかに投資するよりもリターンを得る確率が高い。

日本に投資するよりもずっと有利だ。だから、資本主義の論理に則ってアメリカに投資しているに過ぎない。 

最近は、多くの日本人がそれに気づいて、新NISAになった瞬間に全米株式やオールカントリーなどの投資信託が爆発的に買われるようになってきているのだが、私は12年前からひとりで米国株を買っていた。 

それでは、今後はどうなのか。 

日本は相変わらず無能政治が続いて少子高齢化もとめられない可能性は高いはずだ。それならば、日本の現状はもっと悪くなっていく。政治的にも、社会的にも、衰退がとめられなくなり、負のスパイラルが加速する。 

そんなところに長期に渡って投資したくない。とすれば、私はますますドル資産・米国株に固執していくことになると思う。 

最近、アメリカの利下げと日本の利上げによって為替は円高ドル安に触れており、「もし今後、もっと円高になったら資産が目減りする」という不安が蔓延しているようだが、私自身はこれについては「まったく」心配していない。 

通貨の価値は最終的には国力を反映することになる。経済力・軍事力・政治力が強くなる国の通貨の価値が上がっていく。

今後、アメリカと日本はどちらの国力が高くなるのかといわれれば、誰がどう考えてもアメリカだろう。 

そうであれば、長期的にみると、間違いなくドル高円安に向かっていく。ドルの価値は上がり、円の価値は下がる。

ドル資産は最終的には円資産に勝つことになる。一時的に円高になっても動揺する必要はない。

 

すべての日本人は、そこまで追いつめられる 

基本的に私はもう日本に見切りをつけている。もちろん、日本が衰退して祖国がだめになって欲しいなど思っていないので、まともな政治家が生まれてまともな政治をして欲しいと心から願っているのだが、そうならない方向に賭けている。

日本がこれから衰退していくのが避けられないのであれば――(メルマガ2024922日号より一部抜粋)


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