2024.08.24
by 石川 温
グーグルが生成AI「Gemini」に対応したスマホ「Pixel 9シリーズ」を発表。
カルフォルニアでの新製品イベントで実機に触れ、その使い勝手の良さを早速体験したのは、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さん。今回は、あまりにストレートに欲しい情報にたどり着くが故に「グーグルのビジネスモデルを心配した」と述懐。生成AIによってスマホのあり方だけでなく、グーグルのビジネスも大きく変わっていくと想像しています。
Gemini Advancedで大きく進化するスマホの使い勝手──先細るウェブ広告に代わる「AI課金」がグーグルを救うのか
2024年8月13日にカルフォルニア州マウンテンビューにあるグーグル本社で開催された新製品イベント「Made By Google」を取材してきた。
Pixel 9シリーズはグーグルの生成AI「Gemini」に対応した初のスマートフォンと言うことで、グーグルとしても相当、気合いの入った発表となっていた。
実際にPixel 9シリーズでGeminiやGeminiライブチャットを使ってみたが、音声で問いかけ自分の欲しい情報にダイレクトに、すぐに答えが返ってくる快感はいままでにはなかったものだ。Geminiによって、スマホにおける検索のあり方や、そもそもの操作方法が変わってくることは間違いない。
これからは複数のアプリをまたいで起動して、コピペするなんていうまどろっこしいユーザー体験は壊滅していくことだろう。
ただ、ちょっと気になったのが、あまりにストレートに欲しい情報を調べられるということで、「グーグルのビジネスモデルはどうなってしまうのか」というのが、老婆心ながらとても心配になってきたのだ。
わざわざ検索窓を開くこともなく、様々なサイトを渡り歩かなくても、欲しい情報を要約したかたちで見せてくれる。
これはもはやウェブの広告、つまりグーグルの収益の柱であるウェブ広告を素通りしてしまうことになるのだ。
Geminiが普及したら、グーグルの存続が危うくなってしまわないのか。
ただ、Geminiで有益な情報、使い勝手を手に入れようと思ったら「Gemini Advanced」という有料プランを契約する必要がある。いまのところは月額2900円だ。
ひょっとするとグーグルはGeminiを使いこなし広告を見なくなるユーザーに対しては、月額2900円をサービスとして売り込むことで「サブスクリプション収入」を得て、減少する広告収入の穴埋めをしようとしているのではないか、という気になってきた。
アップルもなんだかんだでサービス収入が増加の一途を辿っている。
ウェブ広告は、質が落ちていたり、スマホの画面を占領し、見づらく、かつユーザー体験を著しく落とすなど、ここ最近、本当に評判が悪い。
ウェブ広告の未来が危うくなる中、グーグルとしてはGemini Advancedの課金が次の儲けの柱になるのを夢見ているのかも知れない。
ただ、グーグルがサービス主体にシフトしていけば、当然、こうした課金回収の面でキャリアもARPUを上げやすくなる。
ひょっとすると、ソフトバンクの「パープレ」みたいに、ユーザーにはまず無料で提供後に課金とか、auの料金プランみたいに「使い放題プランにGemini Advancedをバンドルなんて時代もやってくることだろう。
☞ ARPUとは、1ユーザーあたりの平均的売り上げを示す指標で「Average Revenue Per User」の頭文字を取ったもの。
主に通信事業のような月額課金モデルのビジネスで使われてきたKPI。最近ではスマホゲームなどのゲーム事業でも企業の業績を評価する指標として普及している。
ARPUを求める計算式は「売り上げ÷ユーザー数」で、たとえば月間の売り上げが3億円でユーザー数が6万人であれば、月間のARPUは5000円。
通信事業者の場合、売り上げが通話料やデータ通信料などで構成されるため、通話料を「音声ARPU」、データ通信料を「データARPU」と区別することもある。
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