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テスラが「全4車種168万台リコール」を余儀なくされた

中国で販売したすべての車両が対象か?

2024.08.13

  by CHINA CASE

中国市場における苦戦が取り沙汰されるテスラ。そんな同社が中国で販売した4車種168万台のリコールが発表され、各国メディアが大きく伝えています。

日刊で中国の自動車業界情報を配信する『CHINA CASE』は今回、この内容を報じた中国の記事を取り上げ詳しく紹介。さらに異例とも言える同社の「中国での販売全量」のリコールが招きかねない状況を考察。



テスラ、中国でほぼ販売全量の168万台をリコール、OTAで対応

中国当局は202486日、米テスラの中国において販売されたModel SModel XModel 3Model Yのリコールを発表した。

テスラ北京とテスラ上海が中国の法律に基づいて、同局に報告したもの。フロントトランクの異常による。

その台数が168万台以上となり、中国現地でも騒然としている。対象は、20201015日から2024717日までに生産されたもの。同期間中のテスラによる中国販売が今回のリコール台数とほぼ同数のため、販売全量のリコールと考えられる。ただし、大部分はOTAを通じて修正されそうだ。

どんな不具合?

今回のリコール対象車は、フロントトランクをロックした後、フロントトランクを制御するシステムがそのロック状態を認識できないという。

そのため、車両からは「フロントトランクがロックされていません」というアラートが出てしまう。

極端な状況だと、そのまま走行すると、走行時にいきなりフロントトランクが開いてしまい、ドライバーの視野に影響、事故発生リスクを高めるという。

OTAで対応

テスラ北京とテスラ上海はOTA( Link)を通じて無償でソフトウェアをバージョンアップすることで対応する。

ソフトウェアのバージョンアップ後は、フロントトランクをロックすれば、システムがしっかりと認識、「ロックされていません」など誤ったアラートも出なくなるという。

自動車におけるOTAの活用

今後、車に搭載されている機能は、より高度なものへと進化していく。例えば、運転支援システムの自動運転へのOTAの活用がある。自動運転は、最新の地図情報をもとに適正な速度やハンドル角度を車のコンピュータが判断し運転者をアシスト。そのため、地図情報の更新が欠かせない。地図情報が古いままだと事故などにつながる恐れがあるため、リアルタイム更新をする必要がありOTAを活用することになる。

自動運転技術を搭載した車は国内でも一握り。しかし、搭載車種が増えれば、搭載される技術も日々進歩していく。さらに、進歩に伴いスマートフォン自体が車のキーになるなどが予想される。車のユーザーが使うアプリケーションに搭載されている「遠隔エアコン操作」の機能以外にも、さまざまな面で応用されていく。

自動車業界において、OTA技術の活用が進んでいる。OTA技術は、これからの自動車業界を大きく変えていく技術であるといえる。

それ以外の対応方法

同時に、OTAを通じて、フロントトランクの解施錠に何らかの問題が見つかった場合、無償で修理に応じる。

OTAを通じて対応できない車両については、サービスセンターを通じて、ユーザーに対して通常のリコールを行う。

OTA不可のケース

OTA対応不可、というのは、おそらくは米国生産の輸入車両で、Model SModel Xが該当すると思われる。

中国のネットワークや、中国のプログラムに対応していないためにOTAが難しくなっている可能性が考えられるため。

テスラの中国販売は圧倒的に上海製造車であり、Model 3Model Yが中心。こちらはOTAを問題なく実施できると考えられる。ただし、先述したように、OTAを通じた検査で、何らかの異常が見つかった場合、通常のリコール対応となるが、その比率は外部からは見通せない。

販売全量は異例

今回の問題、大規模な点が目立つが、新興メーカーのほぼ販売全量がリコールの対象になったことが注目される。

中国でもリコールに対して、すでに特段ネガティブなイメージはなくなっているが、販売全量となると話が違ってくる可能性がある。新興に対する信用問題にならなとは限らない。

OTA対応が主流に

また、その規模もさることながら、その大部分をOTAで対応できるかもしれない可能性を示したことも、今回、自動車業界が新たな局面に突入したことを印象付けた。

今までも本来はリコールで対応すべきをOTAによるソフトウェアの更新だけで済ませる、あるいは本来はOTAだけで対応できる可能性があるものをリコールの手続きを踏む、などのケースが散見された。

テスラはリコール手続きをしっかり行ったうえで、OTAで対応する、といういわば正規のラインで進むことを選択した。 

今回のリコールが滞りなく進めば、リコール+OTAが今後中国でもしっかり定着していく可能性がある。




 

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