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行政システム、進まぬ統一

2024.06.05.

朝日新聞デジタル

  政府が情報管理の効率化のために整備する「ガバメントクラウド」の活用が滞っている。

省庁や自治体が個別に運用してきた税や年金などの管理システムを、ネットワークのクラウド上の共通サービスに移し、経費削減をめざすものだ。

…  国だけでなく自治体の利用も想定するが、大規模な自治体ほど移行が遅れている

 政府が設定した期限に無理があり、IT人材も足りないからだ。



下記は、2020.12月の日経に掲載された記事ですが、・・・。現状との乖離は、なぜ生じてしまったのか??

自治体システムの仕様統一、課題は?                  

2020年12月3日

日本経済新聞                                       

住民情報などを管理する行政システムは「地方自治」のもと、自治体がそれぞれITベンダーに発注しています。

人口10万人以上の自治体の83%が業務ソフトを独自開発しているかカスタマイズしているといい、異なる仕様のシステムが 全国で乱立している状況です。データ形式や業務手順といった仕様がバラバラだと、新型コロナ対策の10万円給付の手続きが各地で遅れたように、全国一斉に行政サービスをするときに支障が出ます。

 税や社会保障など17分野に及ぶシステムの仕様をそれぞれ統一するために、政府は2025年までの実現を新しい法律で義務付け、「デジタル基金」をつくり予算を準備します。

各自治体が仕様に沿って発注すれば調達や運用にかかるコストを大きく下げられるというメリットもあります。

今後は仕様をどこまで統一するかが課題となりそうです。

来年9月に新設予定のデジタル庁は統一に加えてクラウド化を求めていますが、現段階で新法や基金を設計している 総務省は早期のクラウド化は難しいとみているようです。

既存システムを移行するのは大変なことだと思いますが、国と地方の連携がスムーズに進み、行政サービスが向上することを期待したいです。


政府クラウド 国の移行2割弱見通し

 政府が情報管理の効率化のために整備するガバメントクラウドの活用が滞っている。

省庁や自治体が個別に運用してきた税や年金などの管理システムを、ネットワークのクラウド上の共通サービスに移し、経費節減を目指すものだ。

国は2025年度までに運用経費20年度比で3割減らす目標が、それまでに移行できる国のシステムは全体の2割弱にとどまる。自治体でも遅れが目立っている

ガバメントクラウドはデジタル庁が整備を進めている。行政機関どうしの情報連携をスムーズにし、それぞれが独自のシステムを維持する負担を軽くする狙いもある。

 デジタル庁によると、国には現在1100のシステムがある。うち68が、23年度末までにガバメントクラウドに移行した。

これらは運用経費の3割程度の削減が達成できたという。ただ、24年度25年度に移行するのは、それぞれ5080にとどまる見通し

費用がかさむ税や年金などの大型のシステムは間に合わず経費削減効果は限定的になる模様だ。

同庁の担当者は「クラウド化は、システムの改修の際に順次切り替えるため、移行に時間がかかる」としている。

 一方、自治体の基幹システムは25年度末までにガバメントクラウド上につくる統一システムに移行する方針だ。

だが、少なくとも人口の半分を占める自治体で期限に間に合わないという

コロナ禍で行政のデジタル化が遅れていることが表面化し、政府はデジタル庁を設置し、巻き返しを図ってきた。

財務省によると、政府全体の情報システム関係予算は同庁設置前の20年度は7249億円だったが、23年度に1兆2865億円に増えた。

同庁は当初、既存のシステムを効率化することで捻出した財源を新規投資に回すことで、全体の予算の増加を抑える姿を描いていた。クラウドへの移行が遅れるほど、経費削減目標の実現が遠のく。 

出典: 朝日新聞デジタル




システム移行、自治体でも遅れ 無理な日程「人口の半分が遅刻」

政府が整備する「ガバメントクラウド」の活用が進んでいない

国だけでなく自治体の利用も想定するが、大規模な自治体ほど移行が遅れている

政府が設定した期限に無理があり、IT人材も足りないからだ。

政府は2021年、自治体が運用している税や住民票管理など20の基幹業務のシステムを、25年度末までにクラウド上につくる「統一システム」に移行する方針を決めた。

 コロナ禍では、自治体ごとにシステムがバラバラだったことが情報共有の足かせになった。その反省を踏まえたもので、国は約7千億円の補助金を投じる

ただ、デジタル庁が昨年10月に調べたところ、少なくとも171の自治体で移行が期限に間に合わないことがわかった。

数の上では全自治体の1割にとどまるが、全20の政令指定市のほか、東京都の10特別区など人口が多い自治体が含まれる

 愛知県一宮市の中野正康市長は、国と自治体が意見を交わす会議で、「半分の人口が遅刻扱いになる締め切りの設定は、ちょっとどうなのか」と苦言を呈した。

この期限は、行政のデジタル化を公約の柱の一つに掲げる菅義偉首相(当時)のトップダウンで決まったとされる。

ある関係省庁の幹部は、「絶対に無理だが、反対すれば飛ばされる。どうせ25年には官僚の責任者は退官して責任が問われない」と本音を漏らしていた。

 システム改修の実務ができる会社の人員は急には増やせない。ある自治体の幹部は、「無理な日程に合わせようとすると契約単価が上がり、コストが膨らむ」と話す。

政府関係者によると、岸田首相が打ち出した定額減税に対応するため、システム改修に対する負荷が想定外に増えたことも、移行の遅れに拍車をかけているという。

デジタル庁はこれまで、自治体がまとめてクラウドを利用することで、米IT大手に払う利用料が値引きされると説明してきた。自治体の足並みが乱れれば、情報連携が進まないばかりか、コストも高止まりしかねない。

 ■デジ庁設置後、不透明な予算急増 

 デジタル庁の設置後、政府の情報システム予算のブラックボックス化が進んでいる

各省庁の予算が同庁にまとめて計上されるようになり、個々の金額が公表されなくなったからだ。

政府のシステム予算はデジタル庁設置後に急増している。

20年度の7249億円から、23年度には1兆2865億円に増えた

同庁はデジタル化による利用者増や機能追加、サイバーセキュリティーの強化、人件費の上昇などを挙げる。

 コロナ禍で露呈したデジタル化の遅れを取り戻すための投資で、当面、予算が増えるのはやむを得ない面がある。

問題なのは、何が原因で予算が膨れ、いつになったらそれが収まるかが明らかにされていないことだ。

 デジタル庁ができるまでは、年金や税など各省庁のシステムごとに予算額が公表されていた。

それが、デジタル庁に原則として一括で計上されるようになり、個別の内訳が公表されなくなった

同庁は、どのシステムでいくら増えたのかを明らかにしていない。

その理由を「予定価格が推測されて、契約額が高止まりする恐れがある」とする。政府は、25年度のシステムの運用経費を20年度比で3割削減する方針だが、あと1年に迫った今に至るまで、達成状況は公表されていない

 SMBC日興証券の末沢豪謙氏は「予算を公表しても、業者が競争するよう発注すれば、契約額は高止まりしないはずだ。

個々のシステムの予算額と政策効果が示されなければ国民は投資の妥当性を評価しようがない

デジタル庁は早急に情報開示のあり方を改める必要がある」と話す。(大日向寛文)




 

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