なぜ、哲学者たちの思考を学ぶとイノベーションのヒントになるのか?
2024.03.27
by 土井英司のビジネスブックマラソン
常識や自身の成功体験は、時々イノベーションの邪魔となることがあります。
土井英司さんが今回紹介しているのは、イノベーションを生むためのヒントを哲学者の思考法に学ぶという一冊です。
【知っておきたい。】⇒『「当たり前」を疑う100の方法』
以前、イノベーションを生む「型」が学べる本として、『進化思考』をご紹介しました。(2023年12月に増補改訂版が刊行)
『進化思考[増補改訂版]──生き残るコンセプトをつくる「変異と選択」』
本日ご紹介する一冊は、イノベーションを生むために、哲学の思考を使おうというもので、なんと計100個の「思考法」を紹介した一冊。
著者は、ベストセラー『7日間で突然頭がよくなる本』で知られる、山口大学国際総合科学部教授の小川仁志さんです。
「はじめに」で著者が書いていますが、「イノベーションを起こすには、当たり前を疑うしかない」。
哲学者たちの思考法は、まさにこの「疑う」ための思考法だからこそ、イノベーションに効くのです。
本書では、「別の事実を突きつける」(ソクラテスの問答法)、「要素に分解する」(デリダの脱構築)、「逆から見る」(カントのコペルニクス的転回)など、計100個の思考法を紹介。新書ではありますが、辞書的にパラパラめくって読める一冊です。
構成としては、前半のパートIが「当たり前を疑うためのワザ50」、後半のパートIIが「哲学者に学ぶ具体的な疑い50」となっています。
・どこまでも自由になれると考えてみる(ノージックのリバタリアニズム)
・満足はよくないと考えてみる(アリストテレスの中庸)
・他者が自分を決めていると考えてみる(レヴィナスの他者論)
後半に書かれた思考法は、自己啓発的にも読めるので、人生のイノベーションに役立つかもしれません。
さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。
別の事実を突きつける–ソクラテスの問答法
要素に分解する–デリダの脱構築
動きとして見る–ドゥルーズの生成変化
一見動いていないものを生成変化の途中であるととらえてみる
逆から見る–カントのコペルニクス的転回五感を超えた本当の姿を想像する
相手に合わせて変わってみる
セールのエートル
余計なものを重視する–セールのノワーズ ※ノワーズ=ノイズ
欲望のさらにその奥をのぞき込む–ラカンの「対象a」
急に世界が変わると仮定する–メイヤスーの思弁的実在論
私たちの常識を超えた未知の世界だってある
人間抜きで考えてみる–ハーマンのOOO(トリプルオー)
モノは人間とは無関係に存在し、またモノ同士で関係性を築いているというのがOOOの基本的な考え方
すべてが一つの原理で成り立っていると仮定する–ライプニッツのモナド
自分の事情を脇に置いてみる–ロールズの無知のヴェール
心と体は別だと考えてみる
デカルトの心身二元論
死は悪いもんじゃないと考えてみる
ハイデガーのダーザイン
満足はよくないと考えてみる–アリストテレスの中庸
孤独は幸せだと考えてみる–ショーペンハウアーの孤独論
権利は放棄した方がうまくいくと考えてみる–ホッブズのリヴァイアサン
他者が自分を決めていると考えてみる
レヴィナスの他者論
未開の方が優れている場合があると考えてみる–レヴィ=ストロースの野生の思考
本書の「おわりに」じゃないですが、これを読むと、イノベーションは疑うことから始まるのだということがよくわかります。
隙間時間に手軽に読めて、気づきがある一冊です。
最後までお読みいただき、有り難うございました。 ☚ LINK
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