搾取され続ける人生から抜け出す方法
中小企業は人手不足、大企業はリストラ…なぜ日本のサラリーマンは悲惨なのか?
神樹兵輔
2023年11月17日
今回は「中小企業は人手不足、大企業は人余り。一生サラリーマンでは富裕層になれない現実!個人M&Aで人生を豊かにする方法」というテーマで、AI時代にサバイバルする処世術について紹介していきます。閉塞状況が続くサラリーマンの方にとっては、必見の情報をお届けいたします。
日本は「人手不足」と「人余り」が同居
日本は、少子高齢化の人口減少が進み、「人手不足」ということが盛んに叫ばれています。
しかし、それは「低賃金・ブルーワーカー」の労働者が不足していることとイコールにすぎません。
日本中が、いっせいに人手不足なのかといえば、まだまだそこには至っていないのです。
現に大企業では、40代・50代のホワイトカラー職があり余っており、すさまじいまでのリストラと称する「首切り」が続いているからです。
2021年に上場企業では、84社が希望退職者の募集を行いました。
過去10年間の上場企業の退職者数の推移を見ても、毎年平均すると9,700人余が希望退職(早期退職)しています。
ほぼ毎年1万人近くが、定年退職を待つことなく、途中で上場企業から退職しているのです。
それもそのはずで、帝国データバンクによる2023年3月時点の企業動向調査によれば、有効求人倍率そのものが、事務系職業においては0.51しかありません。
人手不足が深刻なのは、サービス業(生活支援・介護含む)の2.98、保安6.58、輸送・機械運転2.15、建設・採掘5.16といった業種であり、これらの有効求人倍率の高さをみると一目瞭然なのです。
要するに、人手不足といわれる職業は、ブルーワーカー職で、夜勤があったりする現場仕事が多いわけです。
こうした現場作業での最低賃金の全国平均もようやく時給が1,000円台に乗り、巷では経済学の教科書通りの賃金アップも始まっています。
賃金が上がらない国にしてきたのが自公政権
しかし、外国人技能実習生などの受け入れをやめていれば、もっと時給も上がるはずなのです。
自公政権は、さらに新制度で外国人労働者の受け入れをスタートさせる予定で、岸田政権は一方で「賃上げ」と言いながら、やっていることは日本人労働者の賃金水準を下げる方向にすぎず、アベコベなのです。
消費税率アップで購買力を低下させ、円安に導いても国内空洞化で、輸出数量の増大に結び付かず、デフレ脱却もできなかった安倍政権のアベノミクスと同様の「アベコベノミクス」という逆効果の弊害を招いただけだったのと同じ構図です。
自民党政権は、毎年20数億円程度の政治献金を恵んでくれる大企業には、「派遣」という名の非正規雇用導入で賃下げに貢献し、消費税率アップによって輸出大企業への消費税還付金を毎年6兆円にも増やしてあげています。
たったの20数億円の大企業からの献金で2,500倍の6兆円ものリターンをプレゼントされているのが輸出大企業なのです。
経団連が消費税をもっと上げろ――というゆえんです。
おまけに税率をアップしてきた消費税収入の7割強が、過去の法人税率の引き下げと所得税率の累進緩和で消えています。
そのうえ、大企業は30.62%の法人税実効税率に対して、数々の特例減税措置の恩恵を受け、実質20%前後の法人税実効税率にしかすぎません。
黒字の中小企業がまともな法人税の実効税率を払っているのに、大企業は税金を大幅に負けてもらってきているのです。
こんな不公平この上ない政治を行ってきたのが、自公政権でした。
そのくせ、岸田自民党政権は国民向けには「所得倍増(後から資産・所得倍増と修正)」だの、「異次元の少子化対策」だのと大風呂敷を拡げ、「大軍拡」に舵を切りながら「賃上げ」だの、「減税」だの、「マイナンバーカードの健康保険証紐づけ」などと、何をやりたいのか、さっぱりわからない、ほとほと呆れるばかりの無責任な政権運営で支持率を下げまくっているわけです。「賃下げ」と「賃上げ」のアベコベの迷走政策が続く、日本の未来図は、ますます閉塞感に覆われるばかりなのです。
したがって、こんな日本で勤め人(サラリーマン)を続けていても、政府や大企業に搾取されるばかりでしょう。
貴重な自分の人生を豊かにするためにも、大いなる発想の転換が必要な時代ともいえるのです。
搾取されるばかりのサラリーマンの身分では一生「金持ち」にはなれない
さて、世の中には「お金持ち」と呼ばれる純資産が1億円以上にのぼる人たちが、数%の割合で存在します。
こうした「お金持ち」になるには、どんな方法が考えられるのでしょうか。一般的には、次のような方法があるといわれます。
§ 金持ちの親から莫大な「遺産」を受け継ぐ
§ 金持ちの子息や令嬢と結婚して、裕福な一族に加わる
§ 医師や弁護士などのエリート資格で稼ぎ富裕層に連なる
§ 外資系金融エリートなどの高額報酬の仕事に就き蓄財する
§ 会社員の本業以外に効率のよい副業で稼ぎ蓄財する
§ 株式や不動産への投資で成功し、富裕層に連なる
§ 起業に成功して富裕層に連なる
§ スポーツや芸能、エンタメ作品制作など特殊技能で儲ける
§ 画期的発明での特許収入で儲ける
ざっと以上でしょうか。いずれのパターンも、搾取される立場でない人であることが窺えます。
しかし、金持ちや富裕層になるための方法を、こうして並べて見ただけでも、どれも簡単そうではないのです。
よほどのチャンスと僥倖に恵まれないと、こういうケースに連なることは難しいのです。
富裕層というのは、年収(フロー)で見るのではなく、金融商品や不動産などの純資産(借金を除いた資産)を、少なくとも1億円以上保有しているのが、基準値になっています。
最低のステータスでも、純資産1億円なのです。
こうした純資産を蓄えるには、フローの収入がほとんど生活費で消えてしまうような搾取されるばかりのサラリーマン人生では、到底不可能なのです。いったん、潤沢な純資産を築けば、その純資産が、毎年インカムゲイン(純資産が生み出す収益)をもたらしてくれ、純資産が増え続けていくイメージ……となるのが富裕層です。
一時的に、たまたま年収が1,000万、2,000万円あるといったフローで見ただけでは、到底お金持ちとはいえないのです。
せめて、1億円以上の永続的な資産を借金無しで保有していなければなりません。
ここまでで、最もはっきりしているのは、生涯サラリーマンの身分のままでは、一生かかっても、こうした富裕層の仲間入りはできそうにない――ということなのです。
サラリーマンの生涯収入は少なすぎる
なぜなら、大卒男性サラリーマンの生涯収入の平均値は、概ね2億5,000万円前後です。
しかし、そこから税金や社会保障費などを支払うと、7割程度の手取りになるので、定年退職までの現役の期間で、1億6,000~1億7,000万円が実質収入となるのです。
これで生活費や住宅ローン、教育費などを40年間賄ったとすると、余剰で投資や貯蓄に回せる金額はとてつもなく小さくなるでしょう。
生涯(40年間)の手取り収入が1億6,000~1億7,000万円というのでは、1年あたりでは、せいぜい400万円程度の収入にしかならないわけですから、それも当然なのです。ようやく住宅ローンの返済が終わって、老後に老朽化したマイホームなどがあれば、それが老後の純資産のすべてといってもよいくらいなのです。これでは貧困老後は必定でしょう。
あるいは、夫婦揃って人口規模の大きな自治体の公務員になり、世帯年収1,000万円以上のパワーカップルであれば、定年後には金融資産などが膨らんで、多少裕福な老後になれるかもしれませんが、こういうケースもまた、そうそう多くはないでしょう。
つまり、サラリーマンは「生かさず殺さず」という残酷な人生といえないこともないのです。
これでは、人生100年時代といわれても、65歳以降の老後の人生設計が心配になるのも無理はないのです。
労働者は「労働力」をお金に代えるだけという哀しい現実
フランスの新進気鋭の経済学者トマ・ピケティが2013年に著した世界的ベストセラー「21世紀の資本」で喝破した通り、資本主義社会は「r>g」の不等式が支配しているからです。
すなわち「r」が資本収益率(純資産の成長率)であり、「g」の国民所得の成長率(GDP)よりも、つねに「大きい」からなのです。
「r=g」となるなら、資本の収益率も国民所得の成長率も同じですから、国民所得に占める労働所得の分配率も一定になって、問題はありません。
しかし、現実は「r>g」なので、格差も大きくなり、不平等が広がるのです。
貧富の差は拡大し、資本家はますます資本を増やし、労働者はカツカツの生活と人生を強いられます。
自らの労働力を売るだけのサラリーマンでは、現役時代を終えて老後になると、収入がなくなるわけなので、当然と言えば当然の結末なのです。
ゆえにサラリーマンのままでは、一生裕福にはなれず、資本を転がす資本家の人のほうが裕福になりやすい――というわけです。
「いい学校を出て」「いい会社に入る」と「幸せで安定的な人生が手に入る」というセオリーが、いかに幻想かがわかるでしょう。
小規模事業の「大廃業時代」ゆえに面白い人生の選択肢が登場
ところで、前述した、いくつかの「お金持ちになれるコース」では、いずれもが難しいコースになりますが、実はこれらの方法以外にも、近年お金持ちになれる道が、新しく生まれてきているのです。それが「小規模な黒字事業の事業継承」です。
なぜなら、今や日本中の「中小零細事業が大廃業時代」を迎えようとしているからなのです。
もうお気づきでしょうが、「M&A」というのが近年ものすごく活発に行われるようになっているのです。
「M&A」とは「買収・合併」のことですが、かつては大きな企業同士のモノと考えられていましたが、近年は大きく様相を異にしています。
なんと、今までは企業同士のM&Aを指したのが、近年はサラリーマンという個人の立場でもM&Aに乗り出す人が増えているからなのです。
その理由は、意外に少ない金額で事業そのものを買えることが注目されているからです。
当然ですが、300万~500万円といった、極めて少ない金額で事業そのものが買えるのは、事業規模が小さいからに他なりません。
一生サラリーマンのままでは老後資金に不安があるのと、ましてや40代~50代になると、役職定年や給料減額が視野に入ってきます。
こうしたことを考えると、定年までにひと稼ぎして老後資金を確保したい思いと、自分の実力を発揮できる経営者の立場に憧れる人も少なくないわけです。そうした人たちが、「個人M&A」に乗り出して、事業経営者になる人が増えている――といった現状があるのです。
M&Aの仲介企業も急成長
それに伴いM&Aの仲介企業も繁盛しています。
この方法は、ゼロからスタートする「独立開業」といった起業とは明らかに異なります。
黒字事業をそのまま継承できる――というのが魅力であり、これが個人によるM&Aへと背中を押す理由になっているのです。
資本を投じて、ゼロから事業を起こすのとは異なり、黒字事業の継承なので、リスクが限定的なのが、最大の強みといってよいでしょう。
ゼロからお客さんを作って稼いでいくのと、最初からお客さんのいる事業をそのまま継承できる――のでは、雲泥の違いがあるからです。
現在は、国や地方自治体までもが、中小企業の事業継承支援に乗り出しています。その理由は、今が零細・中小企業の大廃業時代になっているからなのです。
日本の雇用労働者の99.7%が中小企業に勤めているのですから、日本社会における雇用の維持は重要です。
ただし、過去20年で100万件以上の事業者が減ってきたのは、従業員数が20名未満の零細・小規模企業が中心なのです。
これらは法人でない個人経営が半数あまりも占めています。
零細な小規模事業者が減少しているのは、経営者の健康不安や高齢化によるもの。
経営者も、黒字の事業ならば、何とか継続させたいものの、従業員も高齢化していると、従業員の中から手を上げて事業を継承してくれる人もいないわけです。そのため、自分の事業をM&A斡旋会社に託すケースが増えてきたのです。
また、M&Aマッチングサイトも増え、サラリーマン個人でもM&Aがしやすくなっているのが現状です。
多種多様な事業が売り出されている
M&Aの仲介サイトを覗いてみると、小規模ビジネスの多種多様な事業が売り出されています。
物販店、飲食店、アクセサリー工房、不動産店舗、通販サイト、塾、医院、工場…など実にさまざまな業種があります。数百万円から数億円する事業など、まさに百花繚乱なのです。
M&A成立までの流れとは?
では、ここでM&A成立までの流れを見ておきましょう。
まずは、どんな業種が自分の適性に合っているかで事業を絞り込みます。
次いで、選んだ事業の詳細を調べます。そして相手方との売買交渉です。秘密保持契約を結んでから、事業内容について細かくチェックします。
事業譲渡の方向性が見えてきたら、まずは基本合意契約を交わし、デューデリジェンス(リスクチェック)を法務面、労務面、借入金の有無や買掛金、売掛金など詳細にチェックしていきます。そして、問題なければ譲渡契約成立となります。法人なら、譲渡成立後にただちに法人登記などを書き換えます。
うまく事業継承する方法とは?
ところで、サラリーマンが、いきなり事業経営者になるわけですが、うまく経営ができるのでしょうか。
問題が多いのは、従業員との関係がうまく取れるかどうかといわれます。
小規模事業経営者の場合、経営者の個性が魅力となって、従業員を引っ張ってきた面が強く、サラリーマン上がりの人がいきなり新しい経営者になると、従業員は当惑することが少なくないからです。
現場の仕事を回してくれているのは従業員なので、コミュニケーションがうまく取れないと、従業員に去られてしまい、事業が空っぽになるということさえあるのです。
また、取引先との関係も、従前の経営者との関係が深いので、新しい関係性構築までは時間もかかります。
そうした意味でも、事業を成功させやすいのは、いきなり新経営者として事業を引き継ぐよりも、最初は「弟子入りする」つもりで半年なり1年間、今までの経営者の下で従業員として働かせてもらうことがよい――といわれています。周囲の従業員や取引先との人間関係構築には時間をかけたほうがよいからです。
小規模事業者はどんどん減っていく日本社会
経済産業省の調査では、2025年までに70歳に到達する小規模事業経営者は30.6万人、75歳に到達する経営者は6.3万人です。
これらの経営者の事業継承がうまくいかないと、2025年までに660万人の雇用が奪われ、22兆円のGDPが消失するとさえ予測されているのです。
コロナ禍で売り上げが激減してしまった事業も多く、日本の小規模事業経営者が消えていくスピードは、さらに速まるかもしれません。
一生涯サラリーマンでは、金持ちになりにくいのが現実です。
実力のある人にはチャンス到来の時代なのかもしれません。
皆様も、自分の人生をより豊かなものにするべく、こうした個人M&Aについて、考えてみるのもよいのではないでしょうか。
若い人であるほど、チャンスは大きい――と言えるでしょう。
また、年配の人でも、実人生の豊富な経験をチャンスに変えるという意味での「個人M&A」なら魅力的でしょう。
読者の皆様は、一度ぜひ、M&Aのマッチングサイトを覗いて見ることをおすすめします。
そこには、夢の広がる事業が群れを成して存在しているからなのです。
※) 記事抜粋
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