2023.05.22
by 毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン
書店には多くの自己啓発書が並んでいますが、それらを読んでも変わることができない─という人が圧倒的多数でしょう。土井英司さんが紹介するのは、 そんなお悩みをもつ人への処方箋的な一冊です。
自己啓発で人生は変わらない?⇒『HELP!「人生をなんとかしたい」あなたのための現実的な提案』
本日ご紹介する一冊は、ベストセラー『限りある時間の使い方』の著者、オリバー・バークマンの第一作。
100冊以上の有名自己啓発本を批判し、著名なベストセラー作家、自己啓発家を震え上がらせた内容で、読んでいて痛快ですらあります。
【参考】『限りある時間の使い方』
著者は、ケンブリッジ大学社会政治科学部で学位を取得した秀才で、イギリスの全国紙「ガーディアン」の記者。
ウィットに富んだエッセイで知られる書き手ですが、最初の本ということもあってか、本書の論調は特に痛烈です。
アンソニー・ロビンズ、デール・カーネギー、ナポレオン・ヒル、ブライアン・トレーシー……。
自己啓発書好きなら一度は読んだことはあるだろう著者らの主張を科学的に論破し、何が真に役立つアドバイスなのか、信頼できる情報源を紹介しています。単に著者の好みだろうと思われる内容もありますが(特にGTD)、概ね的確な指摘だと思います。
・「快適ゾーン」「不快ゾーン」二元化の罠
・「いつもの自分」の無意味さ
・“○日で人生が変わる”という呪文
・“死ぬまでにしたい○○”の安直な満足感
本当に、目次を読んでいるだけでゾクゾクしてきますね(笑)。
自己啓発書を否定しながら、結局本書自体が自己啓発的ですが(笑)、成功へのアプローチを変え、人生を多面的に見る、良いきっかけが得られると思います。著者が自己啓発書の代わりに推薦した情報源をチェックすれば、より信頼できる読書リストが手に入る、という点で、読書ガイド的な内容でもあります。
もうちょっと科学的根拠が詳細に示されていれば、より良い本になったと思いますが、この荒削り感が処女作らしくていいですよね。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
・「幸福の秘密をこっそり教えてやろう」などと言って近づいてくる人物には用心した方がいい。
その意味では、あの超ベストセラー『ザ・シークレット』が良い例になる
・情熱とは何らかの技能を修得したときに感じるもので、苦労せずに得る魔法のようなものではない
・「自分自身を諦めなさい」と言ったのは、日本の心理学者、森田正馬である。このいかにも東洋人らしい無表情な助言は、
ニヤニヤ笑いながら説得にやってくるポジティブ思考系の一団と一線を画し、新鮮な一息を入れてくるものだ。彼は言う。
「今すぐ、行動を起こしなさい。ノイローゼの状態にあっても、不完全であっても、優柔不断であっても、不健康であって
も、怠惰であっても、その他自らを正確に表現できないいかなる状態にあっても、とにかく前進しなさい。
そして、できる限り最高に『不完全な人間』でありなさい。死ぬまでに成就させたいことをただちに始めなさい」と
・自分の個性や特技を固定的にとらえることはその人の行動意思を制限し、それ以上の行動やそれ以下の成果に対して不安や
不満などのストレスを引き起こす原因となる
・人はいつか必ず死ぬのであって、多くの人は足元をろくに見ずに走りながら、それでもずっと楽しい人生を送っているでは
ないか
・書くという作業はカタルシス(精神の浄化)として働くだけでなく、問題を客観的にとらえ、自己陶酔から覚めて、
具体的解決を目指せるようになる
・ホモフィリーは無知を生む
※ホモフィリーは、「羽の鳥が一緒に群がる」ということわざのように、個人が類似した他の人と結びつき、結びつく傾向を説明する社会学の概念。
・好感を持たせるには奢るな、奢られろ
・新しく取り入れる情報の量が多いとき、時間はいつもよりゆっくりと経過していく
・自分の成功要因だと信じていることを頑固に追い続けると、結局は、それに裏切られ、進路を妨害されることに
なりかねない
・贅沢な買い物をしたあとに感じる後悔は、普通すぐに消え去っていくものだが、贅沢を嫌って買わずに済ませた場合の
後悔は、最初は小さくても徐々に大きく膨らんでくる
これから成功を目指して頑張りたい方、たくさん自己啓発書を読んだけれど変われない方、怪しいセミナーから抜け出したい方に
おすすめの内容です。 ぜひ、読んでみてください。
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