AIはなぜ厄介者だったのか
80~90年代のAI開発環境を振り返る
古賀政純(日本ヒューレットパッカード)
2023.05.11
最近ちまたでは、人間のように自然な会話ができる対話型AI(人工知能)「ChatGPT」が話題です。音声認識や画像認識、自然言語処理など、世界中でAIの開発が加速しており、その開発基盤にコンテナー技術が活用されています。今回は、日本におけるAIの取り組みの歴史とAIの仕組みについて、1990年代からAIに携わってきた筆者が自らの経験を交えつつ、簡単に紹介します。
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Ø AIは脳神経の情報伝達の仕組みを模倣したもの
人間は目に映った情報や耳から入った情報が脳に伝わります。脳では、映像や音声の情報から何かしらのパターンを認識するといった知的な情報処理が行われます。何かしら目の前のモノを認識・判別し、行動する時にその認識・判別のミスを低減するため、脳はさまざまなパターンを大量に記憶・学習します。
例えば、子供は学校の宿題で算数や漢字のドリルを一生懸命に勉強し、数字の書き方や漢字の書き方を習得します。
教科書を使ってインプットの学習とアウトプットの訓練を繰り返すと、複雑な計算をしたり、漢字を使った作文をしたりできるようになります。複雑な絵を描く、楽器を操るといった能力も同様です。
この学習と訓練を行った時、人間の脳は複数の脳神経同士が情報をやりとりします。
脳神経同士の情報のやりとりは、情報を伝達するための化学物質(神経伝達物質)と電気信号が担っており、この脳内の電気信号の強弱や化学物質の量によって、別の脳神経に信号が伝達するかどうかが決まります。そして、脳の情報伝達の経路が強化されることで、物事を学習、すなわち知的な情報処理ができるわけです。
一方、人間の脳のような知的な情報処理をコンピューターで再現するには、コンピュータープログラムのロジック自体の「優秀さ」が必要です。このロジックの優秀さとは、ある程度曖昧な情報を与えても、人間にとって意味のある結果を短い時間で効率良く、かつ程よく出してくれるということを意味します。
このような優秀なロジックを持つコンピュータープログラムで与えられた課題に対して結果を得るには、AI特有の数理モデルと効率的なアルゴリズム(計算の処理手順)が必要です。
しかし、数理モデルだけでは単なる机上で行われる数式を使った理論の話に終わってしまいます。
数理モデルを組み込んだコンピュータープログラムを作成・実行することで、学習や推論などの知的情報処理を実現できるようになります。当然、それらのアルゴリズムを高速に処理するために必要なハードウェア性能も求められます。
ChatGPTもニューラルネットワークが組み込まれたコンピュータープログラムです。
知的情報処理ができないコンピューターハードウェアに脳のような知的情報処理の能力を持たせるには、ニューラルネットワークのプログラムによって膨大な情報量の教材(教師データ)で効率良く学習させて賢い脳を生成しなければなりません。
また、AIを実現するためのアルゴリズムの改良も継続しなければなりませんし、脳自体の構造や良し悪しを決める値(ハイパーパラメーターと言う)の微調整を何度も繰り返して膨大な数の試行実験も行わなければなりません。
特定の機能に特化したAIを作るのか、それとも人間のような高度に汎用的な知能を持ったAIを作るのかによって、学習させるデータの種類、量、状況設定も大幅に異なります。
「ナレッジ」と「ノウハウ」
☞ 一見すると同じような意味に捉えがちですが、皆さんは正しい意味を理解されていますか?
Ø ナレッジ(knowledge)「有益な情報」「付加価値のある経験や知識」
Ø ノウハウ(know-how)「手続き的知識」
ノウハウはどちらかというと「基本的な知識や技術」、スキルは「深い理解に基づいた知識・技術」。
両者には、理解度や専門性といった点において違いが見られます。
テクニックは、マニュアル化がしやすく誰であっても一定の成果を期待できるものを指します。
一方、スキルは個人の意思決定や状況判断などの側面があり、その人の 資質 によって成果が左右されます。
また、テクニックは習得しやすい代わりに忘れやすいのに対し、スキルは習得に時間がかかる分、忘れにくいという点も異なります。
最後までお読みいただき、有り難うございました。 ☚ LINK
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