ChatGPTに奪われやすい仕事を考えて見えてきた「知識労働者」の定義
2023.04.28
by 倉下忠憲
ChatGPTを始めとするGenerative AI(生成AI)の話題を毎日のように目にします。
その中で、これまで安泰と思われていた仕事もAIに奪われる日が来るのではないかというのが、関心事の一つです。文筆家の倉下忠憲さんが、「知識労働」と考えられているホワイトワーカーの仕事にどう影響するかを考察。奪われやすい仕事は「知識労働」のように見えて実は「技能労働」であり、AIでもすぐには代われない「知識労働」とはどんなものか、定義を提示しています。
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■人間ひとりが抱え込める限界
さて、仮に「既存の情報をベースに少しアレンジしたものを作成する」という仕事が、Generative AIによってほぼ代替されてしまうとしたら、知識労働者の仕事は完全になくなってしまうのでしょうか。たとえば、先ほどの例では上司に企画書を提出しようとしていたわけですが、そもそも上司がGenerative AIを使って企画案をまとめればその部下は不要になる、という「効率化」は考えられます。そのような効率化をどんどん進めるとどうなるかというと、あらゆることをその「上司」が自分でやらなければいけない、という世界です。
これはカル・ニューポートが『超没入』で指摘している問題ですが、デジタル化によってほとんどのことを個人ができるようになってしまったので、事務職員などを削減することができたが、その代わりあらゆることを自分ひとりでやらなければならなくなってしまった悲惨な状態をさらに先鋭化させた状態だと言えます。
こうした状態をまっとうな判断で回避するならば、Generative AIを使って仕事をする人と、その仕事の管理の仕事する人の職は維持されるでしょう。
つまり、「仕事」はなくならないわけです。そして、Generative AIを使って仕事をしている人は、情報の参照先をGoogle検索や過去の他の人の仕事、あるいは世間の時流チェックなどからGenerative AIに変えるだけです。Generative AIは、概ねそうした情報、つまり過去に誰かが生成した情報をベースに構築されているのですから、状況はほとんど何も変わっていないと言えます。あとは、最近の時流に合わせてアレンジ、みたいな部分を自分の手でやればOKでしょう。
この場合、仕事者に必要スキルとはGenerative AIをいかに使うかであり、その生成データを判断し、必要に応じてアレンジするセンスだと言えそうです。
知識労働とは、まさしく「頭をはたらかせ、新しいことがらを、他の人にわかる形でまとめあげる」ような仕事です。
知識があることが前提ですが、それだけで成立するわけではありません。
その知識が使えることが必要ですし、もっと言えば、そうした知識を用いて新しい知識を生成することが肝要なのです。
「ナレッジ」と「ノウハウ」 ☜ LINK
☞ 一見すると同じような意味に捉えがちですが、皆さんは正しい意味を理解されていますか?
Ø ナレッジ(knowledge)
「有益な情報」「付加価値のある経験や知識」
Ø ノウハウ(know-how)
「手続き的知識」
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ノウハウはどちらかというと「基本的な知識や技術」、スキルは「深い理解に基づいた知識・技術」。
両者には、理解度や専門性といった点において違いが見られます。
テクニックは、マニュアル化がしやすく誰であっても一定の成果を期待できるものを指します。
一方、スキルは個人の意思決定や状況判断などの側面があり、その人の資質によって成果が左右されます。
また、テクニックは習得しやすい代わりに忘れやすいのに対し、スキルは習得に時間がかかる分、忘れにくいという点も異なります。
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