英文法は「語順」と「品詞」が9割!
「海外旅行にいって英語を使って楽しみたい」「TOEICのスコアをあげて転職したい」「英会話を身に付けることができれば、人生楽しくなりそう」……英語を学び直している方には、さまざまな目的があると思います。登録者数17.5万人の大人気オンライン塾『スタフリ』のカリスマ英語講師であり、『爆速でやりなおす中学英語』の著者であるダイジュ先生によれば、「大人の英語やりなおしでは『音』『単語』『文法』が3大重要ポイント」とのこと。
3大重要ポイント①「音」の勉強の仕方
「音」は、英語における3大重要ポイントの中で最も重要な土台なのですが、学校英語において最も軽視されてきました。
多くの方は、英語の勉強において「黙って読む」や「文字を書く」ことがメインだったのではないでしょうか。
手の側面が真っ黒になるまで単語や英文を書きまくった経験がある方もいるでしょう。
ここではっきりさせておきたいことは「英語は言語」ということです。
われわれが日本語をどのように習得してきたのかというと、「ママ」や「パパ」の話す言葉をまねて「音」で学んできたはずです。
「ママ」や「パパ」とノートに書いて覚えた、という方はいないはずです。つまり、言葉の習得の最初の一歩は「音」をまねることです。
英単語を覚えるときも、英文法の学習を進めるときも徹底的にまねてください。英語学習のスタートはモノマネです。
日本人が苦手とするのが「リスニング」です。
ちまたには「たくさん聞けば、聞き取れるようになる」「聞き流すだけで、聞けるようになる」といった学習法がいまだに横行していますが、
実際は「しゃべること」がリスニング習得の最短コースです。
日本人はよく「l」と「r」の違いや、「th」の発音などに苦労します。
たとえば、I like to eat rice.(私は「ライス」が好きです)という文章。riceは我々の主食の「米」、一方、liceは「しらみ」です。
「しらす」ならいいですが、「しらみ」です。
聞き間違えたり、いい間違えたりすれば、あなたの周りのネイティブスピーカーは、ぎょっとするでしょう(実際は文脈で理解してくれますが……)。
なぜ、ネイティブスピーカーは「rice」と「lice」を何も意識せずに使い分け、我々日本人のは「ライス」が同じように聞こえるのでしょうか?
なぜなら日本語には「l」と「r」の区別がなく、「ラ」という音しかないからです。
「r」と「l」以外にも、「英語にはあって日本語にはない音」はたくさんあります。
singとthingの「スィ」や、appleとumbrellaの「ア」などです。
では、どうすれば英語にはあって日本語にはない音を聞き分けられるようになるのでしょうか?
答えは簡単です。あなたがこの音を発音できるようになることです。
発音できるようになれば、脳内で2つの音を区別できます。そうすれば、この似て非なる音を聞き分けられるようになるのです。
だから、聞けるようになりたいなら、聞くのではなく、しゃべるのです。
「フォニックス」を学べば単語が正しく読める
では、日本語にはないこの音を効果的に学ぶ方法はないのでしょうか? あります。「フォニックス」です。
「不死鳥」ではありません。それは「フェニックス」です。フォニックスとは「スペルと音のルール」です。たとえば、
stir
この単語は何と読むでしょうか。スティール? スティア?
いいえ、違います。girlはどうでしょうか。「ガール」ですね。birdはどうでしょうか? 「バード」ですね。thirdはどうでしょうか?
「サード(長嶋)」です。すべて「アー」という音になりますね。厳密に言えば「暗いア」と言って、口をすぼめた「アー」です。
これでもうstirの発音はわかります。すべての単語に「ir」があり、すべて「アー」なので「スター」となるわけです。
フォニックスを学べば、それぞれの英単語を正しく発音できるようになります。
フォニックスを学べば、ひとつひとつの英単語の「音」を学びなおせます。
ですが、英語は単語と単語が連なります。そして単語と単語が連なると、さまざまな音に変化します。
たとえば、みんなが知っていて使えている音の変化の例は、
Thank you.
です。単語単体で見れば「サンク」と「ユー」です。ですが、実際には2つの単語の音がくっついて「サンキュー」になります。他にもあります。「わかった」という意味のget it.は単語単体で見れば「ゲット」と「イット」ですが、連なると「ゲリッ」に変化します。
お食事中の方は申し訳ございません。
音は「つながったり(サンキュー)」「ラ音に変わったり(ゲリッ)」と変化するのです。
この音の変化のルールを学び、まねすることで、少しずつ「リスニング力」が向上していきます。
3大重要ポイント②「単語」の勉強の仕方
ここで紹介する英単語の覚え方についても、「音」を使って学んでいきます。いきなり、紙にスペルをたくさん書いたりする必要はありません。
まずは聞いて、まねするところから始めてください。
英単語における最大の悩みは「忘れてしまう……」ではないでしょうか?
昨日あんなに英単語を覚えたのに、朝起きたらほとんどを忘れてる……こんな経験ありますよね。
努力したのに、なかなか形にならず、途中で嫌になって英単語学習をやめてしまった人も多いでしょう。
ここで重要なのは「忘れると思って取り組む」ことです。
人間は「エビングハウスの忘却曲線」でも証明されているように、すぐに忘れます。
エビングハウスの忘却曲線の話をするたびに、1日で何%忘れるのかという実験結果を毎回忘れてしまいます。
記憶とはそれくらいはかないものなのです。「忘れないだろう」と思っているから、予防線を張ることもなく忘れてしまうのです。
たとえば、1日の中で30分まとめて英単語を覚えるよりも、朝10分、昼10分、夜10分と繰り返すほうが忘れにくくなります。
1カ月もたってから復習するより、1週間後に復習するほうが、1週間後より翌日に復習するほうが忘れる確率は下がります。
このように「いつ、どのタイミングで復習するのか」が大事です。覚えようとするよりも、忘れないようにする、ほうが英単語が脳に定着します。
多くの方は何らかの「英単語集」を持っているでしょう。
古くは『試験に出る英単語』、30年ほど前は『ターゲット1900』、ごく最近のベストセラーは『DUO 3.0』などでしょうか?
このような英単語集にはさまざまな情報が掲載されています。例えば、見出し語、意味、発音記号、反意語、同意語、派生語、例文などです。
では、英会話を習得したいと思っている方はどこを中心に覚えればいいのでしょうか?
脳内で考えた「言いたいこと」を英語で言うのが英会話です。
つまり、英単語集の「見出し語」と「意味」が最も大事です。さらにその中でも「意味」から「見出し語」がすぐに出ることがゴールです。
英単語の意味だけ覚えても、とっさにその英単語は出てきません。
英語が口から勝手に出てくる状態にするには、「意味」から「見出し語」を徹底的に反復トレーニングします。
反意語や同意語などが書いてあっても、目もくれず、無視して構いません。
英単語を覚えるときに大事なことは「その覚え方で、英会話できる?」です。よくあるケースが、
take とる、乗る、かかる
だけを覚えるというものです。しかし、実際の日本語の会話で「とる」「乗る」だけの会話はありません。
実際には「写真をとる」や「バスに乗る」といったフレーズで使うはずです。
ということは、実際の英会話のシーンでもフレーズで覚えておかなければ使えません。
英単語を覚えるときは、take a picture や take a bus などのようにフレーズで覚えましょう。
3大重要ポイント③「英文法」の勉強の仕方
3大重要ポイントの最後は「英文法」です。
英文法というと、細かくて小難しい英語のルールという印象があるかもしれません。
実際、中学校で習う英文法は28項目あるので「英文法はやめておこう」と、そっとあきらめた方もいるかもしれません。
ですが、ある2つのことを学ぶだけで、英文法の項目はたった4つに分類できてしまいます。
ここからは英文法を「爆速」で学びなおす方法を解説します。
私たちが普段使っている日本語と、外国語である英語には決定的な違いがあります。まずはそこから学んでいきましょう。
次の日本語を英語にしてください。
メアリーはボブにキスをした。
① Mary kissed
Bob.
② Bob kissed Mary.
答えは①のMary kissed Bob.ですね。では次はどうでしょう?
ボブにメアリーはキスをした。
① Bob kissed
Mary.
② Mary kissed Bob.
さぁ、どうでしょうか? 先ほどの日本語の順番とは異なりますね。
ということは英語も語順が変わるかと思いきや、実は先ほどと同じ②のMary kissed Bob.が正解になります。
この2つの問題には「日本語と英語の一番の違い」があります。日本語にはあって英語にはない「は」「に」などの助詞です。
メアリー「は」ボブ「に」キスした。
ボブ「に」メアリー「は」キスした。
このように語順を変えても、日本語には助詞があるので意味は変わりません。
一方の英語はどうでしょうか? 英語には日本語のような助詞はありません。では何が意味を決めているのでしょうか?
Mary kissed Bob. メアリーはボブにキスした。
Bob kissed Mary. ボブはメアリーにキスした。
そう、「語順」が意味を決めているのです。
語順を変えることによって意味も変わってしまうのです。
つまり、日本語と英語の一番の違いである「語順」のルールを学ぶことが英文法の理解に欠かせないのです。
そしてこの語順のルールは、たったの5つしかありません。
このたった5つの英文の「語順」のルールを使いこなせれば、英文法の大半を理解したといっても過言ではありません。
英文法は「語順」と「品詞」が9割!
英文法で最も大事な「語順」のルールと切っても切れない関係にあるのが「品詞」です。
品詞とは「名詞」や「動詞」「形容詞」といったものです。
たとえば、次の文章は英語として誤っているのですが、なぜかわかりますか?
Mary Bob kissed.
なんとなく「ダメ」ということはわかるかもしれませんが、きちんと説明できるでしょうか?
語順と品詞には密接な関係があります。
たとえば、 名詞①+動詞+名詞②で「名詞①は名詞②に~する」という、語順と品詞のルールがあります。
つまりこの配列でない英文は、基本的に間違いです。
Mary(名詞)+Bob(名詞)+kissed(動詞).は語順と品詞のルールに沿っていないので間違いなのです。
なお、名詞はものや人の名前、動詞は動作、形容詞は名詞をくわしく説明する、副詞は名詞以外をくわしく説明するというイメージです。
これらの品詞が英文の中で働き、ひとつの意味をつくっています。語順の理解には「品詞」の理解が欠かせません。
バラバラだった文法知識が「点」から「線」に
英文法を学んでいくと「不定詞」や「関係代名詞」、「動名詞」などといった難しそうな名前の文法用語が出てきます。
しかし、不定詞や動名詞、関係代名詞といった文法用語は「点」でしかありません。
英語に限らず、さまざまな学問で言えることですが、「点」で学んでもなかなか本質を理解できません。
ひとつひとつの「点」が「線」につながって初めて、本当に理解できます。次の3つの英文を見てください。
① I know the man singing a song.
② I know
the man that you met yesterday.
③ I know the way to master English.
①の「singing a song」は文法上「分詞」です。
②の「that you met yesterday」は文法上「関係代名詞」です。
③の「to master English」は文法上「不定詞」です。
一見、これらの「分詞」と「関係代名詞」と「不定詞」は、なんのつながりもないように見えますが、すべて直前の「the man」「the way」という名詞を説明する「形容詞」であるという共通点があり、「線」でつなげます。
これを理解するには「語順」と「品詞」の知識が不可欠なのです。
<和訳>
①(歌をうたっている)男の人を知っている。
②(あなたが昨日会った)男の人を知っている。
③(英語を習得する)方法を知っている。
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