コロナ5類「マスク要否」論争で知っておきたい事
5類移行に伴って街の風景は変わるのか
専門家は有効性を主張するが否定的な研究もある
上 昌広 : 医療ガバナンス研究所理事長
2023年02月22日
5月8日、コロナの感染症法上の位置付けが現在の「2類相当」から「5類」に変更される。
入院などを強制できる危険性の高い感染症に当てはまらなくなることに伴い、政府は室内でのマスクの着用の推奨を取りやめる。これまでマスク着用をめぐっては各方面でさまざまな騒動があったが、今回の政府方針変更についても議論が巻き起こっている。
☞ 専門家は慎重
マスク着用について、専門家は慎重だ。1月24日に、厚生労働省の感染症部会の議論を紹介した朝日新聞の記事は、以下のように記している。
<マスク着用の緩和については8人が言及し、慎重な意見が目立った。政府は屋内でも原則着用を求めない方向で検討中だが、「着用にはエビデンス(科学的根拠)があるが、外すことに関する情報は乏しい。着けたい人への配慮も必要」「感染対策として必要で、類型移行とは別に検討すべきだ」「緩和は時期尚早」などの声があった。>
朝日新聞は2月12日の社説で「マスク見直し 拙速な転換は混乱招く」と論じており、早期の規制緩和に反対している。
朝日新聞ほどでないにせよ、マスク外しには慎重に対処すべきだというのは、マスコミのコンセンサスのように見える。
彼らが、このように主張する背景にあるのは、前述したように、専門家の「着用にはエビデンス(科学的根拠)がある」という話からだ。
では、そのエビデンスとはなんだろう。
2月8日、西浦博・京都大学教授や尾身茂・コロナ対策分科会会長ら25人の専門家が「マスク着用の有効性に関する科学的知見」という文章を発表した。
この内容には疑問がある。
それは、「マスクをつけるべきだ」という自らの主張に適合する研究を取り上げていても、この議論で外すことのできない重要な研究が引用されていないからだ。
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