元国税が今すぐ導入を勧める「富裕税」とは ?
2022.12.22
by 『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』
かねてから不公平感が指摘されてきた日本の税制度。事実、「金持ち優遇」と言われても仕方がないのが現状となっています。そんな我が国に「富裕税」の導入を強く推奨するのは、元国税調査官で作家の大村大次郎さん。 富裕層の資産に1%課税するだけで我が国の懸案事項はほぼ解決するとして、自身が考える富裕税の仕組みを解説しています。 |
先日、政府与党が年収30億円以上の超富裕層の増税を検討しているということが報じられました。
「1億円の壁」と呼ばれる「年収1億円を超えると税負担が下がっていく」という現状を考え、富裕層の負担を増やそうということです。今の日本では、年収が大きくなるほど所得税の税負担率が上がる仕組みになっています。が、年収1億円を超えると、逆に税負担が減っていくのです。
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筆者は、富裕層に対しては、所得税を増税するのではなく、資産に課税する富裕税の創設を強く推奨します。
現在、日本の税収の柱は、「法人税」「消費税」「所得税」です。これらの三つの税金は、すべて“所得”か“消費”にかけられるものです(法人税は会社の所得にかかる税金なのです)。
しかし本来、税金というものは、“所得”や“消費”だけにかけるものではありません。
“資産”にかけることもできるのです。そして、資産に税金をかけるということは、実はもっとも公平でもっとも大きな税収を得られるのです。資産に税金をかければ、そういう国民生活への負担というのは最小限に抑えられるのです。
資産というのは、所得から消費を差し引いたものです。当座、必要なものではない、いわば予備のお金です。それに課税するのです。消費にはまったく影響しないし、国民生活が苦しくなるわけでもありません。
富裕層の富に直接アクセスできるのです。資産に税金をかけるのは別に珍しいことではありません。
たとえば、アメリカなどでは州税の大半を資産課税で賄っています。というより、現在、日本の資産への課税は非常に少ないのです。
資産税には相続税がありますが、これもほとんど機能しておらず、相続税が以外の資産課税もほとんど機能していないのです。今の日本経済は、所得や消費が減り、資産が異常に膨らんでいます。先進国と比較しても、所得や消費は高くないのに資産だけが大きいのです。それは、低所得者の所得や消費にばかり税金をかけ、金持ちの資産に税金をかけてこなかったからでもあります。
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富裕税は金持ちにもメリットが大きい
富裕税というのは、金持ちにとっても実は有利な税金なのです。富裕税の創設とともに、相続税を廃止すれば、金持ちの実質的な負担感は減るのです。
相続税と富裕税を比べれば、相続税の方が負担は大きいのです。現在の相続税は最高税率が55%です。
相続というのは、だいたい30年に一度発生するので、資産家は30年に一度、財産の55%を取られることになります。
しかし富裕税の場合は、毎年1%しかかからないので、30年間、毎年同額を払ったとしても30%にしかなりません。富裕税の方が25ポイントも割安なのです。
また富裕税は、相続税に比べれば「実質的な負担感」も非常に小さいのです。相続税は一度にごっそり取られますが、富裕税は毎年少しずつしかとられないからです。
富裕税は言ってみれば「相続税の分割払い」ということなのです。
「相続税の分割払い」といっても、税収は相続税の何倍にもなります。相続税はあまりにも一度に多くとり過ぎるので、金持ちはあらゆる手を使って逃れています。
タックスヘイブンなどを使って資産の隠蔽を図っているのです。だから相続税は税率が高い割には、税収にはまったく結び付いていないのです。
しかし、富裕税は富裕層全体に広く浅く課せられる税金なので、税率が低くても莫大な税収になるのです。また富裕税には、資産が激減したときの還付制度などを設けておけば、さらに金持ちにメリットが増えることになります。
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