「一人前」と「一流」は全く違う
仕事に慣れてくると、仕事を右から左に、マニュアルを見なくても、先輩に聞かなくても、こなせるようになり、ミスも減ります。
上司や先輩から文句を言われなくなり「一人前」として扱われます。そして多くの人は、これで仕事ができるようになったと勘違いをしてしまいます。
しかし、「一人前」の上には「一流」があるのです。
厳しい言い方ですが、「一人前」は「二流」になっただけです。繰り返しますが、「一人前」と「一流」は同じではありません。
その区別が付かないと、慢心し仕事で大きなミスを犯してしまうかもしれません。
運の良い人は一人前になった時点で、一流の上司が「一人前」と「一流」は違うということを教えてくれるのですが、上司だって全員が一流というわけではありません。
上司の中にも一人前で満足している人がたくさんいるので、その場合は自ら違いに気づくしかありません。
繰り返しますが、一人前とは、ようやく「二流」になったということです。一人前の前段階は「半人前」。新入社員や転職をしたばかりの頃です。
初めて課長になったとき、部長になったとき、役員も社長も初めは半人前です。
半人前はいわば「三流」なのですが、半人前には早く仕事を覚えたい、一人前になりたいという「必死さ」「熱心さ」があるので、必死に頑張るという良さがあります。
ちなみに、半人前にもかかわらず必死で仕事を覚えようという気持ちがない人は、そこで終わり。一人前にさえ、なることはありません。
半人前の頃は「必死さ」「熱心さ」があったのに、多くの人は、一人前になると「必死さ」「熱心さ」を忘れてしまいます。
上司も部下が育ってうれしいから「一人前になってよかったな」と褒めるのですが、「一人前になったのはよかった。ただ、一人前とは二流になっただけのこと。その上の 一流を目指せ」とまでは、なかなか言ってくれません。
喜んでいる部下の機嫌を損ねたくないと思っているのかもしれないし、冒頭でお話ししたように、一人前と一流の区別がついていないのかもしれません。
☞ 器用で能力が高い人ほど「一人前のわな」にハマりやすい
一人前になったとき、自分は器用だ、能力が高いと自覚している人ほど注意が必要です。半人前から一人前に至る道は、器用な人はすぐに通過してしまいます。
同期の中では一番に、場合によっては先輩すら追い抜いて一人前になるでしょう。
しかし、ここに落とし穴が潜んでいます。誰よりも早く一人前になると、人も褒めますし、その結果、高慢になり、油断が生じ、手抜きの仕事をするようになります。
それでも見かけ上はなんとかなってしまうため、そういう多くの人が努力しなくなり、一流になる目がなくなります。
しかも、コツコツと仕事をしている(そして、器用な人がどこかばかにしていた)人は、ずっとコツコツと努力を続けますから、早く一人前になった人を抜いてしまいます。
コツコツやっている人は一人前になるのが遅い分、謙虚で、一人前になっても気を抜かない。だから、コツコツと一流を目指すことができるのです。
もし、一流の上司が「一人前」と「一流」は違うというアドバイスをしてくれないときは、その違いを自分で認識するしかありません。
一人前で満足せずに、ここからが頑張りどころと言い聞かせ、コツコツと一流を目指していると、いつか周囲に大きな差を付けることができるのです。
プロ野球やサッカーの一流選手は、有名になっても、タイトルを取っても、年俸が高くなっても満足せずに、努力を続けています。
例えばメジャーリーグで大記録を打ち立てたイチロー選手は、誰よりも早く球場に入って準備をしていました。
投打二刀流の大谷翔平選手も慢心せずに謙虚な姿勢でプレーする姿が評価されています。言い方を換えると、一流になれる人は努力を続けられる人なのです。
☞ 一流の人は皆「習慣化」を大切にしている
では、一流の上はあるのでしょうか。
それを何と呼ぶのかは知りませんが、いずれにしろ、私は「なれる最高の自分を目指す」ことが大切と考えているので、一流になっても努力を怠らず、その上を目指すべきだと思います。 とはいえ、コツコツと続けることは簡単ではありません。
そこで、私が実践しているコツコツと続けるコツは、「習慣化すること」です。それも決まった時間にやることです。
私は、東京の自宅にいるとき、寝る前に必ず3年連用日記を書いて、松下幸之助さんの『道をひらく』を読みます。
朝起きると読売新聞を読んで、NHKのニュースをかけながら食事をする。
通勤時は日経新聞を読む。このように決まった時間に決まったことをやる習慣をつけると長続きしやすいのです。
そのうち、『道をひらく』を読まないと眠れない、通勤で新聞を読まないと落ち着かないようになれば、苦もなく努力を続けることができるようになります。
このコツは資格取得の勉強にも、仕事にも通用します。
最後に一言。一流は自分で決めることではなくて、周りが評価すること。
だから、周りが「すごい」と言ってくれるまで努力を続けないといけないし、言ってくれても、イチロー選手のように努力を続けないといけません。
(小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶)
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