なぜGDP減少のしわ寄せを労働者ばかりが低賃金で背負うのか?
2022年11月23日
斎藤満
政府ができるのにやらない2つの解決策
7-9月期のGDPは前期比0.3%(年率1.2%)の減少となりました。さらに問題とすべきは、昨年初から2年近く続いている海外への所得流出によって、日本の総所得はGDP以上に大きく、かつ継続的に縮小していることです。これが企業か個人の所得を減じる要因になり、GDPの低迷以上に日本経済の不況感を強めています。
▼交易条件
海外との貿易における国の稼ぎやすさを示す指標。輸出物価指数を輸入物価指数で割って算出する。
輸出物価の上昇や輸入物価の下落による交易条件の改善は、その国の貿易環境が良くなっていることを示す。 輸出に対して輸入が低コストでできる状態であれば、国内に資金が流入しやすい。
交易利得の悪化を止められるか
実質国内総所得を減少させている交易損失(この7-9月期は19.7兆円相当)をいかにして止めるかが重要なカギを握ります。原油価格や穀物価格などの輸入コストが下がるかどうかは他力本願な面がありますが、世界景気の悪化懸念でこのところ資源価格の上昇には歯止めがかかっています。
日本が独自にできることは2つです。
1つは、海外から高いエネルギーや穀物を買わないようにすることです。
省エネを進め、特に化石燃料から再生可能エネルギーへのシフトを国策として前倒しで進めること。そして穀物などの国内生産を拡大して輸入依存度を下げる必要があります。少しでもこれらの輸入を減らせれば、需給緩和要因となり、価格引き下げ圧力にもなります。
もう1つは、金融緩和策を修正して円安に歯止めをかけることです。
幸い米国のインフレ指標が緩和され、金利低下、ドル下落となって一時的に救われていますが、次の指標如何ではこれもわかりません。
他力本願ではなく、日銀がすでに不要となった大規模緩和を修正するだけでも円安を抑え、交易条件の悪化を抑制できます。
まずはできることから手を付けるべきです。
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