日本の賃金が下がり続けている理由を元国税が暴露
2022.11.17
by 大村大次郎『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』
この20年で賃金が下がっている先進国は日本だけ。
儲かっても配当と内部留保に回して従業員に還元しない日本企業の体質はなぜできあがってしまったのでしょうか。
賃上げがなければ経済成長はないと企業に対して厳しい声をあげ続けてきた元国税調査官の大村大次郎さんは、労働者側にも責任があると指摘。海外では、いまでも強い力を持つ労働組合が日本では機能しなくなっていった実情を述べ、弱い立場の労働者が団結し、新しい時代にマッチした新世代型の労働組合を作るべきと主張しています。
☞ なぜ先進国で日本の賃金だけが下げられてきたのか?
最近、日本人の賃金が安いということがよくビジネス誌などで言われるようになりました。また2020年のOECDの公表データでは、日本人の給料は韓国より安いことになっていました。OECD加盟国の中で、日本の平均賃金は22位であり19位である韓国よりも年間で38万円ほど安くなっているという結果が出たのです。筆者は、10年以上前から、日本人の賃金が上がっていないことが非常に問題であると主張してきました。
が、10年前は誰も聞く耳を持たず、景気が悪いから当たり前というような反応をされてきました。
しかし実は、平成の30年の間の日本の景気というのは、決して悪いものではありませんでした。
もうすっかり忘れ去られていますが、2002年2月から2008年2月までの73カ月間、日本は史上最長の景気拡大期間(好景気)を記録しています。
この間に、史上最高収益も記録した企業もたくさんあります。トヨタなども、この時期に史上最高収益を出しているのです。
また2012年からはさらにそれを超える景気拡大期間がありました。つまり、平成時代というのは、「史上まれに見る好景気の時代」だったのです。
日本企業の営業利益はバブル崩壊以降も横ばいもしくは増加を続けており、2000年代に史上最高収益を上げた企業も多々あるのです。
2002年から2018年の間に、日本企業全体の経常利益は、2倍以上になっているのです。
そして、日本企業は利益剰余金(内部留保金)を平成の時代に倍増させ、現在は500兆円を超えているのです。
にもかかわらず、企業は従業員の賃金を上げるどころか下げ続けてきました。
その結果、日本はこの20年の間、先進国の中で唯一、「賃金が下がった国」になってしまったのです。
・・・
バブル崩壊後から現在までの間に、賃金を上げなかった会社も会社ですが、「労働組合は何をしていたのか?」という話でもあります。
労働組合の幹部には、決算書を読める人が一人もいなかったのではないか、とさえ思われます。
もし組合の中で決算書をぼんやりでも読める人がもっとたくさんいたら、おそらく日本の会社もこれほど賃金をケチったりはしていなかったでしょう。
会社の決算書を見れば、収益がガンガン出ていて、利益剰余金も積もりに積もり、株主への配当もうなぎ上りに増加させていたのですから。
「会社は儲かっているし株主にもたくさん配当している。従業員にも会社の儲けを還元すべき」と訴えれば世間も味方につくはずですし、会社も折れざるを得なかったはずです。日本のサラリーマンはこれほど安月給であえぐことはなかったでしょう。サラリーマンというのは、社会の中で圧倒的多数なのです。強く主張すれば、通らないはずはなかったのです。
なぜ主張できなかったかといえば、現在のサラリーマンはまったく団結していないからです。
サラリーマンは圧倒的多数ではありますが、一人一人の立場は非常に弱いものです。
でもそのために、サラリーマンには「団結権」というものがあるのです。
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