「円安=国力低下」の嘘
日本が“安い国”になった3つの理由
栫井駿介
2022年11月3日
政府日銀が為替介入に踏み切っているように、円安傾向が危惧されています。
基本的に日米金利差による短期的な円安だと私は見ています。この円安が定着するとしたら、日本の競争力が下がっているからだと言われていますが、果たしてそれは本当なのでしょうか?
円安(ドル高)は一時的
私は、短期的にはそういった動きはあるかもしれないが、長期的には続かないと説明しています。
<円安ではなく「ドル高」>
ドル高円安というのは、円安が要因というよりは、ドル高要因なのです。
なぜそう言えるのかというと、通貨が下がっているのは日本だけではなくて、ヨーロッパのユーロやイギリスのポンド、あるいは韓国のウォンも下がっているのです。すなわち円が安いのではなくて、ドル高なのです。
<リスク回避のドル買い>
なぜドル高が起きているのかというと、様々な要因はあるのですが、基本的には「リスク回避のドル買い」だと考えています。今、世界経済が不安定になる中で、新興国やその他の国々は経済が不安定で、株価が下がっています。そんな中で、金融機関は、特にドルで運用しているところが、そもそも多いのです。例えば、アメリカの機関投資家が日本にお金を投じるよりも、円から引き上げてとりあえずドルにして、現金あるいは米国債という形で持っておいた方がいいだろうと考えて、リスク回避でドル買いするという側面が非常に強くあるわけです。
<購買力平価では長期的には円高方向>
一方で長期的に見ると、購買力平価。一物一価の原則を考えると、実は日本ではアメリカに比べてインフレが進んでいません。基本的にはインフレが進む国の通貨というのは、どんどん相対的に減価。減っていくわけです。
したがって、アメリカがインフレ、日本のインフレが低いとなると、やがては円高方向に向かうというのが、長期的なセオリーです。基本的に、この円安というのは一時的な要因。それも日米金利差など複合的な要因が絡んだ、リスク回避のドル買いが短期的に進んだ。
また短期的に株価とか価格が動くときには、そのトレンドに従って短期的な投資家も同じ動きをしますから、どうしても行きすぎてしまうという傾向があるのです。今まさに、その行き過ぎのところだと考えています。
一方で長期的には円高方向であると考えていますから、やがては、これは戻るだろう。基本的には、これらの話に従うと戻るということになります。
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