井艸 恵美:東洋経済 記者
2022.02.04
大手医療法人の最新決算を独自調査。売り上げ規模では徳洲会が突出している。
コロナウイルスの感染拡大があった中、2020年度の医療法人の決算はどのように変わったのか。東洋経済では、大手医療法人を対象に各自治体への情報公開請求などから220法人の最新決算データを収集した。 ここでは2022年1月時点で入手できた決算データを基に、売上高ランキングを作成した。
民間病院を経営する医療法人の売上高は、そのほとんどが医療行為による収入である「本来業務事業収益」で占められている。
* 徳洲会に沖縄徳洲会も統合
ランキング1位は徳洲会。全国で71病院を運営する巨大グループで、売上高は3000億円を超えており、220法人のランキングの中でも突出して大きい。徳洲会グループは近年、グループ内再編を進めて法人を統合してきた。2021年には1位の徳洲会に2位の沖縄徳洲会が統合した。2022年2月には、同グループの埼玉医療生活協同組合が統合した。
この結果、かつて21法人あった医療法人が1つになり、資金や人の流れが一元管理される。徳洲会の安富祖久明理事長は、「以前は病院を新たに作ることに地域の医師会が反発し、埼玉医療生活協同組合は病院名に『徳洲会』という名前が使えなかった。しかし、今はそうした反発はなくなってきた。売却や譲渡の話は定期的に来るため、今後も地域のニーズがあればM&Aを進めていく」とさらなる拡大にも意欲的だ。
3位の明理会と4位の明芳会はIMSグループ。1956年に5床の板橋中央医院を開設したのが始まりで、今では、病院36施設と介護老人保健施設17施設のほかに、クリニックや人間ドック施設を運営する。
5位の愛友会と7位の協友会は上尾中央医科グループ、15位の東光会と43位の横浜未来ヘルスケアシステムは戸田中央医科グループだ。これらは同族経営で、大きなくくりでいえば中央医科グループということになる。
6位の葵会は、各地で医療法人をグループに加えながら、介護施設を急速に拡大している。
介護施設のほかにも医療系の大学や専門学校、保育園も運営。関連施設は全国で140施設(開設予定も含む)にのぼる。
ランキング上位の病院はチェーン化を進め、グループ内の病院間における人材の融通や医薬品の共同購入によってスケールメリットを効かせていることも特徴の1つといえるだろう。
出典: 週刊東洋経済プラス
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