元国税調査官の大村氏が指南する節税のポイントとは?・・・
◆新資本主義〜これからの日本人は身の回りの数字に強くなるべし
昨年、総理大臣が岸田氏になりましたね。岸田新総理は「新資本主義」という政策を掲げています。
この「新資本主義」というのは、成長と分配の両方を大事にするということのようです。
今までの経済政策では、経済成長ばかりを優先し分配がまったくおろそかにされてきましたので、その点は筆者は評価したいと思っています。経済というのは分配がなければ成長もしないのです。
それは日本はバブル崩壊後の30年で重々身に染みているはずなのです。
さて、岸田総理の唱える「新資本主義」は具体的なことは、まだ見えてきていません。
金融所得の課税を強化するとか、相続税を強化するというような話もチラホラありますが、まだ具体的な施策は打ち出されていません。我々は、これからの経済生活をどうしていけばいいのでしょうか?
まず、経済政策がどうなろうと、我々がしなければならないことは、自分たちの生活に関する「数字」に強くなるということです。日本人というのは、税金や生活のお金に関して、非常に疎いものです。
この数十年、日本の中間層以下のサラリーマンは、税金や社会保険料がめちゃくちゃに上げられてきているのですが、ほとんど文句らしい文句は出ていません。それが、格差社会の要因にもなっているのです。
こういうのは、欧米諸国から見れば、考えられないものです。
欧米では、ちょっと灯油の税金が上がっただけで全国規模のデモが行われたりするのです。
◆「少子高齢化のため増税は仕方ない」という嘘
「日本は少子高齢化社会だから増税されても仕方がない」と思っている方も多いかもしれません。
では、日本を少子高齢化にしたのは誰でしょう?
社会の少子高齢化というのは、1970年代から先進国の間では共通の課題でした。
1970年代には、日本よりもむしろ欧米諸国の方が出生率は低かったのです。
が、欧米の国々は、婚姻環境、子育て環境を整えるなどをして、それ以上、出生率を落とさないようにしました。
一方、日本は、1970年代から言われていた少子高齢化の問題に何の手立ても講じず、待機児童問題なども数十年に渡って放置し続け、あげくの果ては子供の貧困率がOECDの中でトップクラスになるなど、「子育て貧国」となり果てています。
筆者は、これは政府のせいだけとは思えません。
こんな状態なのに文句も言わずに高い税金を払い続けた国民、政府へのチェック機能をまったくもたない国民のせいでもあると思うのです。
「数字に強くなるべし」といっても、政府の政策の数字をくまなくチェックし、政府に文句を言えというわけではありません。もちろん、そういう人も国家には必要です。が、一般の人は、日常生活の中でなかなかそういうことまではできません。
一般の人がすべきことは、まず自分の身の回りの数字、自分の生活の損得に関わる数字にしっかり強くなることだと筆者は思うのです。たとえば税金に関しても、普通の人はほとんど節税など考えていません。
サラリーマンの多くは、自分は節税などできないと諦め、自分がどのくらい税金を払っているかさえ知らない人がほとんどです。ちゃんと節税をすれば一般の人でもそれなりの恩恵が受けられるにも関わらず、です。
一方、富裕層はそうではありません。
富裕層は税金に関する関心が非常に高く、税当局に対する目も厳しいものがあります。
「貧乏人から1万円取るより金持ちから1円を取る方が難しい」ほどなのです。
だから、我々はまず自分の税金についてしっかり考えてみるべきだと思われます。
それが自分の生活をよくすることにもなり、国をただすことにもなるのです。
◆実は身の回りに得な情報はたくさん転がっている
また税金や身の回りのお金についてちゃんと調べれば、けっこう得な情報というのは転がっているものなのです。
たとえば、その最たるものが「ふるさと納税」です。
このメルマガでもたびたびご紹介していますが、ふるさと納税は、自分が好きな自治体に寄付をすれば、その分、所得税、住民税が安くなるという制度です。サラリーマンから自営業まで、住民税を払っている人であればだれでも使えます。
ふるさと納税制度のメリットというのは、ざっくり言えば、
「自分の好きな市区町村に寄付をすれば、その寄付額に応じて返礼品がもらえる」
「寄付金は所得税、住民税から控除されるので実質の負担額は2千円で済む」
「返礼品は2千円よりも高額なものが多いので得をする」
ということです。
このふるさと納税制度は、テレビCMなんかバンバン流れていますし、ご存じの方も多いはずです。
具体的には、自治体に寄付をすれば、所得税、住民税などが寄付金からマイナス2千円した額が還ってくるというものです。
たとえば、3万円寄付した場合、そのマイナス2千円、つまり2万8千円が還ってくるのです。
そしてふるさと納税制度を利用して、自治体に寄付をした場合、自治体側が御礼として、特産品を贈るということがあるのです。
全国各地の自治体が、2000円をはるかに超える豪勢な返礼品を用意しています。
肉、魚、米、野菜、地酒、うどん、ジャムなどの食料品から、温泉の入浴券、レストランの食事券など、誰もが何かしら欲しいものばかりです。自治体のホームページなどに行けば、それを見ることができます。
しかし、これを使っている人は、まだまだ少数です。
令和2年の時点で、ふるさと納税をして住民税控除を受けた人は約400万人です。
サラリーマンの1割にも満たないのです。つまり、多くの人は、せっかくの有利な制度を使っていないのです。
「ふるさと納税」のメリット・デメリットとは?
☆彡ふるさと納税とは?
詳細については、 ☞ LINK をご覧ください。
税理士監修のもと、「仕組み」や「やり方(5つのステップ)」に加えて、ふるさと納税の歴史や、寄付金を税金から控除する方法、メリット・デメリットなどを徹底解説することで「ふるさと納税とは?」という疑問にお答えします。
・「ふるさと納税」は2008年から始まった
経緯としては2006年の日本経済新聞夕刊のコラム記事がきっかけでした。
「地方見直す「ふるさと税制」案」というコラムが、一部の政治家が取り上げたことで議論が活発になりました。
税収の減少に悩む自治体や、地方間の格差をどうすれば活性化していけるのかが論点となり、 2006年に当時福井県知事だった西川一誠が「故郷寄付金控除」を提言したことから、ふるさと納税の発案者と言われています。
・ふるさと納税のデメリット1「節税にはならない」
ふるさと納税を行うことは「節税」に繋がると認識している方も多くいらっしゃいます。
また、ふるさと納税を行うことで「節税」になるなどと、書かれている記事も多数見受けられますが、それは間違いです。
ふるさと納税は「任意の地方自治体に対して寄付が行える制度」で、2,000円の自己負担を超えた寄付金額を所得税や住民税から控除するというものです。
例えば5万円の寄付を行ったとします。自己負担額が2,000円なので、住民税・所得税から48,000円を控除するという仕組みです。
つまり住んでいる自治体に払う48,000円をふるさと納税の寄付先に先に払ったということになり、節税にはなりません。
「節税にはならない」と聞くとお得感がなく、「ふるさと納税を行うメリットがないのでは?」と感じる方もいるかと思いますが、年々ふるさと納税をする人は増えている理由の1つは、寄付額に応じて様々な「返礼品」がもらえるからです。
お米、お肉、家電や旅行券などの「返礼品」を自由に選ぶことができるので、2,000円相当以上の返礼品を貰えればプラスなる、という考えになります。
結論から言うと確かに「ふるさと納税は節税や減税にはならない」ですが、沢山の税制メリットがあり、結果として「絶対にやるべきお得な制度」です。
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