米の豪雨は異常気象でなく定期的起こる気候変動
米北東部4州を襲った突然の記録的豪雨による死者数が少なくとも46人に達した。被害にあったNY市のようす。2日撮影(2021年 ロイター/Caitlin Ochs)
過去の常識通用せず米北東部で40人以上が死亡
ブルームバーグ
2021年09月05日
ハリケーン「アイダ」から勢力を弱めた熱帯低気圧の影響で、米北東部では豪雨により地下鉄の駅が浸水したり道路が冠水したりした。
2日に水は引いたものの、天候を巡る過去の常識がもはや通用せず、ニューヨーク州やニュージャージー州の住民は自らの脆弱さを突きつけられた。
* 災害によって住民の生活や経済が脅かされる未来
遠く離れたルイジアナ州ニューオーリンズに上陸したアイダがもたらした豪雨によって、北東部全体で少なくとも40人が死亡した。米最大の都市であるニューヨーク市はまひ状態に陥り、生命線である公共交通網がストップ。
繰り返される災害によって住民の生活や経済が脅かされる未来を想起させた。
2012年にハリケーン「サンディー」がマンハッタン南部を襲った後、ニューヨーク市とその郊外は電力網や地下鉄、トンネルを建て直したものの、再びまひ状態に陥った。
道路は閉鎖され、通勤列車の運行が停止したほか、多くの航空機が欠航となった。
ただ、今回はインフラへの持続的な被害ははるかに小さい様子だ。
公益事業追跡ウェブサイトのパワーアウテージ・ドットUSによると、2日正午までの世帯と企業の停電は17万にとどまっている。能力は縮小されたものの、空港は営業を続けた。
しかし、今回の豪雨と犠牲者の数は、気候変動に伴い、かつては異常気象と考えられていた天候が定期的に生じ、沿岸にある全ての経済中心地の存続を脅かす可能性を再認識させるものだ。
今夏には既に米テネシー州やドイツでも洪水が起きている。
また、熱波のためカナダ西部は過去最高気温を記録したほか、カリフォルニア州やギリシャでは山火事が猛威を振るった。
浸水したセントラルパークの噴水
高速道路で浸水し放置された自動車(ニューヨーク市ブロンクス)
* アイダによる経済的損失は総額500億~600億ドルに上る可能性
エンキ・リサーチの災害予報士、チャック・ワトソン氏によると、アイダによる経済的損失は総額500億-600億ドル(約5兆5000億-6兆6000億円)に上る可能性がある。
大半の住民は今回の豪雨を予想しておらず、それが命取りとなったケースも考えられる。
米メキシコ湾岸地域ではアイダによる死者は少なくとも5人だった。
北東部では勢力が弱まったにもかかわらず、少なくともその8倍の犠牲者があった。
浸水したファストフード店の地下(ニューヨーク市ブロンクス)
部分的に冠水した道路(ニュージャージー州サマービル)
原題:NYC Storm Delivers Deadly Lesson About Weather Vulnerability (3)(抜粋)
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著者:David R. Baker、Shannon Harrington、Skylar Woodhouse
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