「新型コロナ起源」バイデン報告書で判明したこと
アメリカ政府は新型コロナウイルス起源についての評価報告書を公表しましたが、その結果は……(写真:Ting Shen/Bloomberg)
原因究明へ、米中の協力姿勢こそが今必要だ
高橋 浩祐 : 国際ジャーナリスト
2021年09月02日
世界全体ですでに2億1700万人が感染し、450万人もの命を奪ってきた新型コロナウイルス。
「100年に1度の危機」というパンデミックが人々の社会生活を壊し、世界経済を混乱に陥らせている。
しかし、その起源は今もわかっていない。
コロナウイルス起源についての3つのポイント
アメリカ政府の18の情報機関を統括する国家情報長官室は8月2
まず報告書の主なポイントをみてみたい。
①アメリカ情報コミュニティー(=
具体的には、4つの情報機関と国家情報会議(NIC)
また、
②すべての情報機関が意見の一致をみた数少ない結論としては、
2019年12月の武漢でのクラスター発生前に人間への感染がす
③
これらの3つのポイントは、
しかし、トランプ大統領が「
今回のバイデン政権下での追加調査はそもそも、
それにしても、
科学者の間では自然発生説が有力
では、
ウイルス発生源を調べるべく、
イギリス科学誌『ネイチャー』に掲載された6月8日付の「
多くの感染症専門家は、
さらに言えば、
新型コロナウイルスの自然発生説が科学者の間で有力な一方で、
コロナ発生源をめぐって火花を散らす米中
アメリカは今や新型コロナウイルス感染者が約4000万人、
これに対し、中国は今も舌鋒鋭く反発をますます強めている。
中国はアメリカの武漢研究所流出説に対抗して、アメリカ・
また、馬朝旭外務副大臣は8月13日、世界70カ国以上が最近、
WHOやアメリカが中国での追加調査を求め、
また、アメリカが「中国は感染最初期の生データを提出すべきだ」
米中は無用な政治的対立を避け、力を合わせるべき
米中が火花を散らす中、新型コロナウイルスの発生源ははたして突き止められるのだろうか。救いなのは、中国側も「われわれは引き続きWHOといった国際機関と協力し、ウイルス起源の研究をともに進めていく」(傅聡軍縮局長)と明言していることだ。地球上で450万人以上の犠牲者を出し、人類の健康と暮らしにかつてないほど大きな影響を与えているパンデミックの再発を防ぐには、科学的な見地からウイルスの起源を解明することが必要不可欠だ。また、さらに広い視野から感染症の脅威を考えるならば、野生動物の取引や熱帯雨林の破壊、荒地開拓がウイルスや細菌を元の住処から追い出し、人間社会に広めている事実を忘れてはならない。
米中は無用な政治的対立を極力避け、人類最大の天敵となっている感染症の退治に向けてもっと力を合わせるべきだろう。
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