2021年3月23日
栗原将
なぜ日本人には英語を話せない人が多いのでしょうか。
「6年間も勉強しているのに英語ができない」ということをよく聞きますが、英語圏に海外移住した経験を持つ私が思うのは、圧倒的に勉強時間が足りていないということです。
* 海外移住者が帰国するとよく頼まれる「英語を教えて」
海外移住したタイから日本に一時帰国しましたら、知り合いから「子どもに英語を教えてもらえませんか」とお願いされました。
そのため、30年ぶりに中学生向けの英語の参考書を買って眺めていたのですが、そこで驚愕したことがありました。
それは「interest」という単語です。
「interesting」の方が知っている人は多いでしょう。中学校で習う単語です。
「〇〇に興味がある」と覚えるよう指導されます。
ですから、形容詞「interesting」の名詞である「interest」は、「興味」ということになります。
これ自体は間違いではないのですが、私が驚いたのは、購入した単語集には、これ以外に重要な表現が書かれていなかったからです。
* 英語教育のダメな点を再確認
実社会でよく使う「interest」は、「金利、利息」という意味です。
銀行のHSBC香港に預金したら、オンライン通帳・明細には「interest」と書かれています。
ここで日本の中学レベルで英語が終わってしまった人は「なんで興味なの?」と思うわけです。
それも仕方のないことでしょう。習っていないのですから。
でも、繰り返し言いますが、日本以外の国で仕事をしていて出てくる「interest」のよく使われる意味は、この「金利、利息」なのです。
語源はラテン語の「金利」から、「楽しい、興味深い」と意味が広がっていった。
このような語源説がありますが、個人的には英語を覚える時には、語源をもっと重視した方が苦労せずに覚えられるものです。
inter → 間に(介在する)
est → ラテン語で「存在する」の意
「間にある」ことで金利になり、金利は、預金している人にとっては「楽しみだ、だから興味深い」という風にイメージできれば、イメージを鮮明に覚えられるます。
それなのに、「興味がある」までしか教えないのは実にナンセンスです。
だから、次のような迷和訳(?)をする人が出てくるわけです。
conflict of interest → 興味の激突?
正しくは「利益相反」なのですが、興味しか習っていない人にはさっぱりわからない。
ほかにも大学レベルでもひどい和訳はありまして、一例が経済用語の「market failure」を「市場の失敗」と教えられたものですが、正しい意味は失敗ではなくて、「不作為」ですね。
でも、日本の英語教育では、失敗という訳が “付けられて” いるので、こうなってしまうのです。
支払いの「failure」を、支払いの失敗?と訳した人を見たことがありますが、仕方ない…。
これだから、英語が苦手という人がまったく減らないのだろうなぁと再認識した次第です。
* 圧倒的に少ない英語の授業時間と学習指導
よく耳にする意見に、「日本では中学・高校の6年間も英語を習っているのに、社会人になってからまともにしゃべれる人がほとんどいない。英語教育に問題があるからだ」というものがあります。
個人的には、まったく違う考えです。
中学生に英語の授業数を聞いたのですが、週に3時間か4時間、とのことでした。
これは30年前の私の時と同じなのですが、これで英語ができるわけがありません。
6年間というのは確かに事実ですが、中身が薄すぎて話にならないのです。
私は高校時代、週に6時間から8時間の英語授業がありました。
仙台出身の私は、高校受験で地元の進学校「仙台二高」に落ちて、滑り止めだった「仙台育英学園(特進コース)」に進学しました。私は特進コース4期目でしたが、まだ東北大・早慶などの難関大合格者は出ていませんでした。
それでも校長先生をはじめとする先生方の熱意はすごく、必ず進学実績を出すという意気込みがあり、それが如実に表れていたのが英語の授業数でした。週に6時間から7時限目の補講を含めると、週に8時間の時もありました。
加えて大量の宿題もあり、途中、脱落していった生徒も多かったのですが、生き残った(?)生徒は軒並み難関大学に現役合格していったのです。
一例としては、
・慶應義塾大医学部
・東北大学医学部
・東北大学(文系、理系)6名
・慶應義塾大学(経済学部、商学部)3名
このうち、慶應商学部(B方式)は私です。
ほかにもすでに忘れてしまったものもありますが、突如、このような合格実績となった最大要因は、とにかく「英語力の徹底強化」でした。
* 日本人の英語学習時間は圧倒的に少ない
文系・理系を問わず、英語は避けて通れません。
一方、見方を変えれば、英語が得意になるとこれほど強いものはありません。
英語の成績は試験ごとに極端にぶれることはないので、安定してくるのです。
ちょっと受験の話が長くなってしまったのですが、私自身、大学を出てから20年は英語を仕事で使う機会はありませんでしたが、それでも忘れてはいませんでした。
特に英語圏と言えるフィリピンで仕事をした時には、仕事でも英語を使うようになったのですが、その時に思い出したのは高校時代に必死で勉強した時の英語知識でした。
ですから、受験英語が役に立たないといったことはまったくないのです。
単純に、日本人の英語学習時間が圧倒的に少ない、それだけのことです。
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