18年間、海外出張という形で42カ国を訪問し、渡航回数では150回を越えているが、そのたびに、日本におけるセキュリティマネジメントに関する課題を実感する。国外の人と議論して得られた経験とは。
2019年12月19日
[鎌田敬介,ITmedia]
この度、Armorisを9月からスタートしました。当社はサイバーセキュリティの人材育成という観点に特化した活動をおこなっていますが、われわれのこれまでのサイバーセキュリティへの取組の中で、組織作りを支える人材が、より根本的なアプローチで知識と経験を得られる場を作ろうというコンセプトで活動しています。
このセキュリティ人材育成のアプローチを考える上では、国内のみならず、海外(主に欧米・アジア圏)でのサイバーセキュリティに関する知見や取組を参考にしています。
1、オーストラリア:変化しないことこそリスク
まず、「経営幹部とのコミュニケーションをどのように円滑に行ったか」と聞いてみました。
その次に私が質問したのは「ITやセキュリティに関する理解が深いのはとてもいいことだが、そもそも組織的な動き、例えばIT部門以外との連携や対外広報の考え方、予算の割り当てなど日常的な組織管理の姿勢がにじみ出てくるのがサイバーセキュリティマネジメントではないか?」と聞いたところ、「確かに組織管理の要素は強い(英語ではGeneral Corporate Managementと表現していました)。重要なのは組織にとって必要な目的のために組織や人間の変化を恐れないことではないか」という答えが返ってきました。
彼の組織では、「変化しないことこそリスクである」という考え方が組織的に浸透しており、経営幹部も現場スタッフも時代の変化に合わせて自分たちが変化し続けることが重要だという意識が根付いているそうです。
対して典型的な日本企業はどうでしょう。
ちなみに、その経営幹部とはSNSでつながっており、お互いの日常的な活動をシェアしています。
DoS攻撃とは、1台のコンピューターから攻撃をしてくるサイバー攻撃です。それに対してDDoS攻撃は、複数のコンピューターから一斉にサイバー攻撃をしてくるという違いがあります。そのため、DDoS攻撃は、DoS攻撃よりもさらに膨大なデータが送られてくるようになり、攻撃対象に対して、より過剰な負荷がかかるのです。
DDoS攻撃は、コンピューターシステムへの不正侵入、プログラムの破壊、データ改ざんといった行為をする攻撃者が、複数の一般コンピューターを乗っ取って行います。
他人のコンピューターを乗っ取ってサイバー攻撃に利用することを「踏み台」といいます。この踏み台行為を行うため、攻撃を受けたウェブサイトやサーバーは、サイバー攻撃の仕掛け人を割り出すことは難しいという特長があります。
また、DDoS攻撃で受ける大量のアクセスは、一見すると通常のアクセスと見分けがつきません。
そのため、DDoS攻撃で受けるアクセスだけを、選択して排除することが難しいという特長も持っています。
これがどういう意味か詳しく聞いてみました。議論の経緯はさておき、彼の言いたかったことを説明します。
まず「セキュリティに関する悪い情報」とは、例えば以下のようなものです。
・セキュリティ対策ができていると思っていたが実は穴が残っていた
・セキュリティ対策製品を導入したが検知・遮断が正常に機能せず被害がでてしまった
この点について、別の米国の大手ユーザー企業のセキュリティ担当と議論したところ、その企業では「問題を適切にエスカレーションすれば組織の問題として扱われる」しかし「エスカレーションをしなかった場合は個人の問題として個人に責任が発生する」、という考え方になっているそうです。
私自身の経験でも日本の企業や組織でセキュリティに関するネガティブな情報が経営幹部によってどう扱われるかについて、都合の悪い情報がサクサクあがるところほどセキュリティに関する取組がどんどん進んでいるように見えます。
3、エストニア:サイバーセキュリティはAttack&Defenseの問題である
さて、Armorisの顧問であるJaanとRainとサイバーセキュリティの観点でもさまざまな議論をしています。
「企業の運営や管理の実態を余り知らない大学生が組織論の観点で議論してもあまり腑に落ちないのでは?」と聞いてみると「それはその通りだが、卒業してしばらくすると、授業でやっていたことの意味がよく分かったと言ってくるよ」と話していました。
あるとき、Rainから「サイバーセキュリティはAttack&Defenseの問題なんだ。戦いでは攻撃を受けたら防御する、隙をみて攻撃を返す。日本人の昔の戦いでは攻撃をうけたらどうやって防御するんだ?」と聞かれました。彼らはいわゆるバイキングの人々なので、大きな剣と盾を持って戦うというのがベースにあるのですが、よく考えたら日本の侍は盾を持ってないよなあと漠然と考えていました。
「戦い」「防御」という意識でサイバーセキュリティに取り組んでる人は日本ではほとんど見かけません。
*サイバーセキュリティは「組織管理」の問題
サイバーセキュリティというとどうしても技術的な方に話が行きがちですが、技術的な部分はもちろんのこと、組織管理的な視点で問題点を抱えているケースも多々あります。
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OGAWA@OTM Lab. (月曜日, 20 1月 2020 20:16)
昨日 2020.1/19に、メールBOXを整理しながら見つけた記事をBLOGに掲載したところ、今朝1/20に『三菱電機にサイバー攻撃 防衛などの情報流出か』という見出しの新聞記事が出ました。何とタイムリーなことか?! と吃驚です!
しかし、・・・昨年4月に取引先に提供した製品・サービスへのサイバー攻撃対策を支援する全社横断的な専門組織を設置していた三菱電機。ところが、"昨年6月、国内の研究所のサーバーに不審なファイルが見つかり、これを機に全社的に社内調査を進めたところ、営業本部や電子システム事業本部など14ある本部・事業本部の大半や、本社の管理部門の一部で不正なアクセスが確認された。不正アクセスは中国にある関係会社から始まり、日本国内の拠点に広がった。" 現状、東京五輪を目前に控え、サイバーセキュリティの問題が大きな課題ですが、どうしても技術的な方に話に行きがちです。しかし、此処は技術的な部分はもちろんのこと、国際的連携による「組織管理」的な視点での解決が急務です。
でも、今の安部体制では無理かなぁ!?