日銀の金融政策変更は財政にどう影響するか
突発的な金利上昇への備えが重要になる
土居 丈朗 : 慶應義塾大学 経済学部教授
2018年08月06日
日本銀行は7月30~31日に金融政策決定会合を開き、これまで0%程度に誘導していた長期金利について、その上限を0.2%程度まで容認する方針を表明した。これがわが国の財政運営に今後どのような影響を与えるか。
日銀は今回の金融政策決定会合で、強力な金融緩和継続のための枠組み強化することを決定。
「フォワードガイダンス」と呼ばれる将来の金融政策を事前に約束する手法を新たに導入し、「当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持する」こととした。だから、今回の金融政策の変更は、直ちに国債金利が上昇することを意味するわけではない。
しかし、そもそも今回の政策変更の引き金の1つとなったのは、”金融緩和の副作用”を和らげることだった。
インフレ目標である物価上昇率2%の達成が早期に難しくなり、金融緩和の長期化が避けられないことから、金融機関の収益の低下や、国債市場での取引の低調といった副作用が生じているとの声が高まっており、これに日銀は対応しようとした。
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